信州で生産される、身体に良くて、おいしいもの、また見つけました! その名も「信州発えのきヨーグルト」。 信州大学工学部と長野県農協直販株式会社が共同開発した新しい「ながのブランド郷土食」です。えのきたけとヨーグルトがタッグを組んだことで、インフルエンザなど感染症の予防にも効果が期待できる、優れモノです。 一大ブームとなった「えのき氷」に続く、えのきパワーを秘めたデザートです。
えっ!? えのきヨーグルト? もしかして、ヨーグルトの中に、えのきがゴロゴロ入っているの? と思った方もいるでしょう。ネーミングだけを見れば"つぶつぶえのき"を想像してしまうかもしれませんね。 もちろん、固体では入っていませんからご安心を。 入っているのはえのきたけのエキスです。熱を加えて抽出したエキスですから、きのこのような味も香りもありません。 本当にえのきたけの味や香りがないか? と、疑い深く、しつこく味見をしてみましたが、ミルク感がしっかりとしたヨーグルトの味だけでした。 むしろ、酸味を抑えている分「ヨーグルトの酸っぱさが苦手」という方、子供から高齢者まで年齢を問わず食べやすいのが特長です。
「こうして食べると、トロみが出て、またおいしいですよ」とヨーグルトをグルグルとかき混ぜて食べる方法を教えてくれたのは、開発に携わった長野県農協直販の食品部食品開発課の松下泰子さん。 容器の中でよく混ぜて、糸を引くようなトロリとした質感になったら、そのまま食べるのはもちろん、シリアルにかけたり、フルーツにかけたりとアレンジして食べることができます。 「毎日食べていただきたいので、美味しさにはこだわりました」と松下さん。 えのきヨーグルトの開発に至る経緯を伺いました。
松下さんは、信州大学工学部と長野市の連携事業「ながのブランド郷土食」人材養成プログラムを受講。信州産農畜産物のブランド化や自社ブランド商品開発力強化に取り組む長野県農協直販の派遣によるものでした。 同プログラムは、地域の食品製造に携わる社会人のスキルアップを目的に、大学院食品科学コースと同じ講義内容で行われています。2007年から文科省による地域再生人材創出拠点の形成プロジェクトとしてスタートし、5年計画のプロジェクトの後、現在は信州大学と長野市との連携により継続して行われています。 人材養成プログラムの講義は1年間にわたり、食品バイオテクノロジーや食品科学、マーケティング論などを学び、修了時には新商品の開発などをテーマとした課題研究が課せられます。そこで松下さんが選んだのが新商品「えのきヨーグルト」の開発でした。
商品開発には、同プログラムを担当する工学部の松沢恒友特任教授の「えのきたけエキスを使った機能性ヨーグルトに取り組めないか」という言葉にも後押しされました。松沢特任教授は、かつて県食品衛生協会試験研究所や県農村工業研究所でえのきたけを研究していた、きのこ博士。国立がんセンター研究所やJA長野厚生連北信総合病院との共同研究で、信州産えのきたけ抽出エキスに免疫増強効果があるとの研究結果を導いた1人です。
免疫増強効果が確認されているえのきたけエキスと、同じく免疫機能を高める作用を促すプロバイオティクスビフィズス菌を使ったヨーグルトとの組み合わせは決まりました。 しかし、松下さんがこだわったのは「機能性プラス美味しさ」でした。信州産生乳を50%とたっぷり使用することでミルク感のある濃厚さを出し、えのきたけエキスに含まれる多糖類の効果によるトロみによって食感の良さを出すことに成功。松下さんの試行錯誤の賜物となりました。
松澤特任教授と松下さん(右)
2013年3月に発売されて以来、順調に売り上げを伸ばし、信州の"えのき界"では、えのき氷に次ぐヒット商品。そのため、2015年春には内容量を20%増量して90gにリニューアル。それに伴い、えのきエキスも生えのきたけ約12g分にアップしました。
2015年秋には「信州発えのきヨーグルト」の摂取によって、インフルエンザワクチンの働きを増強する効果があるという研究結果が発表されました。 さらに松澤特任教授は「ヒト免疫機能の増強を確認するため、リンパ球のヘルパーT細胞数とNK(ナチュラルキラー)細胞数の測定を進めているところです」と話し、研究を進めています。
「信州発えのきヨーグルトをぜひ習慣として食べてほしいです」と松下さん。長寿日本一を誇る信州生まれの新たな食として注目されています。 「信州発えのきヨーグルト」は県内のスーパーなどで販売しているほか、農協直販のネットショップでも購入できます。ぜひ食べてみてください。
こちらは 2016.01.26 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
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