日本の食料自給率はカロリーベースで39%(2014年度時点)。他の先進国に比べると非常に低い数値となっています。
近年、世界的な広がりを見せている深刻な食料不足問題等をふまえ、食料の約7割を海外に委ねている日本の食料事情は、とても危機的な状況下にあると言えます。
そんな中、近年注目を集めているのが昆虫です。今回は、そんな食糧問題の最後の切り札「昆虫食」についてのお話です。
なぜ、いま、昆虫食なのか
世界的に陥っている食糧不足問題は深刻化をたどっていますが、世界の人口は年々増加傾向にあります。2030年には約90億人になると見込まれており、さらなる食糧不足危機が迫ってきています。これをふまえ、国連食糧農業機関(FAO)は2013年、昆虫食について「世界的な食糧問題の対策の1つとして有益な食材になり得る」と発表。これを機に、ヨーロッパを中心に昆虫食に大きな注目・関心が高まっており、フランスでは昆虫食に関するベンチャー企業が140社以上も存在しています。
昆虫食は、日本ではいまだに"ゲテモノ"扱いされるケースが目立ちますが、少しずつ関心は高まってきており、昆虫食を販売する店舗が増えてきています。
昆虫が持つ高い栄養素に注目!
今回やってきたのは、伊那市新田にある「塚原信州珍味」。
昆虫食の文化は、江戸時代では当たり前のようにあったと言われており、伊那市を含めた県南部の南信エリアでは、今でもその食文化が残っています。
塚原信州珍味 四大珍味セット
塚原信州珍味では、日本国内で代表的な昆虫食といわれている「イナゴ」「さなぎ」「ざざむし」「蜂の子」の4種類を、基本的にはいずれも"佃煮"として販売しています。
また、さなぎには豊富なたんぱく質が存在し、蜂の子には16種類ものアミノ酸が含まれているなど、非常に高い栄養素を有していることも、注目されている理由の1つです。
驚き!昆虫仕入れの世界
昆虫の主な仕入れ方も聞いてきました。
"イナゴ"
オートバイの後ろに網を取り付け、土手を駆け抜けてイナゴを捕獲します。イナゴは俊敏なので、スピードを上げて駆け抜けないと捕獲できないようで、危険が伴うのだとか・・・。
また、イナゴは東北地方に多く生息しているそうで、「捕子(とりこ)」と呼ばれる捕獲のプロがいて、イナゴの生息時期になると東北地方で捕獲を行い、塚原信州珍味に届けてくれます。この捕子は現在18名程度いるのだとか。
"さなぎ"
長野県内で唯一、蚕を飼っている製糸会社から仕入れているほか、群馬県にある製糸会社からも仕入れています。蚕を飼っている製糸会社は全国的にかなり減ってしまったそうで、仕入れは大変なようです。
"ざざむし"
ざざむしは、川の中にある石の後ろなどに生息しており、伊那市を流れる天竜川や諏訪湖などで捕獲しています。冬眠に入る12月~2月の間が捕獲しやすく、なおかつ一番おいしい時期らしいですよ。
"蜂の子"
蜂の子は、6月~8月の間に、まだ小さい段階の蜂の巣を捕子が確保し、巣の中にいる蜂の子を10月~11月くらいまで育て、大きくしてから、塚原信州珍味に引き渡されます。蜂の子の捕子の数はかなり多く、200人以上はいるそうです。
自然と食文化の豊かさを証明する昆虫食
今回、取材協力してくれたのは、塚原信州珍味社長の塚原慎也(右)さんと塚原保治さん。「自然があるから、花は咲き、作物がとれ、昆虫がすみつく。最近、昆虫を毛嫌いする人が増えてきているが、昆虫がいるところは自然・環境がとても素晴らしいところ、という証拠である。昆虫食をもっと広めていきたい」と話してくれました。
■問合せ・オンラインショップ
塚原信州珍味
TEL 0265-76-0591
■その他の購入先
JA上伊那農産物直売所「あじ~な」
住所 長野県上伊那郡南箕輪村8143-1
電話 0265-78-0701
営業時間 8:30~19:00
定休日 年始年始をのぞいて年中無休
みはらしファーム
住所 長野県伊那市西箕輪3447-2
電話 0265-74-1807
FAX 0265-74-1808
営業時間・定休日
各施設により異なります。詳しくはWebサイトをご覧ください
およりてふぁーむ
住所 長野県飯田市鼎東鼎281(JAみどりの広場内)
電話 0265-56-2822
FAX 0265-56-2862
営業時間 9:00~18:00
定休日 無休