信州が出荷量日本一を誇るレタス。長野県内の数ある名産地の中でも、最も早くレタス栽培が始まったと言われている塩尻市洗馬(しおじりし・せば)地区にやってきました。今まさに秋レタス収穫の真っ最中で、朝早くから生産者の皆さんたちは大忙しです。
日本全国に名を馳せる洗馬のレタス、今回はそのおいしさの秘密に迫ります!!
収穫は夜明け前から始まります
塩尻市西部に位置する洗馬は、奈良井川と松本市・朝日村に挟まれた南北に長い地域です。広大な平地に畑が広がり、初めて訪れる人は「ここって信州?」と首をかしげてしまうかもしれません。標高720〜30mに広がった東京ドーム130個分ほどもある土地は、様々な野菜・果物が作られている総合産地ですが、何と言ってもレタスの名産地として有名です。もともと雑木林だった土地が開拓され、昭和20年代はじめに長野県で最初にレタス栽培が始まったとされています。
ここで秋レタスの収穫に追われている生産者さんの畑にちょっとだけおじゃましました。収穫したレタスを畑に並べて、何やら水を吹き付けているようですが・・・。「先週台風が来たでしょ。風雨で土が葉っぱの間に入っちゃってるから、ひとつひとつこうやって洗い流しているんだよ」と、なんとも手間のかかる作業をしていたのが、小林峰雄さんと妙子さんご夫婦。忙しい作業の合間に取材に応じて頂きました。
収穫の日は、空が少し明るくなってきた朝5時頃から畑に出て作業を始めるとのこと。夏レタスの場合はもっと早く明るくなるので、3時頃収穫スタートだとか。
レタスを収穫する時に使う道具がこちら。包丁のような収穫ナイフです。妙子さんはナイフの"そり"(切っ先の下のカーブ)の部分で押すようにしてレタスを収穫するとのことで、こうすると力が伝わりやすくていいのだとか。
それにしてもすごく鋭利に研いでありますね!切れ味も良さそう。「長い間使ってるからね。使って研いで、使って研いで、歯がこんなに小さくなっちゃった」買ったときは2倍くらいあったようです!!そして柄も赤かったのだとか。ご自分で手入れして長く愛用しているんですね。(^o^)
採れたての新鮮さをそのままお届けするために
さて、9時を過ぎれば収穫も一段落。これから集荷場にレタスを持って行くというので、ついていくことにしました。やってきたのはJA洗馬岩垂予冷センター。レタスを一杯に積んだ2トントラックが次々と乗り入れてきます。ここでは、生産者の皆さんが持ってきたレタスをチェックし、出荷されるまで予冷庫(冷蔵庫)に保管しています。
その予冷庫に入れる前に大切な工程があります。収穫したままの温度で予冷庫に入れると、保存に最適な温度である4〜5℃まで冷やすのに何時間かかかってしまいます。それを20分で急速に冷やしてしまうのがこの装置。真空冷却装置です。真空状態にすることで水分の沸点を下げ、気化熱を利用してレタスを冷却するのだとか。さらに輸送する大きなトラックももちろん冷蔵車。消費地まで収穫したての状態をキープする秘密がここにあったのですね。
この真空冷却装置を取り入れたのは、全国でも、JA洗馬が一番最初だということです。
今年のレタスは、夏に雨が少なかったから病気が出なくて良かったと言います。豊作なのはいいのですが、やっぱりこのような年は値段が安くなってしまうのが悩み。おいしいレタスが沢山出来た!!ってことで、皆さんレタスをたくさん食べてくださいね!!
レタスには精神の安定や催眠に役立つ成分が含まれているらしく、ヨーロッパでは「頭の疲れを癒す野菜」「鎮静作用のある野菜」と言われているそうです。ストレスが貯まってる時や、ぐっすり眠りたいときは、いつもより多めにレタスを食べてみてはいかがでしょうか?