野菜

南信州・天空の里で育つ「下栗いも」

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南信州の山間に「太陽が足下から昇る」と表現される集落があります。そこは、日本の原風景を訪ねたいと思ったら、まず訪れてほしい場所。何故かって?それは機械を使わない人の手による農業が今なお受け継がれ、それが暮らしに根付いているからでしょうか。
下栗(しもぐり)の里と呼ばれるその集落は飯田市上村にあります。標高は約1000m、最大傾斜38度といわれる山肌に、約50世帯の人々が暮らしていて、そのたぐいまれな美しい景色から「日本のチロル」とも呼ばれています。
この下栗の里に、ここでしか採れない伝統野菜があるのはご存知ですか?それは、実が締まって旨味濃厚なジャガイモ、下栗いもなんです。

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傾斜で育つ下栗いも、作業はすべて人の手で
南信州の秘湯と秘境の里として有名な遠山郷。その一画に下栗の里は位置します。観光パンフレットや、某引越し屋さんのCMでおなじみの場所は、本村という集落です。ここで農業を営む野牧年甫(のまき・としほ)さんの畑にお邪魔しました。畑に立ってみると、写真で見るよりもかなりの斜度があり、歩けないことはありませんが、バランスを取るのが難しいほどの傾斜です。この地で昔から下栗いもを栽培している野牧さん。慣れた足で畑を移動していきます。「傾斜があるから全部手作業だよ。ここで生まれ育ったからいいけど、そうでなければいくら若くてもここで農業やるのは大変じゃないかな?」と笑顔で話します。

この日は前日の雨で収穫の予定はありませんでしたが、特別に一つ掘って頂きました。斜面の上に立ち、見下ろすような体勢で下栗いもを掘り出す野牧さん。あのー、体を下に持っていった方が楽じゃないですか?「いやいや、これだけ斜度があるんだから、下から掘ったら土がどんどん落ちちゃうんだよ。畑を守っていくために、上から掘るのがここの鉄則なんだ。」た、確かにその通り!w(゚o゚)w 先人たちから受け継がれてきた知恵に納得です。


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小さくても旨味がギュッ!どんな料理にも使える優れもの
さて、小さなかわいらしいジャガイモたちが出てきましたよ。これが下栗いもです。もともと小粒な品種ですが、でんぷん価が16%と、男爵イモ(13.5%)やメークイン(12.2%)と比べて高く、旨味成分たっぷりで濃厚とのこと。さらに実が締まっているので煮崩れしにくい特徴があるんです。

ちっちゃくて皮がむきにくそう...と思ったそこのあなた!!下栗いもは皮が薄いので、むかずにそのまま煮たり焼いたり炒ったり、どんな料理にも使える優れものなんです!
「地元では2〜3cmくらいの本当に小さないもが人気なんだ。うちではね、小さな下栗いもは洗って、生のまま炒めて、醤油や砂糖、みりん、お酒で煮詰めて食べるんだよ。ピンポン玉くらいのは田楽にしたり、ゆでてからから揚げにしてエゴマ味噌で食べたりするとおいしいんだよ」と野牧さん。なるほど、皮ごと食べられる下栗いもならではの食べ方があるんですね。


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ちなみに、下栗いもの食べ方で一番ポピュラーなのは田楽です。里芋ではなく、ジャガイモの田楽なんてあまり聞きませんよね。でもこれが味も実もしっかりしていて、串に刺しても崩れない(皮もついてますし)ため、田楽にうってつけ!エゴマ味噌を付け、囲炉裏で焼くのが王道なんだそうです。
下栗の上部に位置する食堂「はんば亭」で食べることができます。ホクホク濃厚なここだけの味にリピーターも多いということです。


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ウイルスフリー化で収穫量が2〜3倍に
ところで、下栗いもは200年にも及ぶ自家増殖の間に複数のウイルスに侵され、収穫量が激減、つい最近までは消滅の危機に瀕していたそうです。そのピンチを救ったのが、下栗いもを軸に地域おこしをしようと取り組む「下栗里の会」です。原種再生を目指して、信州大学農学部と連携し活動してきました。その努力の甲斐あって、下栗いものウイルスフリー(ウイルスに侵されていない)化が進み、収量が以前の2〜3倍にもなったとのこと。その味わいを求めて都会の料理店からも引き合いがあるといいます。収量が安定したために、今では自分たちが食べる量を確保しつつ、外にも出荷できるようになったということです。

ブルーベリーにお茶...実は下栗いもだけじゃない
「下栗の農業は下栗いもだけじゃないんだよ!」と野牧さん。聞けば、下栗いもを収穫した後の畑ではソバを栽培するんだそうで、その蕎麦がまた大評判。他にも、キャベツやトウモロコシ、ブルーベリー、お茶など様々な農作物が作られています。日照時間が長く、気温の涼しい高地ならではの味わいで、「下栗で採れたものは全部おいしい」と言われるほどです。中でも天然のこんにゃく芋から手作りしたコンニャクは珍しく、郷土料理としても人気なのだそうです。
また、JAみなみ信州に出荷している花きは、高地栽培のため色が鮮やかで、他の産地に妬まれるほどだとか。


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うーむ、ひとつひとつ詳しく紹介したいほど、下栗はネタの宝庫なんですね!
こんなに傾斜のある集落で沢山の種類の農業が行われているのにはビックリです。「下栗から町まで遠いでしょ。昔は今みたいに交通の便も良くなかった。だから下栗の集落だけで生活できることが必要だったんだよ。その名残で今でも色々作るし、食べ物を保存する知恵も残ってるんだ。斜度があるから機械を使った農業もできないしね」と野牧さんがその理由を話してくれました。なるほど。訪れた人皆が日本の原風景を感じる秘密もそのあたりにありそうですね。(^_^)

ビューポイントも住民自ら整備
下栗の里へ来たら、本村集落を眺望できる「天空の里ビューポイント」へ行かない訳にはいきません。ここは、平成21年に地区の住人ほぼ全員が参加し、歩道等すべて人の手で整備したそうです。地域を愛する住民の方々のまごころがこもったビューポイントからは、本当に素晴らしい景色が眺められますよ。o(*^▽^*)o



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下栗の里へは、中央自動車道飯田ICから車で約75分。路幅の狭い箇所があるので、譲り合いの精神を持ってお出かけください。



リンク
南信州・遠山郷「下栗の郷」自治会ウェブサイト
信州遠山郷ウェブサイト

地図(はんば亭)

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