7年前の平成16年に立てられた本宮一之御柱
信州人の大半が待ち望んでいる7年に1度の天下の奇祭、諏訪御柱祭が来月2日からはじまります。カウントダウンはとっくにはじまってます。信州・諏訪大社では寅と申の年に宝殿を新築し、社殿の四隅にあるモミの大木の建て替えを行うのです。今年は寅年、イヤー・オブ・ザ・タイガーです!
諏訪大社 上社本殿
祭りの正式名は「式年造営御柱大祭」といい、諏訪市に上社本宮、茅野市に上社前宮、下諏訪町に下社春宮と下社秋宮があります。
祭神は、天つ神で出雲を拠点とした大国主と、高志(コシ)の沼河比売(奴奈川姫)の間の子という言い伝えがあり、古事記の国譲りの場面にも登場し、結局は国を追われた建御名方神(たけみなかたのかみ)と、その妃(きさき)となった八坂刀売神(やさかとめのかみ)を祀り、かつては東国第一の軍神として建御名方神は戦国武将の崇敬を集め、今でも農耕神としてあるいは狩猟神として広く信仰の対象となっています。
諏訪地方ではこの上社・下社の御柱祭のほか、この春から秋にかけて、小宮の御柱祭と呼ばれるお祭りが各地で行われます。なにしろ「御柱定期積金」という金融商品もあるぐらいに、御柱祭にかける諏訪人にとっては、今年は貴重な一年となります。
柱の準備もすでに大詰め
御柱祭に使用される木は、モミの巨木です。下社用の柱はすでに昨年5月に伐採され、出番を待ち望んでいるところですが、上社用の御柱用材は先週11日(木)に北佐久郡立科町の山林で伐採されました。
一番太い柱の周囲が3.36メートル、10トンを超えるという柱があわせて8本切り出され、茅野市と原村の境にある綱置場(御柱を置く場所のこと)へ運ばれ、御柱祭の出番を静かに待ちます。
先日おこなわれた本宮二之柱伐採式
前宮一之御柱用 元綱 大きな蛇のように見えます
準備は既に大詰めを迎えています。「綱打ち」(御柱を曳くための太い綱の作成)や「針孔梃子(メドテコ)」(上社御柱の前後にV字型に取り付けた柱のこと。氏子がメドテコに乗り、左右に揺れる姿は大変勇壮で絢爛)が作られています。さらに月末にかけては、「木造り」と呼ばれる作業が入り、メドテコをつける穴を開けたり、柱を曳く綱をつける「わなぐり」を作成したりと、平日休日問わずに準備が進んでいます。
今月末までの御幣(おんべ)作り
この太い柱を曳行(えいこう)していくのにかかせないものが、「木遣(きや)り」です。
「やぁぁ〜 やまのぉ〜 かみさまぁ〜 おね〜がぁ〜いだぁ〜」
などと各場面応じて唄われる木遣りをきっかけにして、御柱は曳かれて行きます。
伐採式における木遣り。白い御幣が眼に焼きつく
そしてこの木遣りにかかせないのが「御幣(おんべ)」。諏訪地方では、今月末までこの「おんべ」が作られています。下諏訪町の小林さんのお宅でも、用材を鉋(カンナ)で均等幅にうす〜く削り、およそ2〜3時間かけ作っています。時間が経過しても色変わりのしにくいヒノキやトウヒ材を主に使用し、小さいもので50枚、大きいもので300枚を束ねて作製します。
作製中の御幣(おんべ)。鉋(かんな)で削る様は職人の勘と腕
木落しはここでおこなわれる
数多くある御柱祭の見どころですが、今回は4月の山出しの佳境の一つ、上社「木落(おと)とし」が行われる現場を写真でご覧いただきます。昨年12月に「木落し公園」として整備された場所であり、坂の長さ32m、平均斜度が約26度という場所です。
木落し坂の頂上から下を眺める。かなりの坂
高所恐怖症な記者にはちょっとビビリそうな坂ですが、祭りの際に勇壮に下っていく様を想像すると、胸も躍ります。周辺では桟敷席の建設が急ピッチで進められていました。ちなみに下社の木落し坂は、距離100mにもおよぶまさに命がけのお祭りです。
上社の木落しは、JR中央東線のすぐ近くのため、3日と4日の10時〜13時頃、運がよければ電車からもご覧になれますよ!!
当日は、御柱を見るのも人の波を越えていかなくてはいけないくらい、大勢の氏子や観光客で賑わいます。柱にもよりますが、「手綱」をもらって御柱を曳くこともできるので、御柱気分を堪能できます。
この春はぜひ信州諏訪御柱祭へお出かけください。
御柱祭主要日程
上社
山出し:4月2日(金)、3日(土)、4日(日)
・流れとみどころ、予定、地図、アクセス法
里曳き:5月2日(日)、3日(月・祝)、4日(火・祝)
・流れとみどころ、曳行地図、曳行予定時間、アクセス法
下社
山出し:4月9日(金)、10日(土)、11日(日)
・流れとみどころ、予定、地図、アクセス法
里曳き:5月8日(土)、9日(日)、11日(月)
・流れとみどころ、曳行地図、曳行予定時間、アクセス法
・信州諏訪御柱祭公式ホームページ:諏訪地方観光連盟
・JAタウン(御柱祭記念限定りんごジュース)