新・信州暦 いよいよ本格的なりんごの季節

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秋がさらに進むにつれて、信州では朝晩とも一日ごとに少しずつ寒さが増してくるような秋の日々が続いています。志賀高原などでは紅葉も見ごろを過ぎ、落葉がはじまりました。里山でも標高の高い地方では赤や黄に色づいた山々が市街地をぐるりと取り巻く姿が見られますが、ここ長野市中心部周辺の里山では、色づき具合はこれからといったところ。

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先週末、県内各地のJAで収穫祭をかねたJA祭が開かれ、さまざまなイベントや農産物の直売が行われるなど、どこも多くの人でにぎわいました。農産物直売所には、シナノスイートなど中生種のりんごや洋ナシの「ラ・フランス」など、収穫の秋にふさわしい果樹が所狭しと並べられています。

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上田市の東塩田小学校では、地元で取れたマツタケが給食に登場したそうです。地域の市民団体「安曽望会(あそぼーかい)」のみなさんが「地元の子どもたちに地元のマツタケを食べさせたい」と発案したもので、マツタケご飯やマツタケ入りすまし汁に児童たちは大喜び。おそらく先生方も幸福をかみしめたことでしょう。

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飯田・下伊那地方では特産品の「市田柿」づくりの開始です。生産農家が丹念に、色鮮やかな柿すだれをつくっています。順調に運べば11月の下旬頃には出荷がスタートします。JAみなみ信州によると、8月の雹(ひょう)の被害により、全体の出荷量は昨年より100トンほど減り、1400トンほどになりそうだとか。あの自然の甘さが待ち遠しくなりますね。

大事な報告です。飯田市南信濃と静岡県浜松市を結ぶ兵越峠(ひょーごえとうげ)で10月26日、1987年から続く「峠の国盗り綱引き合戦」が行われました。tsunahiki.jpg国境(県境)の位置をかけ、信州軍と遠州軍とが綱引きで対決し、勝ったほうが国境を1メートル相手方に動かせるというものです。太平洋を盗るか、諏訪湖を盗られるかの大きな合戦で、今年は悔しいことに遠州軍が勝利し、国境が1メートル長野県側に動きました。これでこれまでの対戦成績は11勝11敗となり、現在国境の位置はちょうど正規の位置となっているそうです。来年は信州を1メートルだけ広げたいものです。


alley_summit.jpg長野市で「全国路地サミット」第6回大会が25日に開かれました。全国路地のまち連絡協議会主催のなんとも愉快な名前のサミットですが、街中の路地を観光資源に生かすための方法を考える場なのだとか。集まった200人ほどが善光寺界隈や松代の路地を散策したそうです。一方、大町市では「信州麻まつり&信州麻サミット」が25、26の両日に開かれました。近年若者世代におけるヘンプ(麻)文化の再認識の高まりもあり、かつての信州の主要産業である麻の文化を後世に伝えようと企画されたもので、全国の畳職人による座談会などが行われました。同じく25、26日の2日間、長野市と松本市を結ぶJR篠ノ井線では、信越線開業120周年のイベントの一環で、昭和60年代までに姿を消した旧型車両(EF64 39号機)と客車3輌を使った特別列車「更科浪漫号」が長野〜姨捨間を走りました。


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リンゴの産地でアップルミュージアムの存在で知られる上水内郡飯綱町では11月1日から30日まで「りんごスウィーツフェア」が開催されることになっています。logo-tour-t.jpgこの間「りんごスウィーツ食べあるき」として毎日、町内にある12店舗の菓子店やカフェやレストランで、飯綱町産のりんごを使ったお菓子が提供されるのです。見る、触れる、聞く、味わう、匂いをかぐといった5感を使ってりんごを体験するのがイベントのテーマで、芸術家たちによるりんごをテーマにした作品展示のほか、logo-tabe-t.jpgコンサートなども行われます。週末にはりんご狩りツアーもあります。また期間中にりんごスイーツを500円分買うごとにチケット1枚と町内のアップルミュージアムの招待券がもらえます。チケットは3枚集めると町内の直売所でりんご3個と交換できます。詳しくは飯綱町役場まちづくり推進課(電話026-253-2511)まで。

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須坂市の臥竜公園では、11月9日まで「第21回信州須坂大菊花展」を開催中。色とりどりの菊560鉢が展示されます。同公園内の特別展示場で。入場は無料です。同じく須坂市の須坂市動物園では、テレビなどで人気のアカカンガルーの“ハッチ”家族(8歳のハッチと4歳のクララと1歳のクラッチ)のあいだに、8月22日に誕生した第3子の名前を募集中。11月16日まで。詳しくは須坂市動物園の専用ウェブサイトへどうぞ。ライブカメラ家族日誌もあります。

