新信州暦 タラの芽、コゴミ、コシアブラの日

summersnow.jpg週末から今週前半にかけて、信州では天候が目まぐるしく変化しました。金曜日から土曜日にかけては真夏日を観測し、松本や安曇野、飯田、長野のほか各地点で30℃を越えるところが多く、なかでも今テレビや映画などで舞台となっている松本エリアでは、土曜日に32.3度を観測して全国としても最高気温となるなど、気象面からも熱い場所となりました。この暑さに半袖姿の人も多く、また風のあったこの日は窓を開けて車の運転をする人も多く見かけました。ところが一転、日曜日から月曜日にかけては雨と寒さで気温はぐっと落ち込んで、せっかく収納ケースの奥の方に仕舞い込んだ長袖も、また引っ張り出してくる羽目に。月曜日には、美ヶ原も、北アルプスも、浅間山も雪化粧です。これからの一週間、気温は平年並みとのことですが、天気は曇りや雨マークのぐずついた予報となっています。梅雨が近づいているのでしょうか?

ayame.jpgゴールデンウイークの頃のような、至る場所で花が咲き乱れるといった光景も少し落ち着いて、今は紫色のアヤメの花が凛とした様子で咲いています。またサツキやツツジもまだまだ色とりどりに元気な様子で咲いています。

春の訪れが遅い佐久市でも、好天と暑さに見舞われた週末の土曜日、あちらこちらの田んぼで田植えをする人の姿が多くありました。植えられた1本1本の苗はすごく細く、ともすると吹く風に飛ばされてしまいそうでしたが、そんな風などに負けずしっかりと大地に踏ん張るようにして風圧に耐えている様子に『負けるな!』と心の中で応援しました。taue.jpgこれから収穫のその時までしっかりとその根を大地に広げ、たくさんの恵みをもたらしてくれることを願わずにはいられません。そして長野市内では夜寝る頃になると、どこからかカエルの声が。まだ大合唱とまではいかずおとなしめのそのハーモニーは、眠りに落ちるまでの心地良いBGMになっています。

sonshou.gif一方3月の県北部の大地震に見舞われた栄村(図は栄村の村章)では、田んぼに入った亀裂や畦の崩壊で作付けが減少となるほか、標高の高い場所にあるため池から、各田んぼへと水を注ぐ長い水路が正常に使えて田に水を張ることができるのかどうか、米作りを中心に住民が結束してきた栄村は、豪雪地帯にあり未だ深い残雪に阻まれその調査が行えないなかで、田植えのタイムリミットが6月中旬に迫るなか、先行きを見通せず不安を抱えながら今その準備を余儀なくされています。

enndou2.jpg気温があがり畑も本格化しています。畑にはナスにキュウリ、トマトにジャガイモなど、所狭しと植えられた夏野菜の芽が順調に生長中です。そして昨年秋に種をまいたキヌサヤやスナップエンドウが待望の収穫を迎えました。採り立てのものは特別甘く、それをサッと茹でてマヨネーズなどで和えればもう箸が止まりません。でも悲しいかな、毎年必ず途中でアブラムシにやられて駄目になってしまいます。またタマネギも食用となる玉の部分が大地から少し盛り上がって顔を覗かせ、様子を伺っているようにも見えます。そんなタマネギが収穫されるのも、あと20日後位。甘味の豊富は新玉ねぎは、刻んで生のままかつおぶしと醤油だけのシンプルな食べ方のわりに美味しさも抜群です。sannsai.jpg食卓に並ぶその時が待ち遠しくてなりません。またちょっと足をのばして直売所などに出掛ければ、今はタラの芽やコゴミに、コシアブラやフキなどの山菜も充実していますので、そんな山菜をのせて食べるうどんやソバも風味満点で美味しいものです。

momo.jpg夏の味覚・モモがいよいよ収穫の時期を迎えました。これは県北部の中野市のハウス内で加温栽培されたモモ「日川白鳳」で、主に贈答用として東京や大阪、名古屋へと出荷されるものですが、今年のモモは食味や着色、玉の張りも良く上々の品質ということです。このハウス栽培のモモは6月中旬まで、また露地ものは6月上旬から9月下旬まで出荷される予定です。

