近年は、信州でも「りんご三兄弟」など色々なリンゴの品種が登場していますが、「サンふじ」を食べた人からは「やっぱり"ふじ"だよね」という声をよく聞きます。リンゴの王様とも言われる「ふじ」が、信州でも11月中旬ごとから出回りはじめました。特に太陽の光をたっぷり浴びた「サンふじ」は、真っ赤に色づき、甘味と酸味、歯触りのバランスが抜群で、蜜がたっぷり入っています。 今回は、リンゴ農家である編集部員D宅(長野市桜)から、一年間丹精込めて作ってきた「サンふじ」の最後の手入れと収穫作業を紹介します。
葉摘み前のリンゴたち
リンゴの中でも、最後に収穫するのが「ふじ」。その「ふじ」の仕上げの手入れが、葉摘みと玉回し。リンゴの品種によっては、葉摘みと玉回しをしないものもありますが、多くのリンゴでこの作業は行われています。 葉摘みと玉回しはなぜ行うのでしょうか。 それは、見た目の美しさの追求と、色づきの良いリンゴの方が消費者のみなさんも買っていただけるから。だから農家は、手間暇かけて、リンゴの手入れをするのです。
葉摘み前
葉摘み後。葉の影はまっ白
リンゴは太陽の光が当たると赤く色づきます。葉や枝によって太陽の光が遮られると色づきません。そのため、リンゴのまわりの葉を一枚一枚取り除き、実を回す(45度程度)ことで、太陽の光がリンゴに当たり、まんべんなく色づくのです。この作業が葉摘みと玉回し。葉摘みと玉回しをした直後のリンゴは、葉や枝の影になっていた部分が白く残っています。作業してからの天候にもよりますが、一週間もすれば葉や枝の跡が消え、赤く色づきます。葉摘みと玉回しは、大切に育ててきたリンゴの仕上げ作業ですが、実を直接触るので「落とさないように、落とさないように」慎重に作業を行います。そのため根気と神経を使う作業なのです。どんなに慎重に作業しても、リンゴを落としてしまうこともあります。そんな時は、もう少しで出荷できるのに、もったいないと思います。
葉摘みと玉回しされたサンふじ
摘んだ葉っぱが地面を覆う
葉摘みと玉回しが終わった畑には、リンゴのお尻まで色づけるために反射フイルムを敷きます。我が家では反射フイルムを敷くのは、太陽が沈んでから。日中作業を行うと熱くて大変だからです。
反射フイルムを敷く作業は太陽が沈んでから
お尻まで真っ赤なサンふじはいつでも収穫OK
赤く色づいた「サンふじ」を野生動物たちも狙っています。野生動物から「サンふじ」を守るため、電気柵や爆音機などをリンゴ畑に設置しています。それでも、今年は鳥に突かれた(食べられた)リンゴが続出。鳥が食べるリンゴは、赤くて大きく、割ってみると蜜がたっぷり入っています。美味しいことまちがいないものばかりです。鳥はリンゴの味がわかるのでしょうか・・・。
野生動物からリンゴを守る電気柵
鳥追いの爆音機
鳥に食べられた部分はすぐに腐ってしまうため、ほとんど捨てることになります。鳥突きのリンゴを食べられるのは農家だけですが、あまりうれしいことではありません。
鳥に突かれたリンゴは、休憩のおやつに
もぎ篭がずらり
完熟「サンふじ」には蜜が入ります。そのため、収穫期の見極めはその年の天候によって決まります。今年の編集部員D宅「サンふじ」の収穫スタートは11月13日でした。 収穫作業は、一年で一番の喜びを感じる作業ではありますが、蜜の入った「サンふじ」は重く、一日中数え切れないほどのリンゴを取り、運ぶことは重労働でもあります。
赤く色ずいたサンふじを一つずつ丁寧にもぎ篭に入れる
リンゴの入った篭を運搬車で運ぶ
運ばれた篭のリンゴを選別しながら箱(コンテナ)に詰める
箱に詰めたリンゴを軽トラで運ぶ
せっかく収穫した「サンふじ」でも、出荷できるものばかりではありません。鳥に突かれたものや小さくて色の悪いものは出荷できません。出荷できるものの中から、贈答に使えるものとそうでないものの選別も行います。収穫時にも簡単に選別して箱詰めしますが、さらに大きさや色、形などで選別します。大きくて形もよいのに、実の一部に色づきの悪い部分があるだけで、等級が落ちてしまいます。店頭に並べられている「サンふじ」たちは選ばれしものなのです。 農家が一年丹精込めて育てた信州産「サンふじ」をぜひご賞味ください。 「リンゴの王様はやっぱり"ふじ"だよね」
蜜がたっぷり入ったサンふじ
こちらは 2016.11.29 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
さくら
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