春が近いとは言え朝に晩に寒い日がまだ続いています。ここ数年寒さが厳しくなるにつけて全国で生姜(しょうが)を使った農産加工品が目に見えて増えていると感じませんか。いろいろなところで、ショウガやショウガの粉末入りの加工品と出会います。街中のよく通うコーヒーショップにも紅茶をミルクで煮出した中に砂糖とスパイスとしてジンジャー(これはショウガの英語名)を加えたチャイと呼ばれるインド風飲料が幅をきかせています。寒さの厳しい期間は都内スーパーにはショウガを使った飴やお菓子や各種の飲み物をまとめた特別コーナーまであるとか。もちろんわが国にはお寿司についてくるガリや紅ショウガや漬物として、蒸し暑い季節には生ショウガに味噌をつけたりして普通に食べるケースも昔からありますが、とくにこの季節ショウガの加工品は寒い日には身体を温めてくれるのでありがたい嗜好品です。それだけ体を内側から温めたい人も増えてきているのでしょう。ショウガと言えば全国では圧倒的に高知県の生産量が多いのですが、寒さの厳しい長野にも当然ショウガ商品がざわざわと広まりつつありました。少し歩き回って編集部のある長野市内の善光寺周辺の物産店で見つけたショウガ商品を紹介しましょう。
いきなりしょうがのつくだに
JR長野駅善光寺口から左手に階段を下ると「科の木西口店 JAながの」というお土産屋さんがあります。ここには千曲市の有限会社小林農園で作られた「しょうがのつくだに」630円がありました。佃煮の変り種でご飯やおかゆに乗せても良いですし、お酒の肴でもおいしくいただけるそうです。階段の反対側にある「駅前おみやげベアニー」では長野市にある(株)新井食品総本舗の「しょうが糖」というしょうがの砂糖漬け発見。最初に甘さが広がり、しょうが独特の辛味がつぎに広がりますので、日本茶にぴったり。値段は525円。また千曲市の「カントリーフーズ(株)」の「ご飯がすすむ おかか入りおいしいしょうが」というものも。これ、ご飯に乗せて食べるとピリッとして、食欲のないときもさっぱりしておいしいのです。また、昨年流行した食べるラー油に関連した商品で「ちょいたし生姜」などというものがありました。「ダイスカットした、た〜っぷりの生姜を醤油・みそ・ラー油などで美味しく味付け」とあります。県中部の安曇野市にある、お漬け物で有名ながんこおやじの(株)穂高観光食品の逸品で520円。ガーリックのフライも入って香りもよく、ピリッとした元気が出る味で、炒め物や豚肉のしょうが焼きもこれでできてしまうそうです。スゴイ。
スパイスミルクティになごむ
少し休憩をしようと入った桜井甘精堂「栗の木テラス」。駅から善光寺方面に歩いて5分ほどです。栗の西洋菓子が有名なお店で奥がレストランになってます。こちらには「スパイスミルクティ」があります。シナモンとしょうがが入った紅茶ですが、顔に近づけると良い香り。長野市も少しずつ気温が上がってきましたが、外を歩いていると手や顔を中心に冷えてしまいますから、一息ついてスパイスティーで温まります。ちなみに、つけあわせに「栗ロールケーキ」と「紅茶のシフォンケーキ」を頼みましたが、甘いお菓子と一緒にアクセントの効いたスパイシーなミルクティーを飲む・・・休日の午後といった感じです。
しょうが焼きみそとしょうがのみそ漬け
さて善光寺に向かって歩きだします。善光寺大門下にある飲食店やお土産やさんなどが入っている「ぱてぃお大門」に立ち寄りました。県外でも販売されておりますが、おやきで有名な「小川の庄」さんの出店「おやき村分村 大門店」があり、そちらに入るとお土産や食堂があって、なんと店舗の奥には囲炉裏もあります。ここで灰焼きおやきも作っているそうです。ここでは「しょうが焼きみそ」420円と「しょうがのみそ漬け」370円を見つけましたが、座ってお茶でもどうぞと、そば茶をごちそうになることに。漬け物や炊き込みご飯も食べさせてもらいました。これもあれも食べてみなさいと話をしていただき、田舎のおばあちゃんの家を訪れたように感じてしまうお店です。こちらでは、おやき村住民票というものがありまして、住所や氏名を記入するとこの住民票をもらえます。これをもっていると、小川の庄さんの商品が村民価格である1割引で購入できます。
