はっけよぉ~い・・・のこった! のこった!
7月の大相撲夏場所(名古屋場所)にて、木曽郡上松町出身の御嶽海関が優勝を果たしました。長野県力士の優勝は、雷電為右衛門(らいでんためえもん)以来、実に208年ぶりで、それはそれは県内中が歓喜に沸いています。
相撲も食も盛りあがる!
そんな中行なわれたのが、巡業「長野場所」。
御嶽海関が優勝して以来初の長野場所だったせいか、会場には満員御礼の文字が。
取組は、稽古に始まり、相撲甚句(化粧廻しを付けた力士6~7人が輪になって唄う七五調の囃し歌)や相撲の禁じ手を面白おかしく紹介する初切、太鼓打分、御嶽海関がモデルとなった髪結い実演がありました。花道で稽古をしている力士も! 普段では見られない面白い取組がみられるのも巡業の醍醐味のひとつですね。
稽古をする御嶽海関
髪結い実演
さて、相撲観戦に欠かせないのがお食事! 予約の相撲弁当や横綱弁当のほか、会場の外にはJAの特産物を販売するコーナーもあり、こちらも大変にぎわっていました。
JA中野市では、きのこたっぷりのちゃんこや、これから旬を迎える「ナガノパープル」「シャインマスカット」の盛り合わせ、JAグリーン長野では桃、JAながのでは長野県名物のおやきやリンゴジュースの販売がありました。
土俵はどこから来て、どこへ行くのか
さて、みなさん。地方巡業の土俵はどこから来て、どこへ行くのか気になりませんか? 普段は何ともない体育館に、ある日突然土俵が現れる。長野場所の会場となった「ホワイトリンク」も、普段はスポーツやレクリエーションに使用されている体育館です。
土俵づくりは、巡業の前日に始まります。会場の真ん中に、木枠が組まれ土俵の骨格ができあがります。中に土台を敷き詰め、その上からビニールシートを敷いて、さらにビニールシートの上に土を運び入れていきます。
長野場所で使われた土は、埼玉県から運んだそうで、なんと本場所と同じ土を使用しています。
三輪車で土を運ぶのは、有志で集まったボランティアの方々。土俵づくり専門家の指示に従い、何往復も土を運びます。
砂を運び入れる
叩き固める
ビール瓶で俵を曲げる
仕上げ作業
運ばれた土は、とんぼを使って平にしていき、石を上から落とすようにして「どすーん、どすーん」と押し固めます。ある程度固まってきたら、次は取っ手が付いた角材のようなもので叩き固めていきます。振り下ろし、土に打ち付けるたび「バチーーーン」と響き渡る音は、いつまでも耳に残るほど強烈です。何度も何度も打ち付けるうちになめらかになります。さすが、職人の技!
土俵の中心に円が引かれ、円に沿って俵を敷いていきます。俵の中には土が詰め込まれており、持った体感的に1本あたり15kg以上はあるのではないかと思われるほど重たいです。それをビール瓶を使って、円にはまるように曲げ、土で固定していきます。仕上げに俵周辺を叩き、余分な土を取り除いたら土俵の完成です。清め式を行い、明日の本番に備えます。
女人禁制について親方にお聞きしました
従来、土俵は女人禁制と言われていますよね。人命救命のため、やむを得ず女性が土俵に上がったというニュースは世間を騒がせました。
ふと、疑問に思ったのです。完成した土俵は女人禁制にしても、つくり途中の土俵には女の人も上がれるのか? と。失礼かと思いながらも親方に伺ったところ、力仕事ということもあるけれど土俵づくりから女人禁制なのだとか。たしかに、ボランティアの方も男性ばかりで、女性ボランティアの方は会場づくりを担当していました。
通常、地方巡業で一度使われた土は他の巡業で使い回されることはありませんが、今回長野場所で使用した土は川中島小学校へ運ばれ、川中島小学校の老朽化した土俵の補修に使用されるとのことです。
マスの線引きを行う女性ボランティアのみなさん
御嶽海関だけではく、長野県出身の力士、さらには長野県出身の行司が紹介されるたびに大きな歓声が沸く会場。地元愛にあふれ大成功した長野場所でしたが、力士や行司だけでなく、前日からの土俵づくり部隊や大勢のボランティアの協力によって成功はつくられていました。(大相撲長野場所実行委員会事務局)