御柱(接近撮影)
2010年寅の年、5月10日月曜日、7年目に一度の大祭である諏訪大社御柱祭の一連の行事が、終了。4月の上社・山出しから計12日間の人出は、約192万5000人と過去最高でした。しかし、まことに残念でありますが、8日の下社建御柱(たておんばしら)において、神事中の事故により2名の氏子の尊い命が失われてしまいました。ご冥福をお祈りいたします。今回当ブログマガジンでは、5月2日から4日に催された諏訪大社御柱祭の上社里曳(さとび)きの様子をお伝えいたします。
まだ肌寒かった4月の山出しと違い、花や新緑まぶしい光あふれる5月の里曳きは、信州でもっとも過ごしやすい季節のひとつとかさなります。荒々しさの残る山出しとは違い、騎馬行列や長持ちなど、華やかな賑わいの里曳き、街道は多くの観衆で埋め尽くされ、今が諏訪一番の賑わいの時−−。
ちょうど1カ月前、茅野市安国寺の御柱屋敷に氏子たちにより曳行(えいこう)された御柱は、この里曳きで前宮まで約1キロ、本宮まで約2キロの街道沿いをさらに曳行された後、いよいよ神となるべく建御柱を迎えます。
取材した上社里曳きの2日目は、8本の柱のうち4本が本宮境内に曳行、4本が前宮で建御柱を迎えていました。
騎馬行列 本宮望む
本宮二之御柱パフォーマンス
肌に伝わるほどの熱気に包まれて
本当に人、人、人。本宮から前宮に向かう途中、街道をすすむ御柱の熱気が肌に伝わってきます。ちょうど本宮一之柱と二之柱の間まで来たところ、二之柱の氏子が一之柱の後ろに大勢押しかけ、早く進めと囃し立てます。こんな駆け引きも楽しみのひとつなのでしょう。
本宮から20分程歩き建御柱が行われる前宮に到着。本殿は街道から急坂を登ったはるか上にあり、よく曳き上げたものだと感心します。「おしくらまんじゅう」をするように額に降り注ぐ暑い日ざしと人の体熱を感じながら、建御柱が行われる柱のひとつを見守ります。
前宮一 建御柱
冠落(かんむりおと)し(柱の先端を三角錐状に切り落とし、御神木としての威儀を正す)の儀式を行った後、安全に御柱を建てるため、ワイヤーやロープを御柱にくくりつけます。
ヨイサッヨイサッの掛け声とともに
柱の先端に大御幣を持った氏子と御幣(おんべ)を持った大勢の氏子が御柱に乗り、木遣り・ラッパ隊・「ヨイサッ ヨイサッ」の掛け声とともに、ワイヤーを巻きつける車地を氏子たちが回転させ、ゆっくり時間をかけ立ち上げていきました。
1時間半ほどかけてようやく御柱が直立し、建御柱の神事が終了しました。奥山の大木が里にくだりて、ついに神となった瞬間であります。
前宮一 建御柱(直立)
次回は2016年、申年
5月2日から4日が上社、8日から月曜日10日までが下社と、足かけ2週にわたって行われた諏訪御柱祭で、合計16本の柱が神となりました。まさに諏訪地域の人びとの団結力を示した祭です。残念な事故もありましたけれど、驚きと感動もたくさんありました。次回開催は2016年、申年です。
神が普通の大木になるとき
ところでみなさん。この7年もの間、建立されていた前回の御柱がどうなったか気になりませんか? やはり気になりますよね。ということで見てきました。実は、上社の平成16年(申年)御柱8本は、先月17・18日「御柱休め」という行事が行われ、うち本宮に建立されていた4本が、歩いて15分ほどの「八立(龍)神社(諏訪市大字中洲字八龍3203)」に曳行されています。6月20日に神事が行われ、神から普通の大木になるのだそうです。今も静かに威厳を保つ古御柱を見ることができます。
八立神社(前回本宮御柱4本)
諏訪の御柱祭はこれで終わりではありません
そうそう諏訪の御柱祭はまだ終わったわけじゃありません。秋にかけて各地の集落で行われる祭において、工夫を凝らした小宮御柱祭が行われます。より一層安全管理の徹底がはかられるとともに御柱祭が成功することを願っています。
上社里曳き曳行路地図