寒天入りしょうが湯
同じくぱてぃお大門内にあるかんてんぱぱショップをのぞくと、寒天を扱っている会社だけあって寒天入りの「食物繊維豊富 しょうが湯」500円がありました。しょうが湯は、寒い時にはぜひ欲しくなる一品です。パッケージには、風邪気味で寒気がするときに体のしんから温めると書かれていました。寒天が入っているせいか少しとろみがあります。とても身体が温まります。
やはりとどめはしょうが糖
長野市にショウガの味を求める小さな旅の最終目的地は信州の伝統的スパイスを扱う「八幡屋磯五郎」さんです。七味唐辛子が有名で、自分の好みで入れる量などを選べるオーダースタイルも取り入れられています。七味唐辛子がショーケースに並んでいますが、壁側に「しょうが糖」300円を見つけてゲット。お店では、20枚くらいまとめて買っていくお客さんもいらっしゃいましたので、根強いファンがいるようです。「しょうが糖」は生姜の搾り汁と砂糖を煮詰めたお菓子で、少し固めです。食べやすい大きさに割って食べます。しょうがのアクセントが効いていて少しピリッとしますが美味。生姜糖は江戸から明治に伊勢と出雲のふたつを発祥の地として日本全国に広まった懐かしいお菓子のひとつです。普通生姜糖には2種類あり、生姜の絞り汁に砂糖水を加えて煮詰めて型に入れ固めたものと、生姜を薄切りにして砂糖漬けにしたものです。いずれも生姜がブームになるずっと前から古き良き日本を代表する和菓子のひとつでした。八幡屋磯五郎さんのしょうが糖は前者ですが、後者のスタイルの生姜の砂糖漬けも、冬の間は各種出回っていますから、きっとみなさんもご承知でしょう。食べると中毒するような甘くて刺激的な味です。
日本人とショウガのただならぬ関係
みなさんは日本語の起源として「タミール語説」というのがあるのをご存じかもしれません。インド南部のタミール人の言葉で、これが日本語とよく似ていることから注目されました。この言葉を使う人たちが弥生時代の初め頃に南回りに日本列島にやって来て日本語の元になる言葉を残したのかもしれません。実はショウガはこのタミールあたりが原産です。弥生時代の初めに日本列島にやって来た多年草で長く薬用と食用の両方に使われてきました。古代にはクレノハジカミと呼ばれていて、古事記にも名前が出てきます。韓国では刻んでキムチにいれたり、中国料理には絶対に欠かせないなど、現在もアジアの全域で栽培されスパイスとして、調味料として使用されています。欧米にもインドからイギリス経由でジンジャーとして広まり、コーヒーや紅茶のスパイスとして、ジンジャーエールという飲み物として、ジンジャー風味のワインとして、ケーキやクッキーやパンの素材として好まれています。まさに世界中で愛されている食材、薬味、香辛料といっていいでしょう。
暑い時も寒い時もジンジャーパワーで
薬用としてのショウガには、インターネットの百科事典ウィキペディアには「発散作用、健胃作用、鎮吐作用があるとされる。発散作用は主に発汗により寒気を伴う風邪の初期症状の治療に使われ、健胃止嘔作用は胃腸の冷えなどによる胃腸機能低下防止などに使われることが多い」とあります。しょうがを食べたり飲んだりすると、血行を促進し免疫力がアップして、循環器機能を高め、体内から温まる作用があるので、寒い季節にはとくに好まれるのでしょう。もともと熱帯で好まれていたのは逆にさっぱりさせてくれるからかもしれません。長野県内でも風邪をひくと、熱湯にすりおろしたしょうが、味噌、刻みネギを入れた「しょうが味噌」を飲むなどの習慣があったようですし、普段飲まれている紅茶にすりおろしたしょうがを入れて飲むだけで、基礎体温が上がる効果があるとして、妊婦さんなどにも人気があります。
信州でもお土産やさんや道の駅、高速道路のサービスエリアなどで探してみてください。え、こんなところにもショウガがと、うれしい発見があるかも。どれも、体を温めるだけでなくおいしくいただける物ばかり。あなたはショウガを愛する人ですか? しょうがで体を温めて、家に閉じこもりがちな寒い日も元気に動きましょう!
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