桃のおいしい時期になりました。 当ブログでも、「川中島白桃」や「川中島白鳳」といった信州ならではの桃を紹介してきましたが、今回はそんな白桃と白鳳を交配させた桃「あかつき」について紹介するとともに、桃がどんな過程を経て消費者の皆さんに届くのか、実際に取材してきました。
やってきたのは下伊那郡松川町。「くだものの里」とも言われているこの町では、桃やリンゴ、ナシと、たくさん種類の果物を生産する農家があり、毎年良質でおいしい農産物を消費者の皆さんに届けています。
「あかつき」は、白桃と白鳳を交配させた桃で、糖度は12~14度と高く、酸味はあまり感じられません。また、しっかりした歯ごたえが特徴で、桃の主要品種の中ではトップクラスの品質を誇ります。例年、この時期が収穫のピークなのですが、今年は生育が早いそうで、もう間もなく出荷が終了してしまうそうだとか。
松川町の桃生産者・龍口定巳さん(左)と龍口俊彦さん
今回、取材協力していただいたのは龍口定巳さん・俊彦さん親子。定巳さんは高校卒業後から農業を始め、農業歴約60年の大ベテラン。奥さんのみつ子さんと一緒に2人3脚で農業を営んでいましたが、3年前にみつ子さんが他界。その後、俊彦さんが、勤めていた製造業を脱サラして農業を開始。父親の定巳さんに教わりながら、ともに自分たちの畑を守ります。
「あかつき」をはじめとする桃は「最後まで気が抜けない農産物」と定巳さんは話します。 「とにかく桃はやわい(やわらかい)。たとえ綺麗においしい桃が実ったとしても、収穫するときにちょっとでも枝にあたったら傷がついてしまう。傷がつけば、せっかく綺麗な桃になったのに規格を落とさなければならないんだよ」と桃栽培の難しさを教えてくれました。 そこで、龍口さんをはじめとする桃の農家は「棒当たり」にならないように摘果の仕方に工夫をしています。摘果とは、幼果を摘み取り、栄養素を1つの果実に集中させることで、大きくて味の良い果実にすることを指しますが、「棒当たり」とは、実が大きくなった時に、枝にあたって傷がつくことを言います。実が大きくなることを想定し、枝の位置を考えながら摘果をする。熟年のベテランだからこそできる技ですね。
美味しそうに桃を食べる俊彦さんの娘の実紅さんと慈実くん。家族全員で畑を守ります。
そんな龍口さん親子のあかつきは、直売所に直接持っていくこともあるそうですが、そのほとんどはJAの選果場に出荷しているということで、早速近くにある松川インター選果場に行ってきました。訪ねてみると、桃の最盛期というだけあって選果場は桃でびっしり。桃ならではの香りが辺り一面を包みます。
選果場では、作業員が桃をラインにのせて、傷があるかをチェック。 その後、機械が自動で糖度や規格を定め、作業員によって箱詰めされていきます。
ここの選果場では、桃の最盛期となると5kg用の桃のケースを約9,000~10,000箱近く出荷するのだとか。食べられる期間が限定的な桃ならではのお話ですね。
続いて訪れたのは松川インター近くにある直売所「もなりん」。 直売所の魅力はなんといってもその「鮮度」と「追熟方法」にあります。市場に出荷する場合は通常、一番美味しい時期ではなく少し早い段階で出荷します。なぜなら、出荷してから市場を通じて店頭に並ぶまでには、どうしても多少の日数がかかってしまうので、少し早い段階の果実を出荷し、その時間幅を調整するからです。
対して、直売所の場合は農家の皆さんが、その日の朝に収穫した農産物を直売所に並べます。よって、鮮度はもちろんのこと、一番美味しい時期になるまでの追熟方法も市場経由のものとは異なります。収穫してから熟すまで待つ市場に比べ、直売所にならぶ農産物は木になったまま追熟を待つので、市場とは違う味わいがあります。 ここの直売所では、桃の最盛期に合わせ、現在桃の食べ放題を実施中。 期間は8月のお盆過ぎまで実施しておりますので、ぜひお立ち寄りください。
桃は、この暑い時期ならではの旬の果実。皆さんも信州の桃を食べてみてください。
こちらは 2015.08.11 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
あぐり君
関連記事
長野県に"桃"の旬がやってきました!
おいしい桃の作り方を教えていただけますか
秋も元気に美しく!ビタミンたっぷりのプルーンを食べよう
りんご畑ではいまなにがおこなわれてるか?
新着記事
夏の思い出とともに果実酒を漬けてみた
幻のフルーツ?!ポポーをご存知ですか
ぼたんこしょう佃煮の細巻き
長野県産の人気3種をまとめた「ぶどう三姉妹®️」