新信州暦 身も心も温泉に救われる厳寒の候

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先週土曜日からの3連休は、どんど焼きに、鏡開き、成人の日など、なにかと忙しかったのではないでしょうか。子どもたちがリヤカーを引いて、各家庭から出されたしめ飾りやダルマなどを集めて回る様子は、微笑ましい光景でした。「どんどん焼きの灰を家のまわりにまくと火事にならない」という迷信が長野県にはあります。本来は小正月の15日におこなわれ、今年は暦では12日と設定されていた成人の日ですが、県内での成人式は日曜日に行われた地区が多かったようです。各地で晴れ着を着た若者たちの姿が見うけられました。不景気であるこのご時勢とは対照的に、女性たちの振袖姿などは華やぎを感じていいものでしたね。

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長野市街地では、ようやく昨日になって翌日までに消えてしまわないほどの雪がしっかりと降りました。積雪はおよそ15センチ(写真は昨日の夕方の長野市内)。寒い寒い、この季節一番の寒波だとか。日の暮れた後、長野市内からは北部の飯綱リゾートや志賀高原のスキー場のナイターの明かりが暗闇の中にこうこうと輝いて見えます。この頃はさすが「寒の入り」に入っているだけあって、コタツに入っていても堪らなく寒さを感じる日が多くなりましたよ。週末から連休にかけて県内各地では雪によるスリップ事故も相次ぎました。これからの最も寒さの厳しい時期、車はきちんとした装備をしてほしいものです。それにしても県内はいずこも最低気温は連日氷点下4度とか5度とか6度、7度、高いところではマイナス20度近くとか、晴れれば晴れたで夜にはさらに激しく冷え込み、寒さはもうこの位で充分・・・なんてつい思ってしまいます。

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長野市の善光寺の本堂にある、なで仏の「びんずる尊者像(写真)」は、患部と同じ部分に触れると病気やケガなどが治るとされて長いこと参拝者に一心になでられてきましたが、長年の結果、なでられたことで傷んできた箇所を修復する為に、近々湯治(修理)に出ることになったそうです。名医の入院みたいなものでしょうか? しかし今春にはじまる御開帳の前には必ず戻ってくるというのでご安心ください。

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こんなに寒くて冷え込みの厳しい冬の時期は、やはりなにはさておき温泉にゆっくり浸かるのが長野県ならではの最高の楽しみのひとつです。昔の農家の人たちは仕事で疲れた体を休めるために農閑期のこの時期米や味噌や野菜を背負って近くの温泉場に湯治に出かけ、だいたい二週間ぐらい宿泊するのが一般的な健康法だったそうですよ。温泉の話は今週の別記事「おすすめ信州の日帰り温泉で心の疲れを癒す」も参考に。

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県南部の茅野市では、江戸時代に高島藩が将軍家に献上したとされる「寒ざらしそば」の仕込み作業が、厳寒の中おこなわれています。茅野市内のソバ生産者やそば店主らでつくる「茅野八ヶ岳そば振興会議」が、袋にソバの実を入れて1週間ほど清流に浸した後、寒風に当てて1ヵ月乾燥させています。これによりそばの実は甘味が増すとともに、冷水による殺菌効果で保存が効くようになるのだということで、この実を使ったソバは、今年の夏の7月下旬に、同市内のソバ店で提供される予定だとか。ソバ好きにはすでに夏が待ち遠しい? 

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花の種類が少ないこの時期ですが、県中部の大町市平では鉢植えのアルストロメリアの出荷がはじまりました。出荷は今月の下旬にピークを迎え、その頃には東京や大阪方面などの都市部への出荷も本格化します。このアルストロメリアの出荷は、2月下旬まで続きます。

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昨年、県内の道の駅や高速道路のサービスエリアなどの飲食店およそ50ヵ所で、自慢のメニューを対象にした人気投票「食のコンクール」がおこなわれました。その結果が県の公式ページに公開されています。投票で最も人気の高かったのは「道の駅 信州新町のざるそば」で、金賞に輝きました。県北部の信州新町のざるそばは、国産のソバ粉を使った「ひきたて、うちたて、ゆでたて」が人気の理由。銀賞には県中部の「安曇野市 旬の味 ほりがね物産センターのおにぎり定食(写真)」、また銅賞には県東部の「東御市の 道の駅 雷電くるみの里のくるみおはぎ」が選ばれました。このくるみおはぎは、生産量日本一の同市産のクルミを使って、本物の郷土の味を提供しているもの。長野に訪れた際、味わってみるのもいいかもしれません。

