ローカルフードはこころも満たす#2

鯉のあらい長野県を代表するローカルフードの第二回目は川魚です。県東部、佐久地方の郷土食として有名なのが鯉(コイ)と鮒(フナ)。八ヶ岳からの清流を集めた千曲川が中央に流れ、古く江戸時代から水田養鯉が盛んでした。

indexarrow1.gif 佐久地方の衛星写真 Google map

佐久地方の養鯉は、呉服商人だった臼田丹右衛門(うすだたんえもん)が大阪の淀川から淀鯉を持ち帰ったことにはじまると伝えられています。水田で鯉を育てるようになったのは、米と違い年貢の対象にならなかったからだとか。また、寒冷地で二毛作ができないこの地方では、稲と平行して飼育し土地の高度利用ができることや、鯉が水田を泳ぎまわることで草が生えにくく、鯉のフンが稲の肥料にもなることなど、農法としても多くの利点がありました。かつてこの地は養蚕が盛んで、鯉の餌になる蚕のさなぎがふんだんにあったことも、養鯉が盛んになった理由のひとつです。

佐久といえば鯉
「佐久鯉」として知られる佐久の鯉は、冷たい流水で飼育されるため、日数がかかり3年間育てて出荷されます。それだけに臭みもなく身がしまって美味しい肉質になります。1年目は当歳(とうざい)鯉、2年目は中羽(ちゅうっぱ)鯉、3年目は切鯉(きりごい)と呼ばれます。鯉料理は実に多彩で、輪切り鯉のみそ汁「鯉こく」、じっくり煮込んだ甘煮「うま煮」、新鮮な鯉の身を冷水でしめる「あらい」、迫力あるまる焼き「塩焼き」などが代表的。そのほか「鯉丼」「鯉まん」「こい・むすび」「焼きおにぎり」「鱗せんべい」などなど。佐久へお越しの際はぜひ鯉料理を召しあがってみてください。

arrow2.gif 佐久商工会議所「信州佐久・佐久鯉ガイドのページ」

arrow2.gif 佐久市観光協会「ふるさとグルメ佐久鯉のページ」

丹右衛門ののれん佐久のなかでも代表的な鯉の里は桜井地区。この桜井地区の住民のみなさんが中心となって、鯉料理の店が昨年できました。その名も発祥にちなんで「丹右衛門(たんにもん)」。入り組んだ桜井の集落の中にある、民家を改造した懐かしい風情のお店で、完全予約制です。地元産の食材を使い、伝統の味を守る、まさにローカルフードのお店です。ぜひ一度お立ち寄りください。

佐久伝統の味  丹右衛門 住所:佐久市桜井134-3 駐車あり 金、土、日曜のみ営業 営業時間:11:00〜20:00 予約受付:8:00〜20:00 電話0267-63-8551 [ 地図]


鮒鯉と並んで水田養魚されているのが鮒(フナ)。こちらは、田植えが終わり水温が上昇する5月の終わり頃に池で飼う親鮒を入れます。水が変わると産卵をするそうで、産卵後は親鮒をまた池に戻します。10アールに10キロの親鮒を入れると、9月には120キロくらいの小鮒が収穫できるそうです。

稲の中は天然の餌が豊富で、鮒が泳ぎまわることで除草もでき、真夏の水温上昇を抑える効果もあることから、稲と鮒の共存ができるのです。なによりも鮒を養殖する水田は、養魚期間に農薬を使用していない証にもなり、ここのおこめは農薬を使用しない「フナ米」として人気があります。

現在ではJA佐久浅間の佐久平鮒部会と中込鮒部会など約200件の農家が約25トンの鮒を生産しています。収穫された小鮒は旬の味として、佐久地方を中心に東北信地方のスーパーで販売されます。

JA佐久浅間さく南部営農センターでは、毎年9月の中旬に鮒の直売や、鮒祭りのイベントを開きます。佐久地方の家庭では、鮒を甘露煮などにして食べますが、佐久の鮒は骨がやわらかくまるごとおいしくいただけます。煮た鮒は小分けにして冷凍すれば、半年以上楽しむことができます。

arrow2.gif JA佐久浅間

JA佐久浅間  さく南部営農センター TEL:0267-62-8145 〒385-0055 佐久市三塚100

小鮒の甘露煮小鮒の甘露煮レシピ
材料 鮒1kg 醤油150ml 砂糖300g〜400g 酒1カップ

  1. 鮒はよく洗ってザルに上げておきます。
  2. 鍋に調味料を入れ、沸騰したら少しずつ鮒を入れます。
  3. 入れ終わったらはね出さないように蓋をして、強火で落ち着くまで煮ます。
  4. 中火にして、1時間から1時間30分ぐらい煮ます。
  5. 途中焦げないように、時々鍋をゆすります。
  6. 水分がほしくなった時はお酒を足して煮ます。
ひと口メモ
  • 煮る前に塩をふってぬめりを落とすと生臭さが抜ける。
  • 大根を鍋底に敷いて煮ると焦げつかない。
  • 煮上がったところに濃いお茶をかけると苦味が抜ける。
  • 砂糖をはじめから入れないで煮上がる寸前に入れると一つずつころっと煮える。

その他の鮒の代表的なレシピ

arrow2.gif JA佐久浅間ホームページ「おら家の味」鮒ずし

取材協力、写真提供:JA佐久浅間
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