しなの鉄道「ろくもん」で楽しむ極上の信濃路

ろくもん

企画列車・観光列車ブームにあって、ひときわ注目され人気を維持している列車が長野県を走っています。その名は「ろくもん」。しなの鉄道の長野-軽井沢間を中心に運行され、「ゆふいんの森」「ななつ星」などで知られる鉄道デザインの第一人者・水戸岡鋭治さんが車両などをデザインしています。数ある観光列車の中で傑作のひとつに数えられるこの「ろくもん」の何が人を引き付けるのか、身をもって体験してまいりました。

最高のシチュエーションで味わう最高の料理

秋も深まり山々が彩られた週末、長野発のろくもんに乗り込みました。
ろくもんは、走るコースや料理によっていくつかのプランに分かれており、この日乗ったのは懐石料理でもてなす「ろくもん2号、和食プラン」です。
ホームで眺める外観、そして窓ごしに見える車内の雰囲気は素晴らしく、早くも期待が高まってまいります。そして、扉から一歩車内に入った瞬間から非日常の2時間が始まりました。

ろくもん

長野県産木材をふんだんに使った美しくてぬくもりのある車両や、窓から見える素晴らしい景色などは、ろくもんの人気を支える柱ではありますが、今回は料理に注目してレポートしてみたいと思います。

席につくとまずお酒(飲み物)を選びます。日本酒、ワイン、ビール、シードルと、そのどれもが長野県産で、料理に合うように厳選されたもの。長野県はお酒もおいしい県なのです。
ほどなくして二段の重箱に入った懐石料理が運ばれてきました。料理は小布施町に店を構える料亭「鈴花」さんによるもので、さすが見た目の美しさも格別です。列車には料理人も乗り込み、椀物など温かい料理は車内の専用厨房で準備されています。

ろくもん

 

ろくもん

 

ろくもん

この日一緒に乗り込んでおられた料理人の北沢さんによると、「地元の食材にとことんこだわったメニューです。長野県の食材はレベルが高いので、とにかく食材のおいしさがそのまま引き出されるように心がけています」とのことでした。メニューのイチオシは「信州プレミアム和牛のローストビーフ」ということで、「肉にかけられた信州特産のきのこを使ったソースとの調和を楽しんでほしい」と言います。このほかに、「信州サーモンの西京焼き」や「松代長芋の田楽」なども絶品でしたし、アスパラ菜の入った椀盛り「里芋菊花椀」や「小布施栗の栗おこわ」の味も忘れられません。
料理が盛られる器にもこだわりがあり、箸置きや抹茶茶碗は松代焼、椀は栗の木で作られておりました。

ろくもん

乗客のそれぞれのドラマを、お・も・て・な・し

ろくもん

ろくもんは金・土・日・月曜を中心に通年運行されていますが、特に秋の観光シーズンは人気が高く、この日も満席でした。主に関東圏からのお客様が多いそうですが、海外からの予約も増えているそうです。
名古屋からお母さんを誘ってきたという女性にお聞きしたところ、「もともと鉄道が好きで、しかも戦国武将が好きだったから」という理由で申し込んだといいます。そうです、「ろくもん」というネーミングは昨年ブームを巻き起こした真田氏の家紋に由来しているのです。誘われたお母さんも車窓の景色、素晴らしい車両、そしておいしい料理に大満足のご様子でした。

ろくもん

上田駅では駅長さんが記念撮影に応じてくれます

ろくもん

今が旬のサンふじの販売も

また、飯田市から来たというTさん夫婦は「こういった観光列車は初めての経験。特に料理のおいしさは想像以上でほんとうに堪能しています。今日は長野市に泊まります」とのこと。
記念日にろくもんを使う方も多いようで、そんな日は希望すればメッセージをデコレーションしたオリジナルバースデーケーキを用意してもらえるそうです。この日もなんと4組の皆さんに誕生日のお祝いケーキをお渡ししたとのこと。とっても嬉しい誕生日になったことでしょう。

ろくもん

車窓からは浅間山が間近に見えます

3両編成の列車には通常6、7人の乗務員が乗っており、全員がろくもん専任スタッフで、運行のない日も一貫してろくもんにかかわる業務をしています。
3年前のろくもん運行開始時から乗務しているという女性スタッフの山城さんは「鉄道会社の場合、お客様と直接会話する機会は意外と少ないのですが、ここでは頻繁にお客様とコミュニケーションをとるので、日々発見もありとても充実感があります。一度来たお客様に、ぜひまた来たいと思ってもらえるようなおもてなしが目標です」と言います。

ろくもん

スタッフの山城さんはいつも笑顔

ろくもん

オリジナルグッズも充実しています

途中停車のホームでは、駅長さんはじめ駅員の皆さんが様々なおもてなしをしてくださるなど、私たちはこの鉄道にかかわるすべての方々に歓迎されていることを実感しました。食事のおいしさや車両の美しさもさることながら、スタッフの皆さんはじめ出会う方々の素晴らしい対応も、ろくもんの人気を高めている要因に違いありません。
出発から2時間後、軽井沢駅に降り立った時にはお腹も心も満足し、次はどのプランで乗車しようか、と考え始める私たちでした。(つかはら)

ろくもん

軽井沢駅に新設された「ろくもんラウンジ」は、食事付きプランの乗客専用

しなの鉄道「ろくもん」専用サイト

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