長野県といえば高原野菜。主力のレタスは6月から出荷が本格化します。
おいしいレタスを“おいしい状態を維持したまま”届けるためには、流通方法がとても重要です。
野菜が輸送中に傷まないように、集荷場から卸市場まで専用の保冷トラックで運び、産地から小売店まで一定の低い温度を保つ流通方法を「コールドチェーン」といいます。
その現場を取材しました。
真空予冷で野菜の中までしっかり冷やす
長野県東部に位置する南牧村にある、JA長野八ヶ岳の板橋集荷場にやってきました。
ここでは多いときはレタス1万2~3千ケース、白菜やキャベツなどほかの野菜と合わせると、合計5万弱ケースもの野菜を集荷します。
箱詰めされたレタスが次々と運び込まれています。
検査員によりチェックを受けたレタスは、真空予冷施設で冷却されます。
真空予冷施設
真空予冷施設からレタスを出している様子
真空予冷施設は、内部を徐々に真空にすることで、野菜を短時間でむらなく冷却することができます。気温にもよりますが、およそ20分程度で5℃まで冷やすことができます。
案内していただいた南牧支所 販売指導課の井出課長によると「レタスの鮮度を保つためには、芯までしっかりと冷やすことが必要です。また、真空により余分な水分が抜けるのも品質維持に役立っています」
冷蔵庫のような通常の予冷庫では表面から冷やすため、内部まで冷やすには時間がかかり、その間に野菜の劣化が進んでしまいます。しかし、この施設を使うことで効率よく冷却することができるのですね。
冷やして鮮度を保ち、おいしさ長持ち
冷却が完了したレタスは、高温の外気から遮断できる特別なトラック「低温輸送車」で輸送します。
輸送車に入りきらない野菜は立体予冷施設で一時的に保管することで、鮮度を保ちます。
「コールドチェーンを構築することで、通常のレタスより1~2日は棚持ちが良いと出荷先からおっしゃっていただいています。JA長野八ヶ岳産の産地としてのブランド構築に役立っています」(井出課長)
棚持ちがいい、つまり長持ちするということは、SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」でも取り組むべき課題とされている「食品ロス」の軽減に役に立っています。
産地の信頼を守ることで、より多くの方にレタスを食べてもらえるのですね。
JA長野八ヶ岳のレタスのピークは6~9月です。お近くのスーパーでレタスを見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。