暖かくなってきて、すっかり春ですね♪
今回はいちご園の紹介です。甘いいちごを食べて新年度もがんばりましょう。
小諸市は日本のいちご生産発祥の地
訪れたのは長野県の東部に位置する小諸市の「こもろ布引いちご園株式会社」です。いちご狩りと業務用いちご生産、苗の出荷を行っています。
取材時は残念ながら雨でしたが、天気がいいと駐車場から浅間山が見えることがあるそうです。
こもろ布引いちご園Facebookより引用
社長の倉本浩行(くらもと・ひろゆき)さんに案内していただきました。
小諸市は日本のいちご生産発祥の地といわれています(参考:小諸のいちご栽培とジャムの日/小諸市オフィシャルサイト (komoro.lg.jp))。
「小諸市をはじめとした長野県の東信地区は全国でも冬の日照時間が長く、昼夜の寒暖差が大きい場所です。そのため昼間に光合成によって糖が生成され、夜は冷え込んで呼吸が抑えられる分、糖の消費が少なくなるので、甘いいちごになります」(倉本さん、以下同)
GAP認証ってなに?
安全で安心できるいちごづくりのため、害虫のハダニ対策には天敵であるチリカブリダニを導入。さらに薬剤の使用量を減らすため独自の散布機を開発するなど、できるだけ農薬を使わない栽培を目指しています。2016年には「GLOBAL G.A.P」を取得しました。
東京オリンピック・パラリンピックで使用する食材で「GAP認証」が条件とされ、一時期話題となりましたが、「GAP」とは何でしょうか。
GAPは「Good Agricultural Practices」の略称で「農業生産工程管理」のこと。農業生産の各工程の実施、記録、点検および評価を行うことにより、食品の安全性向上、環境の保全、労働安全の確保などに役立てるとともに、農業経営の改善や効率化につながる取り組みです。
GAPにはJGAP、ASIAGAP、GLOBALGAPなどの第三者認証の制度が設けられています。その内のひとつがGLOBALGAPであり、欧州を中心に世界 120 カ国以上で実践されています。
「誰が見ても安全だというためには第三者機関による証明が必要だと感じて、独学で勉強して取得しました」
こもろ布引いちご園は小諸市の小学校の学校給食にこれまで20年間いちごを提供しています。安全ないちごは地元に愛されているのですね。
いちご全滅からの再起
同園は2000年にいちご狩りをスタートし、今年でいちご狩りに訪れた人は累計60万人を超えました。
2003年に長野県知事賞、2008年には日本農業賞大賞や農林水産大臣賞を受賞するなど、輝かしい経歴を持っています。
(詳細は「長野県のおいしい食べ方」過去記事「ようこそ、日本のイチゴ生産の発祥の地へ!|地域情報|長野県のおいしい食べ方 (iijan.or.jp)」をご覧ください)
しかし、2011年から2012年にいちご苗が病気により全滅し、多額の負債を抱え、倒産の危機を経験しました。
倉本さんは大学では経営工学を専攻していました。在学中には就職氷河期だったこともあり、大学を中退して父とともに起業しました。
「苗がだめになって、いちご栽培を勉強しなおすきっかけとなりました」
国内外でいちご栽培を指導する仕事をして、そこで植物生理学を生かして科学的なデータに基づいて栽培することの大切さに気づいたといいます。
最先端の栽培管理技術の導入やGROBALGAPの取得などの努力により、やっと債務超過を乗り越えました。すると今度は新型コロナウイルスが発生してしまいました。
「コロナ前と比べて、いちご狩りの客数は半分ほどに減りました。いちご狩り園で残ったいちごは完熟してから収穫することになるので、『加工用いちご』として販売します。年間23トン、およそ8万2千パック分のいちごを加工用いちごとして販売しましたが、加工用いちごの販売価格はいちご狩りの5分の1の収入にしかなりません」
完熟のいちご
倉本さんは昨年、父から経営を引き継ぎました。
今後は敷地内に加工場をつくり、独自で冷凍いちごに加工して県内のホテルなどに販売したいと考えているそうです。
いちご狩り=いちご食べ放題
いちご狩りは元旦から6月末まで開園しています。松本や軽井沢などの観光のついでに訪れる方が多いのだとか。
主力の品種は「紅ほっぺ」と「章姫(あきひめ)」で、運が良ければその他の珍しい品種も食べることができます。
同園のいちご狩りは、予約なしで入れる一般と、予約制があります。
一般のいちご狩りの料金は大人1800円(2022年4月取材時。詳細は同園HPをご覧ください)で、紅ほっぺ、章姫を中心に5品種が食べ放題です。制限時間は「おなかがいっぱいになるまで」です。
コロナ対策のため、喫茶スペースでいちごを食べますが、喫茶スペースでは無料の紅茶と練乳のほかに、ソフトクリームや大福が販売されています。いちごをトッピングしたり、いちご大福にしたりできます。
予約制では1時間3500円で、いちご18品種を食べ比べでき、紅茶・練乳が食べ放題。加えてソフトクリーム(バニラ・チョコ・抹茶)、エスプーマ(練乳クリーム・チョコクリーム)つきという贅沢な内容です。
予約専用のビニールハウス
主力の紅ほっぺ、章姫以外にも珍しい品種のいちごが食べられます
昭和11年に野生のいちごをもとに育種された「御牧いちご」
現在栽培されている幾多の品種の祖先ではないかといわれています。
エスプーマ(練乳クリーム)をのせている様子
「予約制のいちご狩りでは、いちご1パックの持ち帰りができます。ソフトクリームにエスプーマといちごをトッピングし、『いちごパフェ』にしてお持ち帰りされる方もいらっしゃいますよ」
まるでスイーツ食べ放題みたいですね!