野菜

「まがりちゃん」を食べてぽかぽかしよう!

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長野県の中心に位置する松本市、その住宅地の一角にネギ畑が広がっていました。江戸時代には将軍家へ献上されていたという松本発祥の「松本一本ねぎ」の畑です。ここで、生産者の青木秀夫さん(70)と奥さんの京子さん(68)に出会いました。
弘法山がよく見える青空の下で、収穫の時期を迎えた立派な「松本一本ねぎ」が並んでいます。訪ねた10月末は、ちょうどこれから収穫が始まる時期でした。ネギをよく見ると、どれも曲がっています。何を隠そうこの"曲がり"こそ「松本一本ねぎ」のおいしさの特徴です。


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おいしさの秘密は夏場のひと手間
松本一本ねぎは、夏場に一本一本植え替えを行います。その際、畦(あぜ)に斜めに立てかけて土をかぶせ、そこからネギがさらに成長するため、この"曲がり"が出来るんです。成長の早い夏場に植え替えをすることで、新しく根と葉が生えて、柔らかくてぬめりの多い、おいしい松本一本ねぎに育ちます。そんなわけで、このネギは「まがりちゃん」とも呼ばれています。

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普通のネギと比べてみると......

原種を守る。松本一本葱採種組合
大正8(1919)年に発足した「松本一本葱採種組合」の組合長を務める青木秀夫さんは、代々伝わる原種を絶やさないため「松本一本ねぎ」の原種を守っています。採種用のネギは、夏場の植え替えに加えて、さらに2度の冬越しを必要とするなど、食用以上に手間ひまかけて育てられています。9月下旬に播いた種は、約5〜10cmほど芽が出ていました。小さい芽ですが、松本の冬の寒さに耐え得るとは、ネギの生命力って強いんですね。

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左:採種用の松本一本ねぎの芽
右:ネギの花を広げて乾燥させる

採種用のネギは、他の品種と混ざらないようにハウスの中で交配させます。開花したら、ネギの花を乾燥させて種を採ります。種を量るときに使用するこの道具(下の写真 右)は、すりきりで1リットル量ることができ、なんと大正8年の松本一本葱採種組合の発足当時から使われているものです。代々伝わるものを大切にする、その想いが伝わってきます。この地域で採種されたネギの種は、長野県より北の地域を中心に全国に届けられています。

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左:原種となる種
右:種を量る道具は90年以上大切に使用されている

ネギづくりから広がる取り組み
平成18(2006)年に松本一本ねぎが「信州の伝統野菜」に認定され、地元の農協であるJA松本市でねぎ部会が結成されました。青木さんの畑では種の生産をメインとしていましたが、これをきっかけに、より多くの方においしい「松本一本ねぎ」を食べてもらいたいと、ネギの出荷にも積極的に取り組みはじめました。また、おいしさを伝えることにとどまらず、地元小学校と協力して一年を通じた農業体験を行ったり、収穫したネギの調理方法を伝えるなど、食農教育にも取り組まれています。
このように活発に活動されている秀夫さんも、定年までは会社員でした。退職後、本格的に農業を継いだそうで、秀夫さんは3代目です。青木家の長男として、子どもの頃から農作業を手伝い、会社員をしながらも休日は農業を行ってきたので、ネギづくりは子どもの頃から生活の一部だったそうです。

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ハワイでリフレッシュ♪
そんなときにも「松本一本ねぎ」が......

青木さん夫妻の第2のふるさとは、"ハワイ"だとか! 農閑期となる1月から2月頃に2週間ほど、京子さんと一緒に過ごす毎年のお楽しみだそうです。「お米や梅干し、味噌などの日本食を持参するのがポイントだよ。そしたら快適にすごせるんだ」と秀夫さん。やっぱり、日本の食事が一番なんですね。農業は自然の中で育まれるため、長野県などの寒い地域ではどうしても農閑期があります。その時期を利用して、リフレッシュされているんですね。そして、なんとハワイ滞在中に「松本一本ねぎ」を見かけたこともあるそうです。どこから種が持ち込まれたのでしょうか? 名称は違ったそうですが、生産者の青木さんが一目見ればすぐに分かります。さすが青木さん、リフレッシュ中も「松本一本ねぎ」のことが頭から離れません!

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「玉ねぎよりもおいしくなる!」
秀夫さんの夢は、「松本一本ねぎ」を世界中の人に食べてもらうこと。「インターナショナルなネギにしたい」と力強く語ってくださいました。そんな青木さんは、欧州視察に行った際に、各国の方に「松本一本ねぎ」を食べてもらいました。"おいしい"という評判はいただいたとのことですが、欧州には「ポロネギ」というネギが既にあるため、取り入れてもらうのは簡単ではない、という感触。一方で、日本のフランス料理店などでは、「玉ねぎよりもおいしくなる!」と、玉ねぎの代わりに松本一本ねぎを使うお店もあるんだとか。調理法によっては洋風にも楽しめるんですね。

簡単レシピで体ぽかぽか
松本一本ねぎのスープ

20131113negi08.jpg毎日いろいろなネギ料理が並ぶ青木家がおススメする、松本一本ねぎを使った洋風スープの作り方を教えていただきました。シンプルでやさしい味ですが、とっても体が温まります。肌寒くなってきたこれからの季節、松本一本ねぎを食べてぽかぽかしたいですね!


生産者・青木京子さん特製
簡単☆
"松本一本ねぎ"スープ

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【材料】
松本一本ねぎ・・・適量
麩・・・・・・・・適量(お好みで他の食材に変更可能)
バター・・・・・・適量
オリーブオイル・・適量
水・・・・・・・・適量
コンソメ・・・・・適量
塩・こしょう・・・適量

【作り方】
1.刻んだネギを、バターとオリーブオイルで炒める。
 *バターだけでもよいが、オリーブオイルと半々にした方が香りも強くなり過ぎずあっさり食べられる。
2.ネギがしんなりしたら、水とコンソメ、麩を加える。
3.塩・こしょうで味を整えたら出来上がり。


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松本一本ねぎ・愛称「まがりちゃん」のシーズンは、11月から12月下旬までです。JA松本市の農産物直売所やネットショップのJAタウン「僕らはおいしい応援団」などでお求めいただけます。

◇関連リンク
JA松本市 松本一本ねぎコーナー

◇あわせて読みたい
松本一本ねぎが冬の鍋物に欠かせない理由は
この甘みの虜になった。「松本一本ねぎ」

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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