高く澄んだ水色の空にたなびく薄い雲・・・。秋晴れの日にやってきたのは、県南部の下伊那郡松川町。今回のテーマは秋の味覚「梨」。南信州で誕生した県オリジナル品種「南水」の、収穫真っ盛りの畑にお邪魔しました♪
伊那谷の中央に位置する松川町は、天竜川や松川によって形成された段丘の町。標高約700m、昼夜の寒暖差が大きい土地柄で、町の花も「梨」というほど、古くから梨の栽培が盛んな一大産地です。
「南水」が最盛期を迎えた9月中下旬。収穫作業に忙しい北島正隆さんの畑へお邪魔しました。正隆さんと奥様の圭子さんが黄色い背負籠に次々に梨をもいでいます。「収穫の見極めは、果実の大きさとお尻の色。青緑の皮が黄金色になったら食べ頃。上に向けて持ち上げるとポキッととれるでしょ」と正隆さん。さらに、病気や虫を防ぐ袋にご注目! 果実が生育するにつれて膨らむと、袋の下が自然と破けて光が差し込むようになる優れものなのでした。
実際、収穫は力いらずで簡単ですが、そのずっしりした重さが手に残ります。背負籠いっぱいともなると10㎏にもなるそう。その籠を背に20aの畑をめぐります。
果実が大きくなるにつれて底が破れる高機能な袋。収穫の目安は、青緑から黄金色に変わる皮の色
収穫の後、圭子さんが南水をその場でカットしてくれました。もぎたてをいただく贅沢♪ 「シャリッ! ジュワー」と心地よい歯ざわりと甘~い果汁が口いっぱいに広がり、まさに至福のひととき!!
大玉で、強い甘味とジューシーさ、そして日持ちの良さが特長の「南水」。正隆さんは「表面肌がつるつるキレイなことにも注目を」と言います。また「贈答用などの化粧箱には、リンゴと違い、必ずお尻を上に並べる」とも教えてくれました。なんと、美しい肌と締まったお尻がおいしさのポイントです!
梨の他にプルーン・リンゴなど、農業を続けて40年以上という正隆さんは、松川町だけで300軒、JAみなみ信州管内では600軒もの生産者がメンバーという、ナシ部会の部会長も務めます。昔、この辺りは「20世紀」梨が盛んでしたが、「南水」誕生以来、「20世紀」の木に「南水」を接ぎ木して増やしてきたと言います。その際、正隆さんは自然の力を極力生かそうと、消毒・農薬を半分に抑えた特別栽培を試みたそう。それから20数年、接ぎ木した境もわからなくなるほど一体化し、太く立派に育った樹木を、正隆さんはいとおしそうに眺めます。
脚立がテーブルに。2段目には、あつらえたように皮入れボウルが収まる
「梨はアスパラギン酸もカリウムも多いから、二日酔いにも効果てき面だよ(笑)」と茶目っ気たっぷりに話す正隆さんに、「そう言って飲み過ぎちゃぁね~(笑)」と圭子さん。結婚40周年のルビー婚を迎えたお二人は、畑でもいつも一緒。樹木の高いところは身長の高い正隆さん、低いところは小柄な圭子さんの担当。「分業で上手いこといってる」と、また笑い合います。いつまでも南水以上に「アマ~イ」ご夫婦で♪
とりたての南水を手に、北島正隆さんと圭子さん
北島さんの「南水」は、10月にはJAの貯蔵庫から東京・名古屋・大阪などへ出荷されます。この秋冬、あったかい部屋で甘くみずみずしい南水はいかがですか?
※2015年は、10月初旬頃までJAみなみ信州の「松川インター直売所もなりん」でお買い求めいただけましたが、今年の販売は既に終了いたしました。
長野県オリジナル品種「南水」 「南水」梨は、1990(平成2)年に長野県南信農業試験場が「新水」と「越後」を交配して生まれた品種。大玉(380g~500gほど)で糖度が高く(14~15度)、果汁も多いことが特長。また日持ちも良く、常温でもひと月、なんと冷蔵保存すれば3カ月も持ち、年末年始まで食べられる。
■関連リンク JAみなみ信州
こちらは 2015.10.06 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
まちゃ
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