あんずの原産地は中国のネパールにつながる険しい山岳地帯。中国では紀元前4000年頃から食用に、また薬用として利用されてきた大変歴史の古い果実です。日本への伝来時期ははっきりとしないものの、平安時代の文献にすでに「加良毛毛(カラモモ)」「唐桃」として登場しています。江戸時代には咳止めの漢方薬にもなる杏仁(あんにん=種子の仁)を取るために珍重されました。
信州名産のあんず
あんずは梅より耐寒性が強くて、甲信越や東北地方で古くから栽培されています。なかでも長野県の北信地方、千曲市森・倉科地区や長野市松代・安茂里地区などでの生産量が多く、昔から「あんずは善光寺の鐘の聞こえるところに育つ」とも言われてきました。
元禄時代、伊予宇和島藩伊達宗利藩主の息女豊姫が信州松代藩真田幸道藩主にお輿入れの折、故郷の風情を偲ぶためにあんずの種子を持参したのが長野県でのあんず栽培のはじまりとも言われています。
あんずの効き目
あんずの果実はオレンジ色で、ベータカロチンが多く含まれます。ベータカロチンは老化やがん発生のもとと言われる過激なフリーラジカル(活性酸素など)を消去する効果があります。独特の酸味は、胃液の分泌を促進させ消化を助け、疲労回復、食欲増進に役立ちます。ミネラル分も多く、カリウム、鉄分の含有率は数ある果実類の中で比較的多い数字となっています。なお、杏仁に含まれるアミグダニンは鎮咳・鎮静効果があり、各種漢方薬の配合剤として使われています。
あっという間のあんず
長野県のあんずの生産量は約1000tと全国の2/3を占めますが、6月下旬から7月上旬の約3週間で出荷が終わってしまう短期勝負の果物です。まさに「旬」を感じることができる果物と言えるでしょう。
あんずの種類はひとつじゃない
一口にあんずと言ってもいくつもの品種があります。品種によりジャムに向くもの、シロップ漬け、砂糖漬けなどに向くものなど特性が異なります。また最近では生食に向く品種も増えてきています。
JAタウン「全農長野 僕らはおいしい応援団」ではJAちくまの『生あんず』を下記のとおり販売中です!。今年は5月の気温が低めだったため、例年より出荷は遅くなりそうな気配。
加工向けあんず
- 平和(ジャム作りに最適)...出荷時期6月25日?7月3日
- 新潟大実【昭和】(シロップ漬けに最適)...出荷6月28日?7月10日
- 信州大実(シロップ漬。生食でも)...出荷時期7月4日?7月15日
- 信月(シロップ漬。生食もOK)...出荷時期7月8日?7月15日
加工向けあんずのご注文
生食向けあんず
- ハーコット(生食用品種)...出荷時期7月1日?7月12日
生食向けあんずのご注文
今でこそあんずはスーパーの店頭でも見ることができるようになりましたが、元々は加工専用の果物でした。千曲市森のあんずは一目十万本とも言われ、毎年春にはお花見で全国から大勢のお客様が訪れます。大正時代からその森地区であんずの加工に取り組み、長野県のあんず産業を語るのに欠かすことができないのが、JAタウン「全農長野 僕らはおいしい応援団」の『森食品工業株式会社』です。同社のホームページには、あんず製品がいっぱい並んでいて、今にも甘酸っぱい香りが漂ってきそうです。ぜひお越しください。
森食品工業株式会社のホームページ