てるてる坊主の歌をいまも全部歌えますか?

581px-Teruterubouzu.jpg

長野県など関東甲信地方が梅雨入りしたとみられると気象庁が発表したのは予想もしていなかった5月の終り(5月27日)。かなり早い梅雨入りとなったわけですが、シトシトした梅雨らしい雨は県南部が中心で、編集部のある長野市では「本当に梅雨なの?」といった感じ。それでもここへきて気温の高い日は蒸し暑くなってまいりました。

ただその蒸し暑さのレベルは、太平洋に面した都市部でこれを読まれている読者のみなさんからは贅沢といわれるかもしれませんが、初夏の海岸沿いの亜熱帯的様相とはまったく違います。内陸性気候とはいえじめじめしたクールビズニュースが広まり、曇り空がのしかかってきて、ときどき雨が降る、うっとおしい季節ともなりますと、子どもの頃に耳にした昔懐かしいあの歌あの一節が思い出されてきます。

「♪てるてる坊主 てる坊主 あーした 天気に しておくれー♪」

そうです、かの有名な童謡「てるてる坊主」です。てるてる坊主をインターネットの百科事典のウィキペディアで調べると「日本の風習のひとつ。白い布や紙などをくるんで作り、これを正立させた状態で軒先などに飾ると、明日の天気が晴れになると言われている。元々は中国起源の風習」とありました。でも、あの歌は純粋に日本製、いやその歌は、作詞も作曲もわれらの同胞信州人の手になるものであり、信州の風土が産み出したものなのです。

teruteruyakata1.jpg teruteruyakata2.jpg

そんなてるてる坊主の作詞者は、浅原六朗氏。長野県の中部、北アルプスを望む池田町生まれで、明治から昭和にかけての作家であり俳人です。号は「鏡村」。作曲は日本の大衆歌謡に大きな足跡を残す、現在の中野市出身の音楽家中山晋平氏、ということで信州コラボの童謡作品となっています。

もっとも平成のご時世。「てるてる坊主」そのものやこの歌を見聞きすることはあまりなくなってしまいました。かつては教科書にも掲載されていたのですが、「晴れにしてくれなければ首をチョンと切るぞ」といった内容が、かわいらしさでなく残酷さととられて、現在は放送もあまりされることもないようです。この歌のなかにこめられている古くからの日本人の心を求め、てるてる坊主の魅力を今もアピールしている池田町を訪ねました。

teruteruyakata3.jpg

世界にひとつしかないてるてる坊主の記念館
池田町役場敷地内の一角に「てるてる坊主の館(浅原六朗文学記念館)」があります。屋根のてっぺんが尖った面白い形の建物です。その理由は、中に入ってわかりました。ちょうど建物全体が唐傘を開いて、下から見た構図なのです。

しかも、天窓から晴れて光がこぼれ、金の鈴が明るい未来に向け、響いてくれるようなイメージ。てるてる坊主の歌詞と震災の復興への希望がオーバーラップするのは気のせいでしょうか。

案内していただいた同館の小澤館長さんによれば、県内よりも県外の童謡愛好家などの方々が多く訪れるそうです。ここ池田町管内の正午のチャイムは、もちろん「てるてる坊主」が合図です。

この童謡ができたのは、大正10年。もともと「てるてる坊主の歌」として4番まであった詩を、大正12年に中山晋平の作曲で、歌として世に出ていく時に、再編され3番までの詩となりました。

teruteruyakata4.jpg

てるてる坊主とは明日が晴れる事への願い
館長さんの話によると、作者が松本にいる時に松本城と夕日をながめながら故郷をイメージし作られたとか。たしかに5歳時に池田を離れ、ふるさとを思う心が人一倍強くなったのでしょう。そう思うと歌詞にもある「いつかの夢の・・・」と望郷の念と強い意思を感じますし、やはり東日本大震災で住む地を避難されている方への思いに通じるものを感じます。ちなみに「浅原鏡村」はペンネームでこの歌碑が、ゆかりある松本市の城山と池田町八幡神社境内にあります。


    てるてる坊主

             作詞:浅原鏡村
             作曲:中山晋平

     てるてる坊主 てる坊主
     あした天気に しておくれ
     いつかの夢の 空のよに
     晴れたら 金の鈴(すず) あげよ

     てるてる坊主 てる坊主
     あした天気に しておくれ
     私の願(ねがい)を 聞いたなら
     あまいお酒を たんと 飲ましょ

     てるてる坊主 てる坊主
     あした天気に しておくれ
     それでも曇(くも)って 泣いたなら
     そなたの首を チョンと 切るぞ


さて屋根の形だけでなく、大正・昭和レトロな雰囲気あるこの館。現代にはない落ち着いた風情と郷愁をそこかしこに感じられます。長野県民のみならず昔を偲びたい全国のみなさんに一度は訪れて欲しい場所です。

teruteruyakata5.jpg

てるてる坊主童謡まつりは今週末に
話を聞けば、てるてる坊主と浅原氏の功績を後世に伝えるイベントも毎年行われています。てるてる坊主の館が来年30周年を迎えるということで、その年から始まっている「てるてる坊主童謡まつり」は今年で30回目を迎えます。合唱団の美しいハーモニーやアトラクション。今週末26日(土)にイベントが催されるので、興味がある方はぜひご参加ください。

teruterutaisho.jpg
いけだまちてるてる坊主アート展第4回大賞作品

また、全国から数多く応募(昨年は福島から沖縄県までの約600点)されている「第5回いけだまちてるてる坊主アート展」が8月25日(木)から28日(土)まで池田町で開催されます。

現在「てるてる坊主の館」に展示されている昨年度の作品はどれもすばらしい作品ばかり。8月19日まで作品を募集中となっていますので、あなたも応募してみてはいかがでしょうか。

ジメッとした世の中の暗い空気を「てるてる坊主」に託して明るくしていきましょう。

明日が晴れるといいですね。


アクセス:てるてる坊主の館

 てるてる坊主の館(浅原六朗文学記念館)
 池田町池田3203−5(役場敷地内)
 電話0261−62−5659
 営業9:30〜17:00
 休館:毎週月曜日、年末年始、祝日
 ホームページ


 てるてる坊主童謡まつり
 6月25日(土)9:00〜 池田町公民館
 問い合せ:池田町図書館0261−62−5659
 案内情報 pdfdoc.jpg

 第5回いけだまちてるてる坊主アート展
 8月25日(木)〜28日(日)池田町あづみ野池田クラフトパーク
 案内情報 pdfdoc.jpg 
 募集要項 pdfdoc.jpg
 問い合せ:池田町観光協会0261−62−9197

 ・あずみ野 池田町観光情報サイト

terusmall.gif
信州あずみ野池田町のマスコット「てるみん(左)、ふ〜みん(右)」信州の澄んだ青空の下、てるてる坊主の妖精が遊んでいて、ハーブの香りをふりまいている図

1308668400000

関連記事

新・信州暦 りんごの摘果も仕上げの段階に

新・信州暦 りんごの摘果も仕上げの段階に

新信州暦 雨のない梅雨 畑の様子は?

新信州暦 雨のない梅雨 畑の様子は?

新信州暦 信州の山野が最も美しくなるころ

新信州暦 信州の山野が最も美しくなるころ

新信州暦 スイカを食べて平和を思う夏の候

新信州暦 スイカを食べて平和を思う夏の候

新着記事