加工品

ジュース工場のある大きなりんご農場へ行く


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長野県がリンゴ一色に染まり、農家がその収穫に追われる今、リンゴジュースをつくる工場もまた、フル稼働しています。9月の"つがる"からはじまったリンゴの搾汁作業は、11月からは"サンふじ"が、そしてこの作業は来春の2月まで続きます。

車窓からいくつもの観光農園の案内看板や果樹園が目に飛び込んでくる県南部の下伊那郡松川町。伊那谷の河岸な段丘と雄大なアルプス、そして天竜川に育まれた自然あふれる高原。水はけが良く日照時間も長い恵まれた環境から、農産物の7割が果樹というフルーツの町です。

今が最盛期のリンゴをはじめ、初夏にはサクランボ、夏はモモ、また秋には梨やブドウといった様々な果物も目的のひとつの観光客が県内外から訪れるところでもあります。無数のリンゴの赤い実を付けたりんごの木々に囲まれたこの町の高台に、「林檎工房」と名づけられたジュース工場と広い駐車場のある大きなりんご農場の「株式会社なかひら農場」があります。

 

nakadaira_juice_factory.jpgなかひら農場中平社長の孝雄氏 60歳

そのままリンゴを丸ごと瓶に入れたい
美味しい味をいかに作り出すかを追求することに情熱を注ぐ、なかひら農場社長の中平孝雄(なかだいら たかお)さんの言葉を拾ってみました。

 

「出来ることならそのままリンゴを丸ごとストンと瓶に入れたいくらいだよ。だってそれが一番美味しいんだから」

「リンゴは生が一番美味しい。でもそんな生に創意工夫を加えて、まるで生の美味しいリンゴを食べているかのようなジュースを創り出すのが面白いし楽しいし、やりがいがあるんだよ」

「まずリンゴが一番美味しい時に瓶詰めですね。あまり手をかけず、つまり素材にストレスを与えないことです。ストレスとは搾汁作業のことですが、搾汁で素材をいじり過ぎる(搾汁し過ぎる)と味が変わってしまうんです。だから搾汁作業にはこだわりがありますよ」

そのこだわりの製法で作ったこの農場を代表するジュースのひとつが「果肉入りおろしりんご」です。これは、リンゴにストレスをかけ過ぎないようにゆっくりすりおろすという斬新な発想で、中平社長がこれを商品として発売した約20年前には当時の口コミで評判となり、今では当たり前のように各ジュース会社が販売する「すりおろし」の普及に尽力したファーストランナーでもあります。

「専門分野の勉強を行う前に」もともと農家の出身という中平社長は「農家が『素材の味をいかに損なわず瓶に入れるか』という発想でつくったのが良かったんだね」と、当時を振り返って笑いました。

 

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ジュースにするための果樹栽培という道
今では長野県内はもとより県外からジュースのPB(プライベートブランド=自主企画商品)の製造を請け負うことが多く、地元長野県産のリンゴをはじめとして、県外や海外の厳選した果物や野菜を原料にジュースの製造も手がけている従業員数30人の株式会社なかひら農場(下伊那郡松川町)。

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株式会社なかひら農場のジュース工場部分の全景

大きな農場の一部に建つ青い屋根にクリーム色の平屋建て1,500坪の工房を訪れた時、工場内は、マンゴーをはじめとする南国系フルーツの甘く美味しそうな香りが立ち込めていました。この工場で生産される年間約200万リットル、40種類以上ものジュースは、ここ伊那谷から首都圏をはじめとする全国の大手デパートやフルーツパーラーなどへも出荷されています。味はもちろん、さらに今までにない味をオーナーさんから求められることが多いそうですが、南信州の小さな町から全国に誇れるジュース作りを目指すジュース工場のなかひら農場は、最初の精神のとおり、美味しいジュースはまず原料からと、素材選びからこだわり、とことん味の追求を続けています。

中平社長はこう語りました。

「私はもともと農家出身ですから、果物づくりの難しさや果物本来の美味しさを知り尽くしているんです。だからブランドオーナー様の熱い想いや夢を叶えたくて、一緒になってジュースという形に作りあげていきます」

これからのジュースづくりの将来像をうかがうと、

「今までは、生食用のリンゴとして販売されないもの、たとえば色付きが均一でなかったり、サビがあるもの等をジュースとしていたのが一般的でした。でもこれからは、最初からジュースにするべきものとして生まれた果物をつくり、一番美味しい時期を見極めてジュースにするのもありかな」

「ジュースは素材の色合いの見た目で味は左右されません。リンゴだと見た目を良くするために、葉摘みといって、実の周辺の葉を取って日光を当て、美味しそうな色合いをつけさせる作業を、行いますが、これには葉から果肉に注がれるべき養分が失うリスクも伴います。であるなら、葉摘みを行わずジュースにすれば、美味しい味に仕上がるし、葉摘みの重労働も軽減でき、年配の方も農場で元気で働いてくれる環境もつくれるのではないかと考えているんですよ」

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なかひら農場からの風景。同社のホームページより

株式会社なかひら農場の明日
リンゴ農家から起業し、家族経営のジュース工場をはじめたなかひら農場は、まもなく20周年を迎えます。農業生産法人としてのリンゴづくり、また株式会社としてのジュース製造とで、現在12、000坪の広大なスケールをもつ農場内では、リンゴの販売をはじめ、約10類のジュースの試飲設備、また時間無制限で行えるリンゴ狩りと、南アルプスの雄姿を見ながら南信州を満喫できるようになっています。さらに現在、ますます施設を充実させるべく、新たな飲食施設の建設もはじまっていました。

 

株式会社なかひら農場の目玉商品である「すりおろしりんごジュース」は、この農園で栽培されたものを含め松川町周辺を中心とした長野県産サンふじの厳選された素材を使用して作りあげています。これらは農場内の売店や、なかひら農場のホームページで購入することが出来ます。

 

 なかひら農場へのアクセス:

 ・株式会社 なかひら農場ホームページ

 

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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