ある日、近所のA・コープの直売コーナーを見ていると、なんとも見慣れない果物が。
「アケビみたいな、これはなんだ?」
その名は「ポポー」。
何かはよくわからないけれど、好奇心に駆られて購入。そもそも食べ方もわからず、家に帰って調べてみました。
どうやら北米原産の果物だそうですが、日持ちがしないため流通に乗らず「幻のフルーツ」と呼ばれているのだそう。「森のカスタード」という異名もあるようです。
生産地を見ると、なんとご近所!管轄JAに問い合わせ、気になるこの木を生産者さんに見せてもらいました!
お邪魔したのは長野市篠ノ井にある宮尾治市(みやお・じいち)さんの畑です。篠ノ井は長野市の最南端部にあたります。
宮尾さんの畑のまわりには、りんご畑が広がっていました。その中にあるポポーの木はこちら。
40年くらい前に庭木として植えたそうです。それから品種を増やしてさらに数本栽培し、果実を直売所に出荷しています。
なんとこのポポー、ほとんど手入れしなくてもOKだそうです。
「この辺はシカも来るし、ハクビシンも出るんだけど、動物はポポーを食べないんだよ」とのこと。
木になっている様子はこちら
「森のクリームって言われててね、アボカドのような食味。種が多いから、ちょっと食べにくいかも」
ポポーの実。まだ完熟ではない状態
5月頃に花を咲かせて、お盆の頃から実をつけ始めます。8月下旬から9月中旬が旬とのことです(10月に入ってからも別の生産者さんが直売に販売していました)。
食べごろの実
割ってみると、ねっとりとした果肉!
熟したものは、割る前から強い芳香を放っています。
その場でいただくと、ねっとりクリーミな食感と、濃厚な甘さ。まさに「森のカスタード」!そして独特の南国フルーツのような香りが広がります。
りんごや梨、ふどうや桃など、思いつくフルーツとはまったく異なる食味です。強いていうなら風味が柿に近いかもしれません(南国に柿があれば、こんな感じかな…想像してみてください)。
お土産に完熟ポポーを数個いただくと、帰りの車内はポポーの香りでいっぱいになり、気分は南国(でも北米原産…)。
「ポポーは凍らせるとおいしい」という情報を見たので、凍らせて食べてみました。
冷え冷えの完熟ポポー。見た目はアケビみたい
縦に切りたかったのですが、種が邪魔して切れず、結局輪切りに(笑)
スプーンですくって食べると、独特の芳香はそのままに、甘さがマイルドになって、アイスクリームとシャーベットの中間のような、なめらかな食感。おいしいです!
冷やすと甘さを感じにくくなるため、一般的に果物を食べる際、冷やしすぎは避けた方が良いのですが、 ポポーは凍らせた方が好みでした。
柿のような種。包丁が入れづらいです
ちなみに筆者が直売所で購入したポポーは、宮尾さんが出荷したものでしたが、追熟しても写真のポポーほどに芳香は出ず、甘みも少なめで、色や食感もアボカドに近かったです。同じポポーでも品種によって味がちがうようです。
長野県にこんな果物があるなんて知りませんでした!
先にも述べたとおり、ポポーは保存が効かないため、ほとんど流通していませんが、近隣の生産者が出荷する直売所では、時に「幻」のフルーツとの出会いがあるかもしれませんよ。