「"ありがとう""また頼むよ""次回が待ち遠しい"と言ってもらえると嬉しい、皆さんの幸せが生きがいで。ムリせず楽しみながらね」
そう朗らかな笑顔で話すのは、「JA佐久浅間 助け合いの会」会長の前田美代子さん。
「JA佐久浅間 助け合いの会」は、ややもすると家にこもりがちになってしまう高齢者の健康増進や仲間づくり、生きがいづくりを支えるボランティア組織です。長野県下でも会員数・利用者数共に最大級で活発な活動をしている、と聞き、県東部・佐久市で開かれた交流会にお邪魔しました。
脳活トレーナーと一緒に「笑って楽しく 脳を活性化」
やってきたのは、JA佐久浅間の本所会議室。この日は、年に一度の実践交流集会で、会員や一般の方にも広く呼びかけ、当日集まったのは100名にものぼりました。各種研修会をはじめ、各地域の会員間の交流などを通して、お互いの活動内容を確認することで、新たな活動のヒントにするというものです。
受付では、手作りのいちご大福やおやきに、自分で作る佃煮セットなども販売され、ほのぼのスタート!
早くから賑わう受付
手作りのいちご大福やおやきなども人気
開会の挨拶をする前田会長
会員と一般の方100名で盛大に
この日は「笑って楽しく 脳を活性化」と題して、一般社団法人脳活トレーナー協会理事長の西牧優樹氏の講座が行われました。認知症にならないために「病気を理解することが予防の第一歩」と言う西牧先生。まずは脳の機能、認知症の種類や症状などを解説。「認知症による物忘れ」と「老化による物忘れ」の違いは、ヒントを言われて思い出せるか出せないか、全部忘れてしまうか一部か、進行が速いかゆっくりか等々。「記憶力の低下を年齢のせいにして安心していませんか?」と問われ、(いや~最近、年のせいか物忘れが・・・)と内心ドキドキの編集部員に刺さる一言も。続いて、患者本人だけでなく、介護する家族の体力的・精神的負担や不安の大きさにもふれ、予防と早期発見がいかに大切かについても話してくれました。
認知症の症状について説明する西牧講師
ひとりでも仲間ともできる!笑あり・涙ありの"脳トレ"
それでは、西牧先生による、お待ちかねの実践編をご紹介。
「予防に必要なことは、脳トレ・運動・コミュニケーション・生活習慣の改善」と言う西牧先生。
まずは目を閉じて深呼吸。鼻から大きく息を吸って~、口からふぅ~と、すべての息を出し切って。続いて肩を上下させリラックス・リラックス...。では皆さんもご一緒に♪
(1) 舌の体操
大きく動かします。美容にも効果的。
・舌を思い切り前へ出す→左右、時計回り・反時計回りに動かす。
(2) 目の体操
顔は動かさずに目だけ動かします。
・目玉を右→左→上→下。右斜め上→左斜め下。左斜め上→右斜め下。時計回りに2回、反時計回りに2回、ぐるっとまわします。※途中、気持ち悪くなったらすぐ止めてください。
・両人差し指を目の前にそろえ、左右・上下に開き見えなくなるギリギリまで広げます。両目の可動域を意識しながら広げていきます。
(3) 耳のほぐし体操
耳にはつぼも多く、両指でマッサージしながらいろいろな方向に動かします。
・手のひらを使って耳たぶで穴をふさいだり、そのまた反対にも動かします。
(4) 指の体操
血流ポンプアップで脳を活性化します。
・グーチョキパー体操。西牧先生の掛け声にあわせて、すばやくグー・チョキ・パーのいずれかを出します。(次第にスピードが速くなります!!)
(5) リズム体操
リズムに乗って、手と足で違う動きを同時に行います。
・右足で床をトン→両手でパン→左足で床をトン→両手でパン。こちらをだんだんスピードアップしていきます。
(これまた途中からものすごい速さに...)