seruri.jpg長野県産のセルリーが、冬場の産地であった他県からバトンタッチをして、いよいよ送り出されはじめました。出荷となったのはJA信州諏訪管内の茅野市や原村、富士見町、そして県中部のJA松本ハイランド管内の松本市とその周辺。高冷地で夏場涼しいこれらの場所で採れるセルリーは、とてもみずみずしくて柔らかく市場の評価も高いもの。JA信州諏訪では7月中旬から露地ものを、11月下旬まで出荷を予定しています。

sakubyoinmatsuri.bmp週末の土日には「農民とともに」の精神を掲げるJA長野厚生連・佐久総合病院で恒例の病院祭が行われました。「震災救護活動と災害拠点病院の役割」をメインテーマとした第65回佐久病院・病院祭では、地域医療チームが東日本の被災地の状況やそこでの活動を伝えた内容、また災害拠点病院としての役割の紹介に大勢の人が集まりました。院内の壁には病気の治療やその予防に関する情報を書いたパネルや模型が飾られ職員の方が丁寧に説明をしてくれるなど、近寄り難い病院がより身近に感じられたばかりか、各科の専門医による健康なんでも相談や、また歌や研修医による寸劇、さらに白衣の試着や農産物、加工品の販売や屋台など、来場者は大人はもちろん子供までも楽しめる内容で、大勢の人で賑わい活気のあるものでした。

fuji.jpg長野県産リンゴの収穫量が、天候不順で前年比9・4%減の14万4900トンにとどまり、2年連続で減少したと農林水産省長野農政事務所が発表しました。県内のリンゴ収穫量は、生産者の高齢化などに伴う廃園や規模縮小が進み、減少傾向にあるようです。同事務所によると、10年は春の開花期に低温に見舞われて結実不良だったことに加え、梅雨明け以降の高温で果実が大きく育たなかったということです。品種別収穫量は、主力の晩生種「ふじ」が8・1%減の9万2700トンで、早生種の「つがる」が15・2%減の2万1700トンでした。つがるはあの夏の猛暑の影響で、表面が変色して実が傷む「日焼け」の被害が発生し、大幅な収穫減の原因のひとつになりました。

cover20110504_fix_small.png*巻頭のカバー写真。野辺山(南牧村)で定植がはじまったレタス畑です。畑に張られたマルチの色が白一色で、山にもまだ雪が残っていたため、まるで雪が降ったかのような景色でした。まだ植えられたばかりで小さな苗ですが、これからの成長を期待させてくれました。


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matsumotocraft.gif本日25日水曜日は下弦の月です。週も半ばですね。そういえば今年も「クラフトフェアまつもと」が今週末28日(土)と29日(日)に、松本市あがたの森公園で開催されます。江戸時代、各地から集められた匠たちがたくさん居住する城下町として栄えた松本市。戦後も木工、染色を始め、活発な工芸品製作がこの地でおこなわれるなど、松本市はクラフトワークと深いつながりがあります。市では毎年5月を「工芸の五月」としてさまざまな企画がおこなわれています。「クラフトフェア」は全国から280名を越えるクラフトマンが集い繰り広げられるこの野外イベント。他にも今月末まで市内の美術館や博物館、ギャラリーやショップなどで様々な工芸の企画が催されています。クラフトファンの皆さま、今週末は是非松本へお集まりください。

konnyaku.gif5月の29日は「こんにゃくの日」だそうです。「5」「2」「9」を「コン」「ニャ」「ク」と読む、よくある語呂合せから、日本こんにゃく協会とこんにゃく栽培、生産者が1989年(平成元年)より制定したもの。こんにゃくの作付けが5月に行われるという意味合いもあるようです。こんにゃくと言えば群馬県を思い浮かべるかもしれませんが、長野県だって負けてはいません。調べてみると上伊那地方(駒ヶ根市、飯島町、中川村)、下伊那地方(喬木村、阿南町、豊丘村、飯田市、泰阜村、天竜村、松川町、阿智村、大鹿村、南信濃村)、長野地域(信州新町、小川村、中条村)で多く作られています。なかでも天竜川沿いの伊那地方は上も下もこんにゃくについてはうるさい土地です。日本こんにゃく協会の『近代こんにゃく資料』によれば、長野県におけるこんにゃく栽培の歴史は江戸中期からで、長野県へのこんにゃくの流入ルートは遠州から下伊那地方へとされています。「信州遠山郷 秘境の旅」ブログには「秋葉街道を通じて遠州と隣り合わせている遠山谷は、長野県のこんにゃく先進地」と記されています。29日はこんにゃく料理を食べてくださいね。

