JA塩尻市
「ナイアガラ」
生産量日本一の塩尻市桔梗ヶ原
緑から黄色がかった果皮と芳醇な香り、糖度の高さが特徴のナイアガラは、塩尻を代表する農産物のひとつです。果皮が薄く輸送に弱い品種のため、生食用のナイアガラは生産地の近辺以外ではあまり流通していません。塩尻市桔梗ヶ原では、そのまま食べるのはもちろん、地元の醸造場で白ワインやジュースに加工されたものが食卓の定番アイテムになっているなど、地域に根付いているぶどうです。
8月中旬、塩尻市桔梗ヶ原を訪れました。一面に広がるぶどう畑のなかに、観光農園やワイナリーが立ち並び、まさにぶどう一色の世界です。ぶどうの栽培に携わり50年の百瀬明さんにお話をお聞きしました。
百瀬さんはちょうど作業場で出荷作業をしているところでした。作業場に一歩足を踏み入れると、なんともさわやかで甘やかな香りに満ちています。収穫の最盛期を迎える9月から10月にかけては、桔梗ヶ原一帯がこのナイアガラ特有の香りに包まれるそうです。
収穫したぶどうは作業場でパックに詰め、出荷する
自然のサイクルに寄り添った栽培
「ぶどうは照れば照るほど出来がよくなり、雨はそれほどに必要ありません。少なくともここの土地では乾けば乾くほどいい出来になるんです」と百瀬さん。連日続く猛暑は、塩尻のぶどうにとってはいい気候なんですね。
百瀬さんはハウス栽培を行なっていますが、ナイアガラは露地栽培がほとんどでハウス栽培は珍しいそうです。「ぶどうの大敵である病気も害虫もすべて雨で伝染します。雨よけ効果があるハウスだと病気も害虫も大発生しません。結果、自然に近い形で栽培できるんです」。
昨今は種なしぶどうに人気が集まっていますが、桔梗ヶ原ではナイアガラは種なしにするための処理をせずに自然のままに栽培するケースが多いとのことです。百瀬さんは、出た葉は落とさず、新梢の頭どめ(枝が伸びないよう梢の先端を落とす作業)もしないというように、より自然に近い栽培方法を心がけています。
ぶどう生産者の百瀬明さん
桔梗ヶ原の人はみんなナイアガラ好き!
水に乏しい農業に適さない土地とみなされ、手つかずの原野だったこの地の開拓が始まったのが明治2(1869)年。今年(2019年)は桔梗ヶ原開拓150周年で、ナイアガラは1890年頃から栽培されているそうです。水はけがよい土壌、晴天率の高いカラッとした気候、昼夜の寒暖差が大きい標高700mという環境は、ナイアガラをはじめとするぶどうの栽培にはうってつけだったのです。
「ここ出身の人はやっぱりみんなナイアガラが好きだよね。種なし栽培ができない品種だということもあり、ぶどうらしい、ぶどうそのものの味なんです。今となっては他に類のない味ですね」(百瀬さん)
地域から愛され、地域の食卓を彩り続けてきたナイアガラ。収穫の最盛期は例年9月上旬から10月上旬です。採りたてのみずみずしいナイアガラは直売所などでお求めいただけますので、ぜひ現地で味わってみてください。
ナイアガラのおいしい食べ方
ナイアガラは噛むと酸っぱいので、独特の食べ方があるんです。ポイントは「果皮は食べない。でも果皮のまわりの果汁はチュッと吸う」「実は噛まずに飲み込む」「そのとき種も一緒に飲み込む」。ぶどうの種は食べてもまったく害はないので安心してくださいね。
ナイアガラがお手元に届きましたら、なるべく早くお召しあがりください。食べきれない場合は新聞紙でくるむか、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存してください。
■ナイアガラが買える場所
JA塩尻市「新鮮市場ききょう」
長野県塩尻市広丘郷原1350-1
TEL 0263-52-1965
営業時間 8:30~18:00