長野県はパセリの生産量全国1位※。例年5月中旬から11月中旬にかけて出荷されます。
※令和2年度、農林水産省「野菜の作付面積、収穫量および出荷量」「野菜生産出荷統計」「地域特産野菜の生産状況」より
今回は県内主要産地のひとつである、塩尻市洗馬の古畑公代(ふるはた・きみよ)さんの圃場にうかがいました。
古畑さんはこの道30年。もともと嫁ぎ先が兼業農家で、その手伝いをしていましたが、15年ほどして養祖父が他界したことを機に、本格的に農業に取り組むようになりました。
当時、幼い子どもの面倒を見ながら家の近くで栽培できるということで、パセリの栽培をはじめました。
現在、ハウス 3a、露地 10aでパセリを栽培しています。
「パセリは重い荷物を持つなどの重労働があまりないので、女性が栽培するのに向いていると思います」(古畑さん、以下同)
出荷用段ボールに200gのパセリを12個入れますが、段ボールも入れて3㎏程度なので、確かに持ち運びは楽そうですね。
意外に難しいパセリの収穫
この地のパセリは11月に種まきをして冬を越し、5月に収穫するので「越冬パセリ」ともいいます。
出荷時期を早めるためハウスで栽培しますが、味や見た目などは露地ものとあまり違わないそうです。
収穫の様子を見せてもらいました。
緑色が濃く、葉が縮れているものを収穫します。
右側の色の濃いパセリが収穫時期のもの。手で持つ左側のパセリはまだ収穫には早い
パセリの根元に人差し指を刺して、できるだけ根元から茎をちぎります。次のパセリの収穫の際に残った茎が邪魔にならないようにするためです。今後の収穫のしやすさも考えて収穫する必要があるのですね。
「パセリは次々と生えてくるので、この圃場だけで9回は収穫します」
収穫したパセリは210gになるよう束にして、余分な根元を切り落とし、ビニール袋に入れて出荷します。
一連の作業を素早くされていた古畑さん。筆者も挑戦してみましたが、茎が固く、人差し指でちぎることはできませんでした……。ベテランの技ですね。
パセリのおいしい食べ方
パセリは色が濃く、葉が縮れているものが、おいしくておすすめです。
保存はビニール袋に入れて冷蔵庫へ。葉を茎から取り、乾燥させたり冷凍すると長期間保存できます。
「パセリの葉を耐熱皿にのせ、ラップをかけずにレンジでチンすると乾燥パセリができます。瓶などの密閉容器に入れて、冷蔵庫で保存すると2~3年はもちます」
乾燥パセリは瓶に入れて冷蔵庫へ
「冷凍パセリは、パセリの葉を3回ほど水洗いしてアクを取ってからしっかりと水気をとり、冷凍します。そうすると鮮やかな緑色のまま保存できますよ」
冷凍パセリはジップ付きの保存袋に入れて
スープにちょっと足したり、煮込みハンバーグの彩りにしたり、いろいろ使えそうですね。
おすすめの料理も教えていただきました。
「じつは私もパセリは苦手なんです。そんな私でも好きなパセリ料理を紹介しますね。分量はいつも計らず、適当に作っています」
まずは「ゆでパセリのなめ茸和え」です。作り方は簡単。ゆでたパセリを冷水にさらし、よく絞った後になめ茸を加えて和えます。ゆでたパセリとなめ茸の相性が抜群です。
ゆでパセリのなめ茸和え
続いてパセリのソースです。洗って水気をとったパセリと、オリーブオイル、ニンニク、パルメザンチーズをミキサーで撹拌し、野菜に和えたり、パスタソースにします。
パセリのソース。保存袋に入れ平らにして冷凍保存可能
パセリのソースで和えたカリフラワー(左)と塩ゆでパスタ
バジルで作る「ジェノベーゼソース」のような見た目ですね。ソースが風味豊かなので、カリフラワーは塩をかけなくてもおいしく食べることができました。減塩にも良さそうです。
パセリの出荷ピークは夏
パセリはミネラルやビタミン、特にビタミンA・Cが非常に多く含まれており、「緑黄色野菜の王様」といわれるほど栄養価の高い野菜です。
出荷ピークは8~10月。JA洗馬産のパセリは全国に出荷され、各地のスーパーなどに並びますので、ぜひパセリを食べてみてください。
2022年5月16日撮影。露地パセリはまだ小さな芽です