*巻頭のカバー写真を入れ替えました。top_090114_small.jpg本日朝7時に長野市篠ノ井のりんご園で撮影。昨日の雪がりんごの木の枝に積もっています。ようやく明るくなりはじめた頃、かじかむ手でシャッターを切りました。枝の間に空に残る月が見えます。白い雪を身にまとったりんごの木は、寒さをこらえて春を待っているのか、はたまた雪を楽しんでいるのか、想像も及びませんが、どちらにしても信州の寒さはまだしばらく続きます。


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15日にちは小正月。スピードが速まり、時代の動きもそれにつれて慌ただしい現代では、正月は3日ぐらいしかありませんが、一昔前までは7日までの「松の内」を「大正月」と呼び、この15日を「小正月」と呼びました。dousozinmatsuri.jpg自然湧出の源泉が30ほどあり、13ヶ所の外湯は全て源泉かけ流しの野沢温泉の野沢温泉村で、この日、国の重要無形民俗文化財指定の伝統行事である「道祖神火祭り」がおこなわれます。20メートルもの高さに組み上げて作られた社殿めがけて、火付け役である男たちと、それを防ぐ火消し役として社殿に上った厄年の男たちとの攻防が続き、最後に焼け落ちる神殿が見ものです。

15日は語呂合わせで「イチゴ」の日。1月15日を「いいいちご」と読んだものですが、長野県内ではまさにこれからがイチゴのシーズン、各地でハウスの中のイチゴ狩りが楽しめます。県南部・伊那市西箕輪の、はびろ農業公園みはらしファームにある「みはらしいちご園」では元旦よりイチゴ狩りがオープンしています。時間無制限で楽しめるみはらしいちご園のイチゴ狩りの問い合わせと予約は、電話0265−74‐7430まで。strowberry.jpgまた県南部の諏訪市豊田にある「諏訪湖いちご園」も元旦からオープンです。水耕栽培されているイチゴは1メートルの棚の高さで、子供や車椅子の人でも無理せずにイチゴ狩りを楽しめます。こちらのお問い合わせは電話0266−53−5533まで。「みはらしいちご園」や「諏訪湖いちご園」は6月まで開園の予定です。

16日の長野市では昼の時間が10時間と7分で、前日の15日より1分だけ陽のある時間が伸びています。この時期は、陽が伸びると、それだけ寒さが厳しくなります。daylight.gif17日は冬の土用の入り。今年は2月4日が立春ですから、立春の前日までが土用の期間。土用とは「土を司る神の支配する時期」とされていて、土を動かす作業をすることが昔はタブーとされていたと言います。16日は「阪神大震災におけるボランティアの炊き出しのおにぎり」を忘れないために米に関係する民間企業やJA等でつくる「ごはんを食べよう国民運動推進協議会」が制定した記念日のごはんの日。なおごはんを食べよう国民運動推進協議会の公式ページのなかに「ふるさとのおむすび」を紹介するページがあり、長野県からは「飯やきもち」という味噌あんを使う焼きもちが掲載されています。

18日は下弦の月。そして20日は二十四節気のひとつ、一年をしめくくるとされる「大寒(だいかん)」。暦便覧には「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也」と記されています。一年で一番寒さの厳しい頃ということなのですが、発想を転じれば、これからは暖かくなるばかりと言う意味でもあるわけです。seal_of_the_president_of_the_usa.jpg春はそう遠くはない(たぶん)のだが、しかし春の遅い信州が最も冷えている頃であり、場所によっては深い雪に閉ざされるときでもあります。もうすこしの辛抱というやつで。ともかく20日は今年の正月の最後の納めの日。また世界的には4年に一度のアメリカ大統領の就任式が、地球を巻き込むこの日最大のイベントに。アメリカの大統領の任期はこの日の正午に切れて、この瞬間からつぎの大統領の任期がはじまります。(図は合衆国大統領の紋章)

indexarrow.gif 長野県の冬の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより

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