shundai.gif30日「旭将軍義仲(よしなか)も/仁科の五郎信盛(のぶもり)も/春台太宰(しゅんだいだざい)先生も/象山(ぞうざん)佐久間先生も/皆此国の人にして」と県歌・信濃の国のなかで偉大な人として歌われている太宰春台先生は1747年のこの日が命日とされています。信濃飯田藩出身。太宰春台は儒学の「経世済民(国を治め民を救う)」の意義を追求して「経済こそが政治の中における基本的な要素である」と力説し、50歳のとき『経済録』を著しました。経済を学問的に体系化して施策の具体的指針を示したことにより、後世の日本の経済学や政治学、柳田国男らにも大きな影響を及ぼし偉大な貢献をしたといわれています。またウィキペディアには「征夷大将軍こそが『日本国王』であり、鎌倉・室町・江戸の3時代それぞれに別個の国家が存在したと説いた」ことでも知られているとあります。

asamayama.jpg31日。1909年のこの日浅間山が噴火しました。浅間山の噴火は珍しいことではありませんが、いつ噴火してもおかしくないお山であることを気象庁の浅間山 火山活動の記録ページで確認しておきたいものです。ちなみに現在の浅間山の噴火警戒レベルは「レベル1(平常)」です。

ine.jpg6月1日は、田植えの終わった田に水を張る「水張月(みづはりづき)」、あるいは梅雨が訪れる「水月」のはじまりの日。とにかく水に縁のある月です。みなつき(水無月)以外にも、かぜまちづき(風待月)、とこなつづき(常夏月)、なるかみづき(鳴雷月)、june.jpgすずくれづき(涼暮月)、まつかぜづき(松風月)、いすずくれづき(弥涼暮月)、たなしづき(田無月)、せみのはつき(蝉羽月)など、自然現象に応じた異名があります。衣替えの日であり、青梅が出回る時期であり、梅の実が熟する最初の日と言うことで、この日は「梅の日」でもあります

2011pos.jpg6月の1日から19日まで、県北部の中野市で「2011なかのバラまつり」が開催されます。850種類、2500株のバラが植わる一本木公園に、今年は「イングリッシュガーデン」がオープンし、イギリス展が開かれるほか、バラ講習会やバラの苗木、地元農産物の販売も行い会場内をにぎやかに盛りあげます。詳しくは、中野市バラまつり実行委員会事務局(電話0269−22−2111)まで。

2011yume_top-thumb-autoxauto.jpgまた6月第1週の週末4日(土)と5日(日)の2日間、県中部松本市の信州スカイパークやまびこドームで「信州夢街道フェスタ2011」が開催されます。特産品や県産の農畜産物や加工品の販売、またバター作り体験やスタンプラリー、さらに祭りや伝統芸能の実演などの催しも予定されています。なお当日は、やまびこドーム周辺の駐車場が利用できませんので、信州スカイパーク内大芝生広場の臨時駐車場をご利用いただきシャトルバスでご来場下さい。

syokutyuudoku.jpg衣替えの頃となるとまもなく本格的に暑い時期がやってきますが、同時に食中毒の発生が多くなる季節でもあります。そこで家庭で気をつけるポイントをいくつか。まず食品の購入は新鮮なものを選び、消費期限を守って食べましょう。また買って帰ったものは、すぐに冷蔵庫や冷凍庫で保存すること。調理の際は、下準備や調理の前などしっかりと手を洗い、きれいな調理器具を使って十分に加熱しましょう。食べる前にもしっかりと手を洗い、作った料理を長く室温に放置しないこと。冷蔵庫に入れた料理の残りを食べる際は再度加熱して、おかしいと思ったものは食べないようにしましょう。そして基本はなによりもまず手洗い。ほんの少し意識するだけで随分と違ってくるものですが、水洗いでなく必ず石けんを使用して、washhands.gif手のひらや甲の表面だけでなく指先や指と指の間、そして手首の部分もまんべんなく1分くらい時間をかけて丁寧に洗いましょう。また洗い終わったら清潔な乾いたタオルなどで水気を拭き取ることも大切です。手洗いをしっかりして、食中毒にならないように気をつけたいものです。

indexarrow.gif 長野県の夏の気象の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより

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