マスターソムリエに聞いた信州ワインの魅力

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信州にも平年よりだいぶ早く桜の季節がやってまいりました。ワインといえば冬の暖かい室内で楽しむイメージがあるかもしれませんが、いえいえそんなことはありません。その季節季節にぴったりのワインがあるからです。

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信州産ワインのすばらしさは、これまでも当ブログマガジンでお伝えしてきましたが、まだその格別なテイストをご存じないみなさんに、信州ワインをより楽しんでいただくため、今年もマスターソムリエである高野豊さんに話をうかがいました。高野さんは(社)日本ソムリエ協会の常務理事で、ご自身も信州ワインや日本のワインの魅力を国内外に発信されています。

まずはじめに、信州ワインが他のワインとくらべて際立っているところを4点あげておきましょう。

1.長野県原産地呼称管理制度で保証された品質

2.国産ワインコンテストのワイン専用種部門で金賞のほとんどは長野県ワイン

3.ソムリエの資格認定試験の利酒試験用として使われ、ソムリエになるには長野県産のワインを飲まなければ資格がとれないというくらい必要不可欠な存在であること

4.海外にある日本大使館において接待用に使用されるなど、国内外の専門家の間で長野のワインは一目を置かれ、今後に期待されている


ワインには物語性が必要
「いかに楽しんでもらうか、これがまず大前提。そのためにはワインの一本一本に物語性がないと飲んでみたい気持ちにつながらない」

そのように高野さんは言います。ワインを飲む人に品種、産地、歴史を組み合わせたストーリーを語り楽しませ、20年をこえるソムリエの経験から蓄積されたデータをもとに、ワインの好みによる性格や人生傾向を分析・披露し、独自の楽しみ方を演出するのです。一例を紹介しますと、今では県内有数のぶどう産地となっている塩尻市の桔梗ケ原産のナイアガラを使用したワインについていうのなら――

『明治時代初期に試験的に導入されたおよそ30種類のぶどうがありましたが、寒さに耐えられず枯れてしまい、唯一生き残ったのが北米系で耐寒性のある「ナイアガラ」と「コンコード」。それがある日、壽屋(「ことぶきや」現サントリー)と出会い、塩尻市は原料ぶどうの供給産地として大きく発展しました。そのような塩尻の地で誕生したナイアガラは、特にスパークリングワインやアイスワイン(デザートワイン)にぴったりな品種となっています。店頭で黄色く飴色になったナイアガラの香りを懐かしく好ましいものと感じる人は、まずそれなりの人生経験をされた方で、いつまでも心は若々しい人なのかもしれません』

――といった具合。どうですか、ご自分の飲まれているワインにまつわる物語を考えるだけで、心が浮き立つようではありませんか?

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ワインは料理にではなく人にあわせる
「ワインのことは難しくてよくわからないとおっしゃる方がいますが、私は、ワインを料理にあわせる前に飲む人にあわせるべきという考え方です。これからソムリエになる方やお付き合いのある方にはそのように話をしています。飲む方が身構えてしまうところをソムリエがすっきりさせてあげれば、気軽に楽しめるんです」

例えば肉料理には必ずしも赤ワインである必要はなく、飲む人の好みが大事であると高野さんはいいます。そしてソムリエが飲む人の好みを見抜けるかどうかも重要であるとも。

わたしは農業系のソムリエ
「ソムリエになる前から村の中に入り込んで、農家のおじさんおばさんに茶碗やコップでワインを楽しんでもらいたいという思いで繰り返しやってきた」とおっしゃるように、高野さんはソムリエの一般的イメージとは違い、山奥の公民館から帝国ホテルまでと守備範囲が広く、ワインの楽しさを知ってもらおうと知識の有無や場所も関係なく活動をされています。さらには、高野さん自身「農業系のソムリエです」というように「栽培農家の思いをどう活かすか、ワインを含め長野県農産物の良さを発信し、よい時・場所で農産物を取り扱ってもらえるよう、ブランド化の支援をしていきたい。」と語ってくれました。

最後に、信州産ワインのPRと春に飲んで欲しいワインをお聞きしたところ、

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左側の二本が信州産スパークリングワイン、信州産ロゼワイン、信州産白ワインの順

「長野県原産地呼称制度の認定ワインは、国際的に通用するワインであり、ここ3、4年で急速に進化しています。海外への土産としても太鼓判ですし、喜ばれるはずです。また、入学・入園・卒業・就職・退職などハレの時にこそ飲んで欲しいのが、どんな料理にもあって大勢の人で楽しめるスパークリングワイン。そしてお花見の季節に、日昼、屋外で友達同士、気軽に楽しめるのがロゼです」

との言葉をたまわりました。なるほど発泡性のワインはお祝いに合いますし、ロゼは花びらの色を映したようで、この季節にぴったりのワインです。ぜひワインのもつ物語を創造しながら、ともに信州産ワインを愉しむといたしましょう。

参考サイト:

酒とワインの専門商社 高野総本店 ウェブサイト

長野県原産地呼称管理制度(長野県公式ホームページ)


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