みなさま、ヨーグルトはお好きですか?
「腸活」という言葉もだいぶ定着してきたように感じますが、ヨーグルトといえば発酵食品であり、おなかに良いイメージがありますよね。
個人的に三大身近な発酵食品といえば味噌、納豆、そしてヨーグルトだと思うのですがいかがでしょう(笑)
じつは地元で搾った牛乳を使用した、おいしくて栄養たっぷりのヨーグルトを販売している小さな工場が長野県にあるのです。
ヨーグルトの原料となる牛乳、その牛乳となる乳牛の餌(えさ)も同じ地域で作られる、まさに「地消地産」の商品ですが、県外のファンも多いとか!
今回は地域に根差した丁寧な製品づくりを行う、長野県佐久市望月高原のJA佐久浅間「しらかばアイス・ヨーグルト工場」を取材しました!
繊細な管理のもと作られるこだわりのヨーグルト
長野市から車で1時間半くらい。注意して見ていないと通り過ぎてしまうような場所に「しらかばアイスヨーグルト工場」はありました(一度通り過ぎた…。一本道なので引き返しづらいです)。
この看板が目印です!
まずは工場で作られる商品を、筆者の感想も交えつつご紹介。こちらの2商品が工場で製造・販売されています。
・望月高原飲むヨーグルト
やさしい甘さと酸味のバランスが取れた、飲みやすい「のむヨーグルト」。まろやかな口当たりで、ヨーグルトが苦手な方も飲みやすいと思います(画像は150mlですが、500mlも販売しています)。
・望月高原ソフトヨーグルト
砂糖を加えず作ったプレーンヨーグルト(整腸作用のためにオリゴ糖が入っています)。素材そのものの、ほんのりとした甘み。とろっとしたソフトタイプです。
しらかばアイス・ヨーグルト工場の工場長、中嶋 邦泰さんにくわしくお話をうかがいました。
「この工場では女性職員4名でヨーグルトを製造しています。ヨーグルトは非常にデリケート。日々原料の状態を見ながら、発酵時間や殺菌時間は秒単位で管理しています。休憩中も秒刻みで時計をチェックしていますね…。ちょっと目を離すと、すぐ味が変わってしまうんです」
入ってすぐ工場の様子をガラス越しに見ることができます。取材日は稼働しておらず
熟練のメンバーで繊細に手作りされているヨーグルトは、香料や保存料、酸味料を一切使いません。さらに原料である牛乳にもこだわりが。
「こちらの工場で作られるヨーグルトは、原料の牛乳は、工場から5キロ圏内の酪農家から搾乳して集めたものを使用しています。搾乳から2時間以内に運び込まれ、翌日には製品が店頭に並ぶ、新鮮さが特徴です」(中嶋工場長)
5キロ圏内!ギリギリ歩ける距離じゃないか! ということで、工場に牛乳を提供する酪農家さんの元へ足を延ばしました(もちろん車で…)。
乳牛を育てる生産者の思い
ヨーグルト工場へ牛乳を提供する4軒の酪農家のうち、車で10分程度の場所にある清水則幸さんの牧場を訪ねました。清水さんの牧場では約110頭の牛を飼育しています。
まず目に入ってきたのは、放牧された牛たち。
「ここにいる牛はみんな妊娠している子たち。出産する前にここで運動してもらうんだよ」と清水さん。
生まれたばかりの和牛の子牛。肉牛として育てるため、別の牧場へ移されます
「お産した牛じゃないと、牛乳が出ないから」と清水さん。「子牛のためのお乳を私たちがいただいているんだから、無駄にはしたくないね」
お産を終えた牛たちが、お乳を出してくれます
牛乳を長距離輸送した場合、当然ながら輸送コストがかかり、さらに輸送時の振動が牛乳に良くない影響を与えます。清水さんいわく「輸送する過程で乳脂肪の形が変わってしまい、味も変わる」とのこと。原料の生産地が近いのは費用面でも品質面でもメリットが大きいのです。
さらに「エサでも牛乳の味は変わります」とのこと。「工場に牛乳を出荷する農家はうちも含めて全員JA佐久浅間管内でとれたお米からできている飼料を与えています」と話してくれました。
地産地消の商品を生産する立場から、今後の展望についてお話しくださいました。「自分の地域で消費できる形を作っていきたい。ヨーグルト工場を中心に、みんなで地域を盛り上げていきたいね。ヨーグルトもいいけど、ぜひ生乳もどんどん飲んでほしいね」
地元はもちろん、県外の方にも愛される場所
さて、もう少し工場長のお話を聞くため、再び工場へ戻ってまいりました。
特に印象に残っていることをたずねると…
「(小学校から依頼されて)地元の小学生の見学を受け入れているのですが、見学に来てくれた子が、おこづかいで買いに来てくれた。すごくうれしかったですね」
見学に来た小学生が綴った感想文。地域の方の写真なども展示されています
「この工場を情報発信の拠点として、地域を盛りあげる場所となったらうれしい」と中嶋工場長。「消費が増えて商品が売れたら、農家の経営も良くなる、地域全体も良くなるでしょう」
取材時は冬季ということで販売停止していましたが、ヨーグルトと同じ牛乳でつくるソフトクリームも自慢です。
「県外から来た方がアイスをおかわりされていくことがありました。クセになるおいしさだそうで、リピーターさんも多く、うれしい限りです」
JA佐久浅間公式X(@jasakuasama)より。販売開始されたら絶対食べに行こう!
中嶋工場長ほかスタッフや生産者のみなさんの「乳製品を食べて、笑顔で健康に、幸せになってもらいたい」という願いがこもったヨーグルトが、今日も工場で作られています。
過去にこちらの記事でも紹介しています。
(搾乳したての生乳で作る「望月高原ヨーグルト」)