(6) 言葉の体操
大きく口を開けて、はっきりと。滑舌よく。
・母音編 あいうえお →
いうえおあ →
うえおあい →
えおあいう →
おあいうえ 上から順番に、早口で滑舌よく声を出し、数回繰りかえします。
・早口言葉編 「ジャズシャンソン歌手の新春シャンソンショー」を3回早口で繰りかえします。
(7) 記憶力トレーニング
画像に表示される数字を覚えて、発声する。
4~9ケタの無作為の数字が、数秒間表示→覚える→数字が消える→思い出して発声する、を繰りかえします。
毎日少しずつ続けることで、劇的な変化も!?
他にも計算ドリルや空間認識力として、平面図上のサイコロを頭の中で動かして最後に上に来る数字を答えるもの、喜愛楽の気持ちをこめて言葉を発する感情トレーニングなど、みっちり1時間半近く続きました。
最後に全員で県歌「信濃の国」を合唱
途中、軽い諦めと笑いの混じったため息や「え~っ」「いや~できない」など悲鳴にも似た声が、会場のあちらこちらから聞こえてきます。一時、写真を撮ることも忘れ、夢中になってチャレンジした編集部員もお手上げ状態に。(とほほ)
「最近は目も耳も頭も・・・ねぇ。達者なのは口だけ!!(笑)」「今日の先生は大きな声で説明も分かりやすかった」「いい刺激を受けたよ。でも家に帰ったら忘れちゃうんだけどね、あっはっは~」と終了後に、高らかに笑いあう皆さんの姿は、本当にお元気そのもの。先ほどのザンネンな結果に頭をかかえる編集部員のモヤモヤも、一気に吹き飛ばしてくれました。
メンバー募集中!多様な年代・立場の人が活躍する場に
ほほえみ広場(写真提供:JA佐久浅間)
さて、助け合いの会の主な活動としては、JA支所などの施設や地元公民館といった身近な場所で毎月一回、ミニデイサービス「ほほえみ広場」の開催があります。内容はお茶会や食事会、季節(伝統)行事のお手伝い(伝承)、体操や健康講話などの健康教室など様々。他に施設ボランティアも定期的に行っています。「今日の脳トレも皆さんに一番関心のあるテーマ。今後の活動でいかしていきたい」と意欲的な前田会長。
ほほえみ広場(写真提供:JA佐久浅間)
メンバーにはJA女性会や元ヘルパーさん、佐久総合病院の元看護師さんもいて、活動会員200名・賛助会員300名と県下最大級の同組織。会員の減少に悩む他の地域に比べて、会員も右肩上がりに増加中だそうです。悩みは、利用者さんと会員が同い年くらいになりつつあること。若い方や子育てをひと段落した方、男性の参加も絶賛募集中です!
楽しみながら、地域とともに助け合う
「誰もが気軽に集まれる場をつくることが大事で、それには会員自身も楽しまないと...」「人が求めているものって根本的にはそう昔と変わらないわね。JAが地域で活動することで、おじいちゃん・おばあちゃん、それに次世代の子供達とのつながり・結びつきが増していけば...。そのためにもこの会は必要だし、長く続けていきたい。自分の健康にも気をつけて♪」そう今後の目標を語りながら想いを新たにする前田会長。誰もがお互い様の心で、地域とともに助け合う。会長の「信念」と「ほほえみパワー」が印象的でした。
今後の目標などについて笑顔で語る前田会長
地域ボランティアの担い手として行動する活動会員を中核に、賛同して会費で支える賛助会員、そして地域利用者の皆さんによってつくられる助け合いの会。お近くの方は、まずは気軽にのぞいてみてはいかがでしょうか? 佐久地域の住民ではない編集部員ですが、自分の地元のこと・地域のことを考えるきっかけになった一日でした。
あ~それにしても、脳トレ・体操が意外に難しくてドキドキ! 普段使わなすぎっ!? 明日から、いいえ、今日から実践あるのみですっ☆ 帰りの車内でぶつぶつ早口言葉を唱える編集部員でした。
JA佐久浅間
一般社団法人脳活トレーナー協会