9月に入っても、まだまだ暑さは続きますが、日はずいぶん短くなり、帰り道は虫の声が聞こえてくるようになりました。そして直売所や青果売り場でも、長野の実りの秋を感じられるようになってきました!
桃シーズンが終盤をむかえ、シナノリップやつがるなど夏のりんごが秋のりんごへと品種リレーをつなぎ、梨がいよいよ登場するなか、ご注目いただきたい果物、それはプルーンです!

みなさんは「生」のプルーンを見たことありますか? 食べたことはありますか?
じつは、長野県はプルーンの生産量全国1位! 今回はプルーン畑にお邪魔してきました。
県内プルーンの産地・佐久地域
やってきたのは長野県佐久市にある、秋山勝之さんの畑。立っているだけで汗だくの筆者を横目に、涼しげな秋山さん。
「平気なんですか?」とたずねると、「慣れだよ」。
JA佐久浅間(佐久市)の生産者・秋山勝之さん
秋山さんのプルーン畑。伝わりますでしょうか、この灼熱感
佐久市・佐久平駅は軽井沢駅のとなり。北陸新幹線で東京駅から、およそ1時間20分。マンガ『北斗の拳』の作者、武論尊さんの出身地です。
ちなみに2025年の名探偵コナンの映画にも佐久平駅が登場していますよ(聖地!)。
JA佐久浅間 管轄地域
そんな佐久地域はプルーンの生産が盛ん! 秋山さんの畑でもさまざまな品種が栽培されていました。
品種も味わいも個性豊かなプルーン
秋山さんの畑では、収穫順に次の6品種を栽培しています。
・アーリーリバー
・ツアー
・サマーキュート
・ローブドサージェン
・サンプルーン
・オータムキュート
早生種のアーリーリバー が7月中旬から始まり、晩生種のオータムキュートが9月中旬から、9月末には収穫を終えます。
この中でもサマーキュート、サンプルーン、オータムキュートは長野県生まれの品種です。
ちなみに秋山さんが一番好きなのはオータムキュートだそうですが、数ある品種の中でも作りづらいそうで…。
「(実を)ならせすぎると枯れてしまうし、雨よけしないと実が割れるし、樹にならせておく期間が長いから台風のリスクも高まるから。ただ、晩生は樹に長く実っているからか、味が濃い気がします」
オータムキュートの木にかけられた雨よけ。裂果を防ぎます
じつは筆者も甘くてジューシーなオータムキュートが大好き。しかし収穫はまだ先ということで、取材時の8月中旬に収穫の始まったサマーキュートをその場でいただきました!
サマーキュート \ドンッ/
\ぱかっ/
あ、サマーキュートもおいしい…。桃、りんご、梨とも異なるぷりっとした食感と酸みが生プルーンの醍醐味ですね!
プルーンの栽培あれこれ
プルーンは1〜3月に剪定、6~7月に摘果を行い、時期に応じて防除を行います。秋山さんいわく「あまり手がかからない」。
そして「なるべくデカいのを作りたいね!品種によるけど、基本やっぱり大きい方がおいしいかな」と秋山さんは言います。

「大きく作るには、実らす数を減らす」とのことで、数を減らすことは一つ一つの実が大きくなるというメリットがあるほかに、木を守ることにつながります。
「たくさん実らせると木が弱ってしまう。特にサマーキュートやオータムキュートは気前よくならせると枯れていっちゃう」とのこと。木の様子を見ながら、もったいなくても摘果は欠かせません。
「収入を得られる木に育つまで、5年以上はかかるかな」。プルーンの木は実るまで5~6年、しっかりと収量を得られるまでは10年ほどかかります。

プルーンを栽培する中で一番うれしいのは「やっぱり収穫だね」と秋山さん。「達成感あるし、つまみ食いするものおいしいし(笑)」
県外の売り場ではレアなプルーン。出会ったら即買い!
プルーンといえば、真っ先にミ●プルーンを思い出す筆者。同じ読者も多いのではないでしょうか(確信)。

プルーンは地元での消費が多いそうで、県外で見かける機会は、ほかの果物と比べると少ないかもしれません。
「都会ではまだまだ、プルーンを生で食べるイメージがないのかな。知って、食べてもらえれば、そのおいしさをわかってもらえると思う。佐久の特産品としてブランド化して、都心でも知名度が上がってほしい」と秋山さんは言います。
「プルーンは身体にいいから、ぜひ食べてね!」
ミラクルフルーツと呼ばれるほど栄養価の高いプルーンは、健康志向の人に好評です。個人的には、そのおいしさだけではなく、皮ごと食べられる手軽さと、食べきりサイズが推しポイントです。
「食べたことない」という方、ぜひ生のプルーンを食べてみてください!