野菜

白菜作りのプロフェッショナルに逢ってきた

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木曽の御岳山(3067m)の山麓に広がる木曽郡の標高1000メートル近い高原で、今年も6月22日から、「御嶽はくさい(おんたけはくさい)」の出荷がはじまっています。50年以上の歴史を持つ「御嶽はくさい」は、品質において日本一との呼び声も高い木曽を代表するブランド野菜のひとつで、市場からも高い評価を受けており、この名前で平成6年には商標登録もされました。

夏場に高冷地で生産されるのが長野県の白菜栽培の特徴ですが、「御嶽はくさい」も郡内の木曽町開田高原や木祖村の標高の高いところで栽培され、7〜10月にかけて本格的な出荷が行われます。

夏場の生産が主なことから「御嶽はくさい」はこれまでそのほとんどが高級な漬物の原料として利用され、主に中京や関西方面に出荷されてきました。漬物業者からは「歩留まりがいい」、つまり「使えない部分がほとんどなく、商品化率が高い」と高く評価されて、とにかく圧倒的なシェアを誇っているのですが、漬物屋さんがほしがるその品質の良さの源はどこにあるのか、それを探りたいと考えて、今回は生産地の木祖村を訪ねました。

長野県が誇るブランド野菜のひとつ
「御嶽はくさい」は、今から56年前の昭和28年に木曽郡開田村(当時)で栽培がはじまりました。この2年後には木祖村でも栽培がスタート。以後50年以上の歴史を重ねてきた白菜のことを知り抜いた産地です。

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この間、農家とJAが協力し、栽培技術を確立。JA木曽の営農指導員、奥原辰男(おくはらたつお)さんによると、現在の栽培農家数は40戸と少ないのですが、数が少ないがゆえに、みなが同じ品質のものを作るという栽培技術の統一が徹底されていて、それが「どの箱を開けても品質がかわらない」という市場の安心感につながっているといいます。栽培技術の統一が、高い評価を受けているひとつの要因といえるでしょう。

直播き栽培が違いを産み出す
「御嶽はくさい」の栽培で、産地がこだわり続けてきたのは、栽培においては直播(じかま)きをするということでした。ontake_hakusai_b.jpg全国的に見ると多くの産地は苗を畑に移植して育てるのですが、「御嶽はくさい」の場合は、畑に直接種を播いて育てることを徹底しているのです。直播き栽培には苗と比べて芽が出ないというリスクがある一方、太い根が土中にしっかりと張り、干ばつや多雨への抵抗力が強く、生育期間も短くできる長所があります。

平成元年には柔らかくて甘みのある「大福」という品種を導入。味がよく、中の黄色が濃いため漬物にしたときにも見映えのする品種なのですが、ややデリケートな性格のため、栽培方法を確立するまで苦労しました。

ontake_hakusai_d.jpg農薬の使用を減らす技術
木祖村では、畜産も盛んなのですが、そこで出される牛糞を堆肥化し「御嶽はくさい」の栽培に利用しています。白菜農家と畜産農家が連携することで、畜産農家は副産物を販売できますし、白菜農家は有機肥料を比較的安価に購入することができるのです。肥料以外にも、このほか、害虫のコナガ(小菜蛾)対策として、「コナガコン」という資材(写真)を導入。フェロモンで雄のコナガをかく乱し、コナガの発生を抑えるというもので、こうした資材の活用で農薬の使用量も減らしています。

ここでは白菜だけをきちんと作る
畑で作業をしていたこの道50年以上のベテラン農家、芝原誠一(しばはらせいいち)さんは「ほかの高原野菜産地は、キャベツやレタスなども作っているが、ここは白菜だけ。俺たちは白菜づくりのプロなんだよ」と言います。プロ農家としての自負と熱い思いが感じられる言葉でした。その気持ちこそ「御嶽はくさい」を作る農家のみなさんが共有している思いなのかもしれません。

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夏の間は出荷がとぎれることはない
白菜は種からおよそ2カ月ほどで出荷できる状態になります。これがどういうことかと言いますと、農家の人は種まきから60日後の収穫をあらかじめ元にして計算し、すべての作業を決定していくわけです。木祖村では基盤整備された白菜団地(専用の畑)がいくつかありますが、そこでは標高の低い畑から出荷がはじまり、時の流れにあわせて順に標高の高い畑に移りながら、秋10月まで出荷がとぎれることはありません。

今年の作柄は例年以上
奥原さんによりますと、今年は例年以上に作柄がよく、病害虫もほとんど発生していないそうです。朝晩涼しい日が続き、梅雨に入っても長雨が続かないことが要因ではないかということで、どの畑でも生育が揃っていました。

ほぼすべてが漬物原料向けに出荷されてしまいますが、地産地消の流れが起こって以来、地元木曽郡木曽町のAコープきそ店の直売コーナーなどでも販売されるようになっていますから、ドライブなどで木曽方面にお出かけの際はぜひのぞいてみてください。

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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