新信州暦 信州の山野が最も美しくなるころ

rainyseason.jpg先週、気象庁から「沖縄地方が梅雨入りした」と発表されましたが、県内でもこのところ週末になると天気が崩れることが多いような気がします。天気がよいものと想定して、お出かけを予定したりしていると、ちょっとブルーになってしまうところですが、雨の中、水遊びを楽しむかのように飛び回る子どもたちを見ていると「ものは捉えようだ」と感じさせられます。昨年は5月29日にはすでに梅雨入りをしました(梅雨明けは7月19日ごろでした)。例年は6月8日頃に梅雨入りして、7月の20日頃に梅雨明けなのですが、さて、今年は県内の本格的な梅雨入りはいつごろになるのでしょうか?

naganoken.jpg農事に目を移すと長野県南部や中部ではほとんど田植えも終わりました。一方、北部の善光寺平ではまだぽつぽつと田に水が張られたところでして、この辺りでは6月上旬までさかんに田植えが行われます。田植えの時期ひとつとっても南北に長い長野県の大きさが改めて実感されます。

farming.gif南信地区にあるJA上伊那では県内で初めて飼料用の陸稲(りくとう/おかぼ)栽培をはじめました。近年の飼料価格の高騰を受け、自給用飼料をつくってコスト削減を図ることが目的です。畑で作るので水の管理が不要なこと、水稲専用の農機がなくても作れることなどから導入が決まりました。遊休農地の活用策としても期待されています。

cows.jpg中信地区のJA松本ハイランドやJA塩尻市ではまだ雪の少し残る標高2000メートルほどの高原で牛の放牧が開始されました。10月中旬の下牧時には、体重が100キロ近く増える牛もいるとか。菅平、野辺山、栂池、御岳、妙高などの高原にワラビが盛んに出始めて、きっとワラビ狩りの人たちが動きはじめているでしょう。北信のJA北信州みゆきでは山菜のネマガリタケの出荷もはじまりました。ネマガリタケはこの時期の旬の味として多くの長野県民に親しまれ、サバ缶とネマガリタケのみそ汁は代わるもののないおいしさと信じられています。この時期の長野県はサバ缶の消費量が「グッ」と増えるのです。

ina.jpgmiso.jpg長野県南部の諏訪、上伊那、下伊那地方では、地元の名物丼をPRする「どんぶり街道プロジェクト」が進展中。この辺りでは、駒ヶ根ソースカツ丼(駒ヶ根市・伊那市)や信州みそ天丼(諏訪市)、黒豚とごぼうのごぼとん丼(松川町)などテレビなどでとりあげられたことがある丼が複数存在します。goboton.jpg「上伊那地域観光戦略会議」という組織が、こうした地元の名物丼の魅力を伝えようと各地の関係組織に「天竜どんぶり街道(仮称)」の結成を提案する予定です。それぞれの地域にそれぞれ特徴的な丼がありますので、相乗効果で良いPRができるといいですね。

top_090527_small.jpg*巻頭のカバー写真を入れ替えました。5月も下旬、信州も日中は暑い日差しが照りつけます。眩しい日差しをさえぎってくれているのは新緑の緑。写真は南佐久郡佐久穂町と小海町にまたがる「茂来山」の木々です。緑の葉っぱを屋根にして、顔を空に向けると、頭上に太陽光線に照らされた緑が輝いて見えます。こうして見あげていると、こんなにもたくさん緑色の種類があったのかと驚かされます。


daynite.gif

shundai.jpg「旭将軍義仲(よしなか)も/仁科の五郎信盛(のぶもり)も/春台太宰(しゅんだいだざい)先生も/象山(ぞうざん)佐久間先生も/皆此国の人にして」と県歌・信濃の国のなかで偉大な人として歌われている太宰春台先生は1747年のこの日が命日とされています。信濃飯田藩出身。またウィキペディアには「征夷大将軍こそが『日本国王』であり、鎌倉・室町・江戸の3時代それぞれに別個の国家が存在したと説いた」ことでも知られているとあります。

june.jpg5月30日は今年がはじまって150日目。今年も残りは215日となります。31日は上弦の月。6月の8日が満月になります。6月1日は企業官庁学校などの衣替え。6月は、世界を成長させる力が最もみなぎる月です。信州の山野が最も美しくなるのもこのころですが、しかし農家はこれから収穫の秋が訪れるまで、原則的には休日はありません。あらゆる植物たちが日々活発に生長するからです。アメリカの農耕先住民のモホークの人たちは、これからの夏の間に実にさまざまな儀式を行ってきました。夏の非常に早い時期、空に雷が鳴り響くころ、雷に祈りをあげて空から降ってくる水を讃える儀式を行います。6月の満月(8日)には、月に祈り、すべてのもののなかにある女性的な面に感謝をする儀式が行われます。彼らは月を偉大なる祖母の月と呼んでいました。ストロベリーの儀式も初夏におこなわれます。corn.jpgストロベリーをはじめとして人に癒しを与えてくれる植物たちに敬意を払う祭りです。さらに種植えの儀式は植物を食料として栽培する人たちには欠かすことのできない儀式です。さらに夏が進んで盛夏になると、豆の踊り、トウモロコシの踊りがおこなわれ、人々は自分たちにとって大切な作物のことに思いを馳せます。そして夏の終わりには収穫祭が開かれて、夏が終わりを告げるのです。彼らはこうした儀式を何千年間も夏の間毎年毎年繰り返して行ってきました。月の満ち欠けを読むことで毎年巡ってくる夏にかわらぬ感謝を送り続けたのです。ここでいう祭りとはみんなで飲んだり歌ったりするようなものではなく、いうならばそれは農作業をきちんと行うための祈りのこめられた手続きみたいなものでした。

tug-of-war.jpgそういえば信州南部の飯田市(旧南信濃村)では、毎年秋に行われる浜松市天竜区(旧水窪町)との「国盗り綱引き合戦」に向けて、綱引きクラブが結成されたというニュースが報じられました。「国盗り綱引き合戦」は飯田市南信濃と浜松市天竜区の県境で代表同士が綱引きを行い、勝ったほうが領土を1メートル相手側に動かすことができるというもの。ここ3年、連敗している信州軍が「今年は負けられない」とクラブを結成し、合戦当日に向けて練習を重ねることになります。毎年、10月の最終日曜日の開催ということですから、例年通りであれば今年は10月25日ということになります。毎年観客が増えていて、峠までのシャトルバスまでが運行される特別な行事になりつつあります。ウィキペディアに掲載されていた表のように、現在までの22回の戦いは11勝11敗の両者互角。tugofwar.jpg信州はこれまでにただの一度も国境を信州側に食い込ませたことはありませんが、第23回となる今年もし敗戦となると、史上初めて遠州群に侵略を許すことになり、一度は4メートルも遠州側に食い込んだことのある信州にとっては負けられない戦いになります。信州軍は「信州に海を!」を目標に今日も訓練に余念がありません(笑)。

indexarrow.gif 長野県の夏の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより

1243350000000

関連記事

新信州暦 昔は今ごろから蚊帳をつりました

新信州暦 昔は今ごろから蚊帳をつりました

新信州暦 6月の花嫁と梅雨

新信州暦 6月の花嫁と梅雨

新信州暦 スイカを食べて平和を思う夏の候

新信州暦 スイカを食べて平和を思う夏の候

新・信州暦 黄金色の麦の穂が風に波を打つ

新・信州暦 黄金色の麦の穂が風に波を打つ

新着記事