梅雨に入ってからの県内は、なんとなくすっきりとしない天候が多いようです。早朝から太陽が照りつけた昨日も、午後になると突然の大雨となって、県中部の松本や塩尻、また東部の菅平などでは小豆大の雹(ひょう)が雨交じりで降りました。これによりせっかくのレタスの外葉が傷ついたり、ブドウの葉に穴が空いたりと、収穫まもないものやこれから成長する農作物に被害を及ぼすという痛ましい状況になりました。長野県では 6 月を中心に夏の時期ひょう害が多くあり、過去にも農作物に多大な被害を与えたことがあります。天気が頼りの農家にとって、夏はすこしも油断のならない月なのです。左図は「農作物に被害を与えた降ひょう分布(統計期間:1951 〜 1985 年)」長野地方気象台のページより。
この時期県北部の長野市街地を飾る花は、バラやツツジなどが所々咲いているのが見られるものの、アジサイの花はまだうっすらと色をつけはじめているものもあるといった状態で、どちらかといえば全体的に、木々の緑の葉っぱの勢いに花たちがおされているといった感じです。
この時期、やおら暗くなりだした頃から夜中を過ぎても一向に鳴き止む気配を見せず、連日声を張り上げて元気そうなのがカエルの大合唱。この声に眠りを妨げられる、とうるさく感じる人もいるかもしれませんが、長野市内の田んぼは何十年前と比べてどんどんと埋め立てられ家が建ち並ぶことを思うと、カエルの鳴く自然がまだ身近に存在していることを嬉しく思うとともに、カエルの鳴き声が楽しそうに聞こえるのをBGMにしながら眠りについている今日この頃です。
本日の長野市の日の出は午前4時28分、日没は19時8分。最近はことさらに日が長くなったことを感じるとともに、晩御飯を食べていても、外が明るくて少し変な気がしたりもします。21日の夏至の日から先は少しずつ夜の時間が延びていきます。「夏至からは米一粒ずつ日が短くなる」という言い伝えも。いよいよ夏もこれからというのに、昼が少しずつ短くなっていくとは・・・とはいえ今日は今年がはじまって168日目ですから今年の残りは197日。新年を迎えてから半年が過ぎようとしているなんて、月日が過ぎるのは早いものではありませんか。
県北部の飯山市周辺は、この時期におけるズッキーニの生産量が全国一を占めるところ。いよいよハウスものから露地ものが多く出まわるようになってきています。「数年前より人気が高くなっている」といわれるズッキーニですが、実を順調に育成する為の受粉付けはひとつひとつ手作業でおこなわなければならないため、農家の方は早朝より大忙しです。飯綱町や中野市では、サクランボ狩りが。今年は天候に恵まれて味も良く大粒だそうですので、今だけの味覚をぜひ堪能してください。開園期間は場所にもよりますが、7月上旬まで楽しめるところもあります。
家庭菜園ではサヤエンドウが終わりを告げ、春に苗を植えたキュウリが徐々に採れはじめていますね。夏の代表野菜であるキュウリが食卓にのぼると、夏の訪れを実感します。またミニトマトはまだまだ青くてかたそうですが、だんだんとその実を膨らまして、これから色付くのがとても待ち遠しくなります。
初夏の訪れを告げるアユ釣りが県内のトップを切って、県北部の埴科郡坂城町から長野市・松代町までの千曲川で解禁です。解禁を告げる花火が早朝午前5時に打ち上げられると、県内外から訪れた大勢の釣り客が川へと入っていたそうです。腰のあたりまで水に浸かりながら糸を垂れる姿が、これから各地で見られることでしょう。
6月の季語である「麦秋(ばくしゅう)」ですが、その言葉通り県北部の長野市篠ノ井地区では大麦の収穫がおこなわれています。この冬の暖冬により、水不足による生育不良も心配されましたが、春先から雨が順調に降ったことによって平年並みの作柄となって、一面の麦畑では今週いっぱいくらいまで収穫が行なわれます。この地区では遊休農地での麦作が増加の傾向にあるということで、今月末からは小麦の収穫も予定されています。
*巻頭のカバー写真を入れ替えました。麦秋至。「むぎのとき、いたる」と読みます。上田市の別所温泉付近で、気持ちよさげに風に揺られていた一面の麦の穂を撮影しました。黄金色。まるで今か今かと収穫の時を待っているようです。近づいてみると「サワサワ・・・サワサワ・・・」と優しい音がしてきました。この「小麦色」の麦から、きっとおいしい信州の「地粉」が収穫されるのですね。
●信州の花の季節もゆっくりと色を変えつつあります。県南部・茅野市の蓼科高原バラクライングリッシュガーデンでは、「バラクラフラワーショー」が今週19日(金)〜22日(月)まで開催。庭が最も美しい時期の英国園芸の祭典のこのイベントでは、世界最高水準の講師による「グランドガーデンセミナー」もおこなわれます。なお入園券は通常大人2,400円ですが、前売り券(2,000円)の発売も。また県東部・小諸市にある夢・ハーベスト農場では、350種類以上ものハーブやバラなどが栽培され、7月上旬まではバラ、8月いっぱいはラベンダーが楽しめます。県中部・池田町の観光農園「夢農場」では、4ヘクタールの畑に植えられた約7万株のラベンダーが色づきはじめました。ただ今ラベンダー祭り開催中。こちらは入場料無料。
各地の高原では今、ツツジが見頃です。県北部・須坂市の峰の原高原(写真)や県東部・東御市の湯の丸高原、県南部・茅野市の車山高原では、満開から五部咲きの様子が楽しめます。またバラも見頃です。前回、前々回の新信州暦でもご紹介しました、県北部の中野市一本木公園でおこなわれている「2009なかのバラまつり」。いよいよ今月21日(日)までとなりましたが、バラの他に地域の農産物やキノコ料理の振る舞いなどもおこなわれていますので、足を運んでみてはいかがでしょうか。入園料は高校生以上200円です。さらにもう一度今週の別記事にもありますが、県南部の下伊那郡大鹿村では、「幻の花」と言われるほど栽培が難しい、鮮やかなブルーのケシの花が今月いっぱいまで見頃を迎えています。
21日は夏至です。太陽が夏の家と言われるところに到達し、来た道を辿って冬の家に向かって最初の一歩を踏み出す重要なときです。太陽が冬の家にたどり着くのは、12月22日の午前3時になります。地球の先住民は、この日に重要なことが起こるのを知っていました。わたしたちに影響を与えているエネルギーの流れがこの日を境に逆転するのです。この世界にあるものはみなことごとく太陽の影響を受けているし、あらゆるものどうしが影響を与えあっているからです。植物も動物もみなことごとくこの影響を受けます。わたしたちはこの日、自分がどのくらい太陽の影響を受けているかを考える時間をもつといいかもしれません。21日は長野市で午前4時29分に陽が昇りはじめ、午後3時に太陽が夏の家に入り、午後7時9分に沈みます。暦便覧には「陽熱至極しまた、日の長きのいたりなるを以て也」とあります。日本列島はこの時期梅雨にあたることが多いために、夏至そのものも実感が薄かったようですね。農業に関係するすべての人は、この日は、特別な気持ちで過ごすようにしましょう。23日は新月。
長野県の夏の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより
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