丼物を日本人が食べるようになるのはウィキペディアによれば19世紀以降のことだそうです。意外と歴史は浅いのです。日本の伝統的な食事は、ご飯とおかずが別々に配膳され、それぞれを一口ずつ口に運ぶ、ゆっくり味わって静に食べるスタイルでした。同じようにごはんとおかずが別々に配膳されても、おかずをごはん茶碗にのせながらにぎやかに食べる中国式とは違っていました。おかずをご飯にのせることは日本では行儀作法の上から好ましくないとされていたのです。
しかし、近代に入っていそがしい時間が増えてくると、ご多分に漏れず、ご飯をゆっくり食べていられなくなり、その結果丼物が登場して、古くから伝わった食事の様式を崩すことになります。トップは19世紀初め江戸時代の鰻丼で、ついで江戸末期には江戸の町で、あさりを使った深川丼が登場します。
明治初期には牛肉を使った牛丼や開化丼、1891年に鶏肉と卵の親子丼、20世紀になってソースかつ丼、卵とじかつ丼とバラエティを増やしていき、気がつけば今では丼物は日本で暮らす人たちには欠かせない食事のスタイルにもなっていました。
最近話題のB級ご当地グルメでも、丼物は無視することができません。面積では日本全国で4位の広さを持ち、山と盆地の多いわたしたちの信州にも、今では地域食材などを使ったその土地その土地の特徴あるどんぶりが続々と生まれています。今回はそのなかから5種類の信州ならではの丼を紹介しましょう。どれも1000円前後のお手頃価格で味わえるものばかりです。
写真と名前とエリアと店名だけではものたりず、さらに詳しくそれぞれの丼の情報を知りたい方は、続きを開いてください。
ソースカツ丼 南信 伊那市、駒ヶ根市
■食事・喫茶 ガロさんのソースカツ丼。まるでそびえ立つ山のようです。ボリュームが多く、食べきれずにカツを持ち帰る人もたくさんいます。
カツ丼と言えば、多くの方がカツを煮て卵でとじたものを想像しますが、駒ヶ根市や伊那市には、ごはんの上にキャベツをしいてカツにソースをかけた名物の「ソースカツ丼」があります。ソースかつ丼のルーツは、大正時代早稲田大学の学生が早稲田鶴巻町にあった「ヨーロッパ軒」(現在は福井市内にて営業)で、丼ぶりご飯の上にカツをのせソースをかけたのがはじまりといわれ、伊那市では昭和の中ごろにソースかつ丼がはじまっています。平成になって駒ヶ根市で駒ヶ根ソースかつ丼会が発足して以来、信州のソースカツ丼の名前は天下に鳴り響くようになりました。ここでは丼からあふれるほど大きなとんかつを出しているところなど地元でも話題のお店を中心にご紹介しますが、ほかにも扱っているお店がたくさんありますので、あらかじめ訪れる前にサイトをご検討ください。
店名 電話番号
とんかつきらく (駒ヶ根市) 0265−83−3555
食事・喫茶 ガロ(駒ヶ根市) 0265−81−5515
明治亭駒ヶ根店 (駒ヶ根市) 0265−83−1115
青い塔 (伊那市) 0265−72−5777
中華 飯島 (伊那市) 0265−78−2446
駒月みそかつ丼 東信 佐久市望月町
■伊勢屋のみそカツ丼。ソースベースにした雁喰味噌をとんかつにかけるタイプで、さっぱり味です。
駒月みそかつ丼(こまづきみそかつどん)は、かつに雁喰(がんくい)味噌をかけて食べる丼です。佐久市望月地区の商工会などが中心となって、地区内10の飲食店でその店ごとにオリジナルの丼を提供しています。雁喰味噌とは、この地域で昔から栽培されていたと言われる雁喰豆(品種名=南部黒平)を材料として作られた味噌。味は香ばしく、ほのかに甘味があり、普通の味噌と比べると少し違った味がしますが、よく味わうとチーズのような風味もあります。雁喰豆の名前の由来は、豆の表面のシワが雁の爪痕ともついばんだ痕とも見えることから来ていると言われています。年越しや正月などの祝い事に食べられることが多く、「座禅豆」という名で縁起物として高級料亭で使われることもあるようです。
店名 電話番号
民宿青木荘 0267−53−2526
あけぼのや 0267−53−2022
味処 こまがた 0267−53−5811
伊勢屋 0267−53−2029
きしめん 久弥 0267−53−6195
寿し 十割そば 天船 0267−53−3055
ドライブイン 駒の里 0267−53−3193
錦食堂 0267−53−2140
ふじた食堂 0267−53−3726
レストラン ラ・フェスタ 0267−53−2710
白馬の豚丼 中信 北安曇郡白馬村
■道の駅白馬の白馬の豚肉丼。角煮がごはんの上にのっていて、肉がとても柔らかでごはんとの相性がぴったりです。
スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツで知られている白馬村にも、ご当地丼があります。白馬村で生産された豚を使った丼ですが、この豚は「SPF豚」と呼ばれ、決まった飼育方法で育てられた品質の高い豚です。豚特有のくさみが少ないとのことで、大勢の方に好まれています。白馬ハイランドスキー場が元祖だとも言われていますが、白馬の豚を使うこと以外は特に決まりがなく、角煮タイプや焼肉タイプなどお店ごとに違った丼が楽しめます。
店名 電話番号
道の駅白馬 0261−75−3788
かっぱ亭 090−4722−3215
ごぼとん丼 南信 松川町
■美富久さんのごぼとん丼。見た目は濃いようですが、ごはんと食べるには丁度です。年配の方も食べに来ていました。
町特産のリンゴやウメで育った黒豚と、ごぼうがベストマッチな「激うま」どんぶり。「まつかわりんご黒豚」と「ごぼう」をとってごぼとん丼と命名され、町内の7店舗で提供されています。とろけるような黒豚とシャキシャキ歯ごたえのごぼうを使うことが共通ですが、それぞれの店舗によってタレがあったりなかったりと味が違います。つまり7種類のごぼとん丼が楽しめます。それぞれの違いはウェブサイトで確認してください。
店名 電話番号
さんさんファーム(焼肉店) 0265−36−6608
清流苑 0265−36−2000
徳八(居酒屋) 0265−36−2387
美富久(割烹) 0265−36−2226
ポニー(喫茶) 0265−36−5125
大西楼(中華料理店) 0265−36−5713
大受(割烹) 0265−36−5123
信州サーモン丼 中信 安曇野周辺
■大王ワサビ農場さんの信州サーモン丼。ほどよい脂がのっていて、わさびの漬け物ほろっこ漬けや葉が使われています。さすがワサビ農場という味でした。
「海に接していない長野県にサーモン?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、安曇野市にある長野県水産試験場が10年かけて開発した魚が「信州サーモン」です。ニジマスのメスとブラウントラウトのオスを交配させたもので、両方のおいしいところがつまっています。銀色の体がサーモンに似ているため名づけられ、肉厚な身で適度に脂がのっていて、とろける舌触りが特徴。この「信州サーモン」が、安曇野市のご当地丼として食べられます。丼の中身や味付けは提供する店によってそれぞれ違いますが下記以外にも取扱い店舗がありますので、商工会の安曇野グルメサイトをご覧ください。
店名 電話番号
大王わさび農場レストラン 0263−82−2118
ふくらい家笑福 0263−82−2168
須砂渡食堂 0263−73−2287
食事処 美里 0263−72−6952
ほりがね物産センター 0263−73−7002
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