今回は、天然酵母と県内産の原材料にこだわって作られた、特別なパンをご紹介します。お客様の希望により、甘さやクリームの変更はもちろん、木の実・果物・チーズなどを使用して「あなた好みのパン」を作ってくれるとか・・・。夢のようなパン屋さんに会いにいってきました！
県南部の飯田市、飯田駅前に広がる中央通りから細い路地に入ったところに「菓子工房 新菓苑 かとう」はあります。近くには桜並木通りがあり、春には道の両側いっぱいに桜が咲きます。
加藤勝（まさる）さん（70）と、奥さんの好子（よしこ）さん（64）は、天然酵母と原材料にこだわったパンを作っています。天然酵母はイースト菌を使うより、長時間発酵させる必要があります。20℃以下の低温で仕込んだ場合、10時間ほどかけて発酵させるため、香りのよいパンになるそうです。また、天然酵母はイースト菌よりも塩の量が少なくてすむため、減塩にもなるそうです。
店舗を構えていないため、週に1回木曜日にだけ予約分のパンを焼きます。事前に酵母をおこして寝かせておき、水曜日夜10時ころからパンを作り始めます。木曜日の午前中に焼き上げ、午後には好子さんがお得意先へ配達します。今年70歳になる勝さん。「毎週毎週、夜からのパン作りは大変なのでは？」とお聞きすると、「かあちゃんのためなら！」と満面の笑みで答えてくれました。
プレミアム食パン
おススメ商品は、食パンです。「プレミアム食パン」は、その名のとおり県産の原材料にこだわったプレミアムな食パンです。小麦だけでなく、鶏卵・牛乳・蜂蜜も長野県産を使用しています。牛乳を使って仕込んでいるため、パンの耳までやわらかく食べることができ、勝さんのお気に入りだそうです。
バタートップ（小麦粉）
食パンの上部に切れ込みを入れてバターをのせて焼いた「バタートップ」はお店の人気商品。長野県産小麦の「夢かおり」「華梓」などを使用しています。生クリームで仕込んでいるので、さっくりふんわりした食感と県産小麦の味が楽しめます。
お米のバタートップ
県産コシヒカリを使用した「お米のバタートップ」は、トーストするとお米の甘い香りがします。外はカリッと、中はもちもちしたお米のおいしさが味わえます。
どの食パンも水をあまり使わずに、生クリーム・牛乳・たまごをふんだんに使用して作っているため、日持ちもいいそうですよ。食パンの他にも、焼きこみ調理パンやフランスパン、菓子パンなどもあります。残念ながら、今年は既に注文を締め切ったそうですが、クリスマスには「シュトレーン」「パネトーネ」などの季節商品もあります。
好子さんがお得意先へ配達するパン
「スーパーなどで販売されているパンの価格に比べると高いと思われるけれど、値段だけではない価値をわかってほしい」と勝さんは言います。
このお店でパンを作り始めたのは、約20年前。勝さんの父の代までは、半生菓子の卸行をしていました。お土産用のパウンドケーキを焼くオーブンがあったため「パンを作ろう」と決めたそうです。東京・大阪・名古屋など、受け入れてくれるところならどこにでも泊まり込みで修行にいったそうです。その修行経験から、原材料にこだわったパンが生まれました。
そして、もうひとつ、とっても嬉しいのが、お客さんの希望に個別対応したパンを作ってくれるところ。メロンパンの中にクリームを入れてほしいという方には、好みに応じてメロンクリーム、チョコクリーム、メープル風味のカスタードクリームなどを入れます。甘さを控えめにしてほしいという方には、特別に甘さを控えたものを作ります。リンゴを入れてほしい、クルミを入れてほしいといった希望にも可能な限り対応するそうです。「どれだか分からなくなっちゃうから、オーブンに入れる時にパンの横にメモを置いとくんだよ。」と勝さんは恥ずかしそうに教えてくれました。
メロンパン（チョコクリーム入り）
メロンパン（メイプル味のカスタードクリーム入り）
栗のパイ
栗のパイ（甘さ控えめ）
お店には看板がなく、人通りも多くはないため、お客さんはご近所の方や職場など、口コミで知った方が多いそう。知る人ぞ知る、隠れた名店なのです。
ピーチちゃん
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