マタギ歴50余年、ここでしか食べられない猪鍋

猪鍋

2019年も早いもので1カ月半が経ちました。
元号が変わり、平成から新時代へ突入する本年、何事も猪突猛進で邁進していきたいところです。
そう、猪突猛進。そう、今年は猪年。ということでイノシシにちなんだ記事を何か書こう! と思い立ち・・・。

知る人ぞ知る猟師のお店

猪鍋

猪鍋

木の温もりを感じる内装

やって来たのは長野県南部茅野市米沢の静かな山の中にある「信州マタギ亭」。
その名の通り「マタギ亭」とは、50年以上にわたり猟を行っている店主の山崎さんが、地元で獲れたイノシシを鍋にして提供していることから名づけました。約25年前からご夫婦でお店を営まれています。

猪鍋

早速、イノシシの背ロースを切って鍋に盛り付けていただきました。(冒頭の写真)
ご主人によると今年獲れたイノシシは10頭ほど。臭みのない肉としておいしく食べるためには、すぐに頚動脈を切り、内臓を取り出し、水の中に入れる。この初動を素早くやることが重要だそうです。

猪鍋

盛り付け後、鍋に火を入れ、グツグツ煮込んでいきます。
イノシシ肉の脂は、牛や豚のそれと違い溶けにくいという特徴を持っており、よく煮たほうが良いとのこと。脂身以外の部分が白っぽい色に変わってきたら食べごろです。

猪鍋

早速、お皿に盛り付けいただきます!

猪鍋

ハフハフ、モグモグ・・・

食べてみて気づいた点がいくつかありました。

(1)肉の臭みがほとんどなく、脂身もシャキシャキしている(先ほどの処理の仕方のためであるとのこと、牛肉・豚肉と比べてもクセがないと感じました)
(2)肉が熱くならない(野菜やスープは熱いのですが、肉は熱さを気にせず食べられました。奥様曰く「イノシシ肉は"熱くなっても火傷をしない"」ようです)
(3)不思議と体が温まる(途中でストーブを消しました。鍋の熱さのためだけではないように感じました。「食べると冷え性が抑まる」と言うお客さんもいるようです)
(4)スープが絶品!(基本は味噌仕立てのスープですが、ご亭主こだわりの味が隠されている、とのことです)

DHA・EPA、良質の動物性たんぱく質が豊富!

イノシシ肉について、少し調べてみたところ、野生のイノシシ肉は多くのお店で出される養殖肉とは異なり、さまざまな効能があるようです。
江戸時代、イノシシ肉は「山鯨」と称されて、寒さ厳しい冬の季節の栄養補給食として格好のものであったばかりか、薬食とされてきました。
俳人・与謝蕪村が「静静に五徳にすえにけり薬食」と詠んでいる薬食とはボタン鍋のことです。

イノシシ肉は精が強く食べるほどに体をポカポカと温めてくれます。その上、牛肉と比べてビタミンB1が多く、カルシウムは2倍と栄養は満点です。

野生のイノシシ肉はコレステロールの多い家畜の肉と違いDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(イコサペンタエン酸)など、高度不飽和脂肪酸を多く含んでいます。それらは血栓を溶かしたり、血液をサラサラにして、若々しさを保つのに役立ちます。野生のイノシシと家畜の脂肪は性質がまったく違います。いわゆる脂肪組成が違うのです。
肉類の特徴は、良質の動物性たんぱく質が豊富です。(参考サイト「いのししねっと」

幻のきのこや地元の食材でほっこり

さて、マタギ亭では猪鍋のみならず、地元の食材を使ったさまざまな前菜にも舌鼓を打つことができます。

猪鍋

こちらは幻の食材と言われる「岩茸」です。
1年に3mmほどしか成長せず、断崖絶壁や岩場の亀裂などに多く生えています。
見つけるのも、採取するのもとても大変なきのこなのです。

猪鍋

前菜

猪鍋

鹿肉の味噌づけ

鍋の後、地元の米沢米(よねざわまい)を使った雑炊と、寒天・リンゴ(何と「CCレモン」煮!)のデザートも心温まる地元の味でした。

猪鍋

猪鍋

いかがでしょうか? 信州の辺境の地で、地元ならではの希少な食材、伝統的・家庭的な調理法とおいしさ、そしてお店を営むご夫婦の温かなお人柄にも触れることができる「信州マタギ亭」に、足を運んでみてください!

信州マタギ亭

  • 長野県茅野市米沢北大塩6275
  • TEL 0266-73-9766
  • 営業時間:9:00~22:00
  • メニューはコースのみで4,000円~5,000円
  • ※準備の都合上、予約は必須です
この記事を書いた人

グァルネリ

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