農家さんにひそかに人気♪のんびり草食むレンタルヤギ

グリーンファーム ヤギ

「メェ~メェ~♪」
「メェ~メェ~♪」
初夏の日差しの下、田んぼに響く鳴き声。正体は羊? いえいえ、山羊(ヤギ)でした!
かつて、ヤギは一般家庭でもごく自然に飼われていました。まだ牛乳がそれほど普及していなかった頃、ヤギの乳は、大切な栄養源として重宝されていたのです。
現在、ヤギを飼うことは珍しくなりましたが、実は、最近になって再び人気が高まっています。
その理由の1つは、ヤギによる除草です。庭の雑草や、あぜの草刈り、傾斜地での除草にヤギを活用したいという農家の方が増えているとのこと。早速、実際にヤギを飼っているお宅へお話を聞きにうかがいました。

なぜ"ヤギ"なの?

訪れたのは、上伊那郡中川村の坪内一雅(つぼうち・かずまさ)さん。普段は大工に従事するかたわら、お米を栽培しています。
伊那市の農産物直売所「産直市場グリーンファーム」で、今年の5月からヤギをレンタルし、あぜの草刈りに活用しています。さっそく田んぼに行ってみると、一心不乱に草を食べる2頭のヤギの姿が。

グリーンファーム ヤギ

右がムサシ君、左がサスケ君

「ヤギはとにかく手間がかかりません。えさは基本的には草のみで大丈夫。好きな時に好きなだけ食べています。塩分は必要ですが、草を与えていれば水もそれほど要りません。また、人懐こい性格で人間に警戒心を抱かないので、扱いやすい動物です」

想像以上に仲良くなれます

グリーンファーム ヤギ

田んぼを背にりりしい姿

確かに、写真を撮りに近づいても怯える様子はまったくなく、むしろカメラに興味津々。
とてもさびしがりの動物で、近くに人がいるほうが落ちつくようです。これは、正直かわいい!
坪内さんも、ヤギへの愛情ゆえ、今では起床時間や職場からの帰宅時間等、生活リズムがヤギ中心になったとのこと。さあ、読者の皆様も愛くるしいヤギの人懐っこさとキュートな四角い目をご堪能ください。

グリーンファーム ヤギ

坪内さんと
 

グリーンファーム ヤギ

つぶらな顔をアップで

「ムサシとサスケは心のゆとり、生活の楽しみになっています。除草もしてくれるし、農作業の良きパートナーですね。来年もぜひ借りたいですし、ゆくゆくは買うことも検討したいですね」と、坪内さん。

1頭のヤギが食べる草の量は1日10平方メートルほど。実際にはヤギのみの除草は難しいそうですが、それを補って余りある可愛さ、楽しみがありそうですね。管理もしやすいため、農家だけではなく、一般家庭でも気軽に飼うことができそうです。

「いろんな人にヤギを飼ってみてほしい。村のいたるところにヤギがいるようになって、ヤギによる村おこしができるようになれば面白いですね」

グリーンファーム ヤギ

産直市場グリーンファームでヤギとふれあおう

続いて、坪内さんのヤギのレンタル元である「産直市場グリーンファーム」にお邪魔をしました。グリーンファームでは、直売店舗に加えて、ヤギ、ダチョウ、アヒル、豚、熊などを飼う「どうぶつひろば」(入園無料)が併設されています。

グリーンファーム ヤギ

カメラを向けると・・・♪

生後1~2カ月の子ヤギが放牧されており、来場者は子ヤギと触れ合うことができます。こちらの子ヤギたちも、さすがに人に慣れており、怖がることなく近寄ってきます。やっぱり、か、かわいい〜!

ヤギの貸し出しは2011年から開始。当初は20頭弱でしたが、口コミや取材等で知名度が広がり、2016年は90頭ほどの貸し出しを見込んでいます。

人気が高まってきた理由について、グリーンファーム飼育部長の岩本寿枝(いわもと・としえ)さんにお話をお聞きました。

グリーンファーム ヤギ

飼育部長岩本寿枝さん

「1点目は、環境にやさしい動物であるということです。草刈りは、ビーバー等で刈ったほうが早いですが、ヤギによる除草ですと、刈った後のごみ(草)も出ませんし、処理費用もかからない。また、きちんと管理をすれば臭いもあまり気になりませんし、鳴き声もうるさくありません。さらに、人懐っこく癒し効果も大きいため、ペットとしても重宝されているのではないでしょうか」

グリーンファーム ヤギ

子ヤギとふれあう来場者

借りていったお客様からはおおむね好評で、リピーターも半数いるとのこと。ヤギによる癒し効果は地域内にも波及し、近所のつながりが増えたり、子どもが動物に関心を持つようになった、という声もあるのだとか。グリーンファームでは、近隣の小学校に無料でヤギをレンタルしており、子どもたちの情操教育にも活用されています。

本当に飼いたくなったときに大事なこと

グリーンファーム ヤギ

ニンジンを分けあって食べています

と、ここまで、いいことづくしのヤギですが、やはり飼う場合には留意点もあります。「ヤギは何でも食べてしまうので、飼育者が知識をしっかり身につけ、食べてはいけないものに注意をしながら管理をしなければいけません」と、岩本さんは指摘をします。
球根類や毒草など、食べてはいけないものを食べてしまうと、ころっと死んでしまうこともあるそうです。また、ポリ袋を食べてしまったり、野犬にかみつかれて死んでしまったりすることもあるんだとか。いくら管理しやすいヤギでも、最低限の知識と注意は必要なのです。

ただ、きちんと管理をすれば、これほど扱いやすい動物はいないそうで、「ヤギを使った除草がもっともっと広まっていってほしい」と、岩本さんも力をこめます。
農作業のパートナーに、そして癒し効果抜群のかわいいペットに、ヤギのレンタルはいかがでしょうか♪

グリーンファーム ヤギ

じゃれあう2頭。1頭だと寂しがるので、2頭以上で飼うのが良いそうです

産直市場グリーンファーム

  • 長野県伊那市ますみヶ丘351-7
  • TEL 0265-74-5351
  • FAX 0265-74-6477
  • ※営業時間などはWebサイトをご確認ください。
この記事を書いた人

グァルネリ

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