今日から2日前、「ひと目10万本」と称される日本一のあんずの里に花が咲きはじめました。一昨日4月11日に今シーズンの開花宣言がされたばかりの千曲川の南東に広がる千曲市森地区、倉科地区にわたる里山が、今、早くも淡い桃色に染まりはじめています。平地で3部咲き、山際ではつぼみですが、陽当たりのよいところでは5分咲きのところもあり、見ごろは間近。恒例の「第56回あんずまつり」(4月16日まで)では、東日本大震災、長野県北部地震を鑑みてイベント等は中止されていますが、それでも森地区が発祥の地であるあんずの品種である「平和」などが、復興を祈るように今年も優しい花を咲かせくれています。花のピークは今週末から来週半ばごろ。足を運ばれる際の最新情報は、千曲市観光協会のホームページを参考にしてください。
長野県北信地域の南東部に位置する千曲市の森地区と倉科地区、その標高380m〜450mほどの緩やかな斜面を覆うように、あんずの里が広がっています。ここには古くから半自生的にあんずの木があったとされていますが、歴史には諸説あるようです。中国から渡った「からもも」を植えたという村誌に載る説のほか、第3代松代藩主の真田幸道に嫁いだ豊姫が「ふるさと伊予宇和島(今の愛媛県宇和島市)の春を忘れないように」と苗木を取り寄せて植えたのがはじまりという説など。ちなみに、今の愛媛県宇和島市には、あんずはほとんど残っていないのだそうです。
ひと目10万本があなたを待つ
この地区では、JAちくま管内の250戸の農家が、延べ約40haであんずを栽培しています。品種は、森地区で発見され第一次世界大戦の終結を記念して命名されたという「平和」を中心に、昭和15年ころに発見された「昭和」や、果実の大きい「信州大実(しんしゅうおおみ)」、生食用品種の「ハーコット」のほか、長野県果樹試験場で生まれた「信月(しんげつ)」「信山丸(しんざんまる)」など。品種による花の見分けは難しいですが、「あんずの里スケッチパーク」には多種類のあんずの木が植えられており、それぞれに名札が付いているので、品種ごとの花の違いを見ることができます。スケッチパークは、あんずの歴史を記した資料やあんず商品などの展示スペースと休憩所を備えた資料館で、多品種のあんずの木の植えられた庭園は散策やスケッチをすることもできます。
あんずの里を象徴する言葉として「ひと目10万本」があります。見渡す限りあんずの木を表す言葉です。この「ひと目10万本」の世界が実感できるのは「上平(うわだいら)展望台」や、その近くの「窪山(くぼやま)展望公園」辺りでしょうか。
農村の斜面を覆うように咲く花や市街地、天候に恵まれれば戸隠山や飯綱山なども見ることができます。16日まではJR屋代駅からシャトルバス(片道・大人300円、子ども150円)を運行しているほか、エリア内には駐車場(有料)も点在しているので、マイカーで行くこともできます。この時期だけの出店もあり、あんずを使ったジャムやシロップ漬け、干しあんずなど地元産の製品を買うこともできます。
アクセス:
千曲市観光協会
〒389−0821
長野県千曲市上山田温泉2−12−10
TEL.026−275−1326
FAX.026−275−3678
観光・旅館案内 TEL.026−276−2241
千曲市観光協会公式ホームページ
JAちくま提供の「あんずブログ」