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JR松本駅から徒歩20分のところにある中信松本市の市立博物館(松本市丸の内)では「信州と味噌」と題した、興味深い特別展を11月いっぱい実施しています。松本市の家庭の味噌づくりの方法や県内の味噌づくりの歴史などについて約130点の資料が展示されています。

*巻頭のカバー写真を入れ替えました。top_081029_small.jpg1週間程前に落葉狩りに長野市から10分ほどの小田切地区まで行ってみた際に撮影した写真です。他の木々はまだ色づいてはいなかったものの、この一本だけは見事な紅葉をしていて、思わずシャッターを切りました。それはまるで里にも秋が訪れたことを周囲の木々に大声で伝える伝令のような木でした。すでに紅葉の便りも届いていますので、写真では伝えることのできない木々の葉の色の移り変わりを感じに、連休中は信州に足を運ばれてはいかがでしょう。


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今日29日は、新月ですから、旧暦(太陰暦)だと10月1日になります。冬がすぐそばまで来ているのを感じませんか? 明日30日は待ちに待った長野県のサンふじの解禁日です。toson_shimazaki.jpg今年も味ののったりんごが楽しめることでしょう。さらにまた長野県とも縁の深い文人である島崎藤村が、1896年(明治29年)のこの日、文学界という雑誌に『こひぐさ』の一編として現在もなおたくさんの人に愛されている「初恋」という作品を発表した日でもあります。「まだあげそめし まえがみの りんごのもとに みえしとき まえにさしたる はなぐしの はなあるきみと おもいけり」という一節からはじまる「初恋」という詩は、藤村が25歳の秋の作品でした。あらためて全文を読みなおすと、彼の「初恋」という詩が長野県のりんごの畑から霊感を得ていたことがわかります。なおこの日を「初恋の日」として制定したのは信州の小諸にあって藤村ら文人に愛された温泉宿「中棚荘」でした。中棚荘では毎年10月に「初恋はがき大賞」というイベントを行い、この日に入賞作品を発表しています。

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31日はハロウィンの日。もともと古代ヨーロッパの原住民ケルト族の収穫感謝祭であり、ケルト族の1年が終わるのが10月31日だったのです。この夜は死者の霊が家族を訪ねたり、精霊や魔女が出てくると信じられていました。これらから身を守るために人々は仮面を被り、魔除けの焚火を焚いたといわれます。

11月1日は土曜日。ハロウィンに一番近い土曜日はイギリスでは「アランの日」と言われています。この「アラン」とは昔の英語で「りんご」を意味しました。だから今年は11月1日土曜日がイギリスではりんごの日です。毎年この日の朝、幸運の印として家族全員にりんごがひとつずつプレゼントされました。またイギリスの少女たちにはこんな言い伝えもあります。りんごの日の朝、目を覚ましてすぐ、なにも言葉を発しないうちに、大きなりんごをひとつ食べるなら、その晩にあなたは未来の伴侶を夢に観るだろうというものです。ですからイギリスの少女たちは前日の夜に眠りにつく時に大きなりんごをひとつ枕の下に入れておくのだとか。fuji_apple.jpgちなみに日本でもりんごの産地はそれぞれがりんごの日を制定しています。青森県は11月5日を「いいりんごの日」にしていますし、わが長野県は11月22日を「長野県りんごの日」にきめています。いずれにしても地球の北半球においては11月はりんごの月なのです。

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11月1日は、今年がはじまった1月1日から数えて306日目で、今年も余すところ60日となり、また秋分の日から冬至の日までのちょうど半分にあたります。この日はいろいろな意味でも区切りとなる日で、日本ではこの日を古来より「炉開き」の日としていまして、囲炉裏(いろり)や炬燵(こたつ)を使いはじめる日でもあります。この日の夕方、日没直後の暮れなずむ西の空を見あげると、そこに三日月とひときわ輝く宵の明星・金星が近づいている光景が見えるでしょう。今週末は月曜日までが休日の三連休。よく晴れていたら信州まで足を伸ばして紅葉狩りに出かけて鮮やかな紅葉の写真をデジカメに撮影して長野県のおいしい食べ方宛に送るのもよし、そばまつりでそば三昧の1日を送るのもよし、また絶好のりんご日和には、家族でりんご狩りもきっとおいしい経験になります。秋が深まれば冬はすぐそこ。これからしばらくはりんごをたくさん食べて、来たる冬を元気に過ごしてください。

indexarrow.gif 長野県の秋の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより

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