富士山、立山、白山などと並ぶ霊峰とされ、古くから信仰を集めてきたのが木曽・御嶽山。標高3,067メートルの独立峰で、台形型の山容はどこから見ても堂々とした姿です。その御嶽山の裾野に広がる標高約1,100〜1,300メートルにある開田高原では今、ひと玉約2.5キロ前後もの大きな"御岳白菜"をはじめ、特産のトウモロコシの飛び出た穂や、鮮やかな赤い花を咲かせた花豆の高い棚がひと際目を惹きます。
そんな開田高原を代表する野菜たちの陰になりながらも、密かに人気を集める野菜があると聞きつけ、この開田高原にやってきました。
上品な光沢をもつ細身のべっぴんさん
見渡す畑には、トウモロコシやツタの絡まる花豆など、背丈以上もの高さで野菜がグングン育っています。いったいどこに"それ"があるというのでしょう?
ありました! 背の高い野菜の奥に見つけたのは、膝丈ほどの小柄な作物。葉っぱの陰に隠れてたんまりと実らせていたのはインゲンです。デコボコとした凹凸の無い、スラリと細くて上品な光沢をもつ姿。長さは広げた掌よりも少し短いくらいでしょうか――。
そんなインゲンが実るのは、栽培を始めて12年になるという幸野けさ江さんの畑。種類がいろいろあるインゲンのなかでも幸野さんが栽培するのは、「つる無しインゲン」です。
開田高原では約30軒、木曽郡内としてはおよそ100軒がこのインゲンを栽培しているそうです。
「明日はもっと大きくなってね」
インゲンに話しかけながらやってます。
通常は、種を播いてから60日ほどで収穫になるといいますが、今年は50日で収穫しているといいますから、今年の天候は野菜の生長を早めたようです。それを夏の間、年3回種を播いてから収穫までを繰り返し行うのだそうです。1本の苗から一日で15本ほどが収穫でき、1ヶ月間毎日収穫が続くそうですから、とても子だくさんなインゲンですね。
幸野さんは、「明日はもっと大きくなってね、とインゲンに話しかけながらやってます」と、雨の中でも笑顔を見せて話してくれました。
一流料亭も認める甘みと軟らかさ
収穫されたインゲンが向かう先は、この地方から比較的近い中京や関西方面で、呼び声の高い一流の料亭などで扱われるほど人気の高いものになっています。
見た目の美しさはもちろんですが、ここで育つインゲンならではの甘み、そして軟らかさがその人気の理由なのだとか。
人気あるインゲンに育つ条件は、やはりこの気候にあるのでしょう。夏でも朝晩の気温18度ほどと涼しく、日中はだいたい28度ほど。暑くても30度といいますから、なんともうらやましい・・・。とはいえ、この日中の日差しと朝晩の気温差が、インゲンをスクスクと生長させ、よりおいしく、実りよく育てているのです。
7月中旬から収穫が始まったインゲンは、霜が下りる前の9月下旬まで収穫が続きます。
元気になれる o(^∇^)o♪
インゲンレシピ
幸野さんがつくってくれた、おいしくて簡単なインゲン料理を2つご紹介しましょう。
温かいうちにいただきましょう!
インゲンの素揚げ
【作り方】
インゲンを油でさっと揚げ、塩・コショウ・ゴマを振りかけて全体を混ぜる。なんと、これだけ!
少し濃い目の味付けがご飯にピッタリ!
インゲンの煮物
【作り方】
1.インゲンを茹でたら水にさらす。
2.水を軽く切り、みりん、砂糖少々、しょう油、粉末のだし、唐辛子(中辛のもの)少々などをお好みで加え、そこに水1カップを入れて強火にかける。
3.沸騰したら中火にし、水気が半分位になるまで10分少々煮る。
4.最後にごま油を回し入れる。
最後は、ほとんど生に近いシャキシャキとした状態で食べるのが意外に美味しい「インゲンのミネストローネ」のご紹介です。夏の日差しをたっぷりと浴びた野菜をふんだんに入れてお試しください。
・「藤木徳彦シェフの'おうちでフレンチ'」