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ねずみ大根で「あまもっくら」を味わおう

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味を言い表すにはいろいろな表現がありますが、"あまもっくら"とした味わいに出会ったことはありますか?
"あまもっくら"とは、地元・埴科郡坂城町(はにしなぐんさかきまち)の人の解説によれば、「辛さの後からほのかに感じる甘さ」のことだそうです。
どうやら辛さあってのもので、その辛さの正体を尋ねてみれば、「ねずみ大根」と呼ばれる辛味大根の一種に由来するものだと教えてくれました。
そして、吹き付ける風が身にこたえ、一層の寒さを感じさせる今こそが、"あまもっくら"の季節なのです。


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今回の舞台、県北部の坂城町。
雪の気配を感じる頃、
糖分をさらに蓄えたねずみ大根は
一層"あまもっくら"な味わいになる

なんとも愛らしい形です。
地元・坂城町の中之条(なかのじょう)地区では、この大根を「中之条大根(なかんじょだいこん)」とも呼ぶそうですが、「ねずみ大根」なんて、ちょっとユニークなネーミングです。
その名の由来は、大根の姿を見てお気づきになったでしょうか。根の部分に向かってぽってりと太り、ヒョロリと伸びた細い根っこ。ほら、ネズミ(鼠)に似ているでしょ?

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だからこの大根は、尻尾にあたる細長い根っこまでちゃんと付いているのが重要なのです。

ねずみ大根の絞り汁で食べる熱々うどん
さて、そんなねずみ大根を使った"あまもっくら"な味わい方といえば、大根の絞り汁に、熱々のうどんをくぐらせる食べ方です。地元では、「おしぼりうどん」と呼んで食べている馴染みの郷土食。大根をすりおろしたもの全部を汁にするのではなく、あくまでも、すりおろした大根をさらに絞り、その絞り汁だけをつけ汁として使うというもの。

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"カアッー""もわぁ〜"
辛さの後で感じる甘さの余韻

と、目の前に現れたおしぼりうどん。うどんに負けじとばかりの存在感で、大きな器に入ったつけ汁は、白濁し泡が浮いています。器一杯にはおよそ、ねずみ大根小1個分が絞られているそうです。実はこれ、混じりっ気なしの大根液のみ。
「そのままじゃ、汁は辛いからガブ飲みしないようにね、胃腸を痛めるから......」という店員さんの言葉を耳に、少しだけ汁を啜ってみればーー。 
意外にもまろやかな甘味? ・・・かと思いきや、"カアッー"とくる辛さで口の中は一気に占領され、舌はピリピリとしてくるではないですか! どれほど辛いかというと、こめかみや背中にうっすらと汗が滲むのを感じるほどです。そういえば、周りでは咳き込んでいる人がいましたよ。もしや、この辛さにムセていたせい?
少し落ち着いてくれば、そんな辛さの後で"もわぁ〜"と口の中に残る甘さの余韻を感じることができます。それこそが、この時期、この地を代表する、ねずみ大根の"あまもっくら"なのです。

辛〜い「おしぼりうどん」の相棒は、
あの信州ならではの......

でもこの辛さ、「半端じゃない! これじゃうどんを食べきれやしない」と、辛さから開放されたいと求めて目に飛び込んできたのが、うどんと共に運ばれていた味噌、削り節、ネギの3点盛り。そんな中でも最重要アイテムが"味噌"。この辛い汁に味噌を少しずつ溶きながら食べるのが、このおしぼりうどんの正しい食べ方なのです。そうするとどうでしょう。先ほど感じていた強烈な辛さも和らいで食べやすい。不思議ですね〜。とはいっても、あくまでも辛さあってのおしぼりうどん。味噌はあまり加え過ぎずに楽しむのが、地元のツウの食べ方です。そして、まだ残る辛さと闘いながら、ハフハフとうどんを啜れば、体も心もポカポカと温まってくるのです。なんだかこの辛さ、癖になりそう!

地元では、さまざまな料理に使われています。
小ぶりながらも鮮烈なインパクトで、口にする人々を驚かしてくれるねずみ大根ですが、その辛みはすりおろすと次第に飛んでしまいますので、生食の際は、食べる寸前にすりおろしてくださいね。
おしぼりうどん以外の食べ方としては、地大根として沢庵漬けにされるほか、北信地域の郷土食"おやき"の具にも使われます。「ということは、辛いおやき?」。いえいえ、大根の辛み成分は揮発性があり、30分もすれば辛さが飛んでしまうために食べやすくなります。ご安心を。
また、大根は、寒さが増すに従ってデンプン質が増えて糖度が高くなり、ホクホクとした味わいになります。肉質は緻密で硬いねずみ大根ですが、天ぷらにすれば、「お芋なの?」と勘違いされることもあるのだとか。

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ホクホクとした食感の天ぷら

ねずみ大根を使ったユニークな加工品も
そんなねずみ大根の食べ方を教えてくれたのが、地元・味ロッジ株式会社のメンバーの方々。結成から10年、現在23名でねずみ大根を使った商品開発から加工品の製造・販売、そして食事処「びんぐし亭」の運営を行っています。

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味ロッジ株式会社のみなさん

これまでに手掛けた商品は、ドレッシングや漬け物、さらにパウンドケーキやかりんとうなど、「これにもねずみ大根が使われているの?」と、あっと驚くような商品を開発し、楽しませてくれています。

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直売所で販売されているねずみ大根を使った商品
上:漬け物(左)とおやき
下:ドレッシング(左)とパウンドケーキ

そしてもちろん、「びんぐし亭」でも、おしぼりうどんが食べられます。ここでは、ランチタイム限定で提供することや、ねずみ大根を旬の時期に大量に保管することによって、通年食べられるように工夫しています。

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びんぐしの里公園内にある直売所・食事処「びんぐし亭」
周辺には日帰り温泉施設などもあります

食材は大切に
ちなみに、おしぼりうどんは大根を絞った汁だけしか使いませんから、絞った後に残った繊維分は、"おから"のように利用することができます。ネギや油揚げなどをさっと炒めてだし汁で煮含めた後、味を付け、最後にその大根を加えるといった、地元ならではの「みぞれ煮」も、運が良ければ頂けるかもしれません。

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ねずみ大根のマスコットキャラクター「ねずこん」もPRに活躍中

さあこの冬、ピリピリとした刺激にはまりたいあなた、ねずみ大根が待っていますよ。地元管内のJAちくまでは、このねずみ大根のネット注文も受け付けています。「おしぼりうどん」のつくり方もご覧いただきながら、あなたもこの"あまもっくら"な体験をしてみませんか?

JAちくま「ねずみ大根」の注文サイト
 ※2013年の注文受付は、11月29日(金)までです。

◇農産物加工品直売所・お食事処「びんぐし亭」
〒389−0604
長野県埴科郡坂城町大字網掛3000

電話:0268―82‐0567
※おしぼりうどんの提供は11:00〜14:00
 定休日:水曜日
※直売所の営業は8:30〜17:00
 定休日:年末年始

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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