JA長野八ヶ岳
「高原野菜の詰め合わせ」
収穫は夜明け前から
JA長野八ヶ岳管内の南佐久郡川上村。日本一の長さを誇る信濃川(長野県内では千曲川と呼ぶ)の源流の村です。役場近くの大深山地区、天狗山の麓が小池貴大さんのレタス畑です。
標高1,300m、訪ねたのは猛暑真っ盛りの8月初めでしたが、夜明け前の気温は15度足らずで長袖でも肌寒いほどです。猛暑日が続く真夏でも、シャキシャキのレタスを届ける高原野菜の産地は文字通り別天地でした。
鮮度を保ったまま出荷できるように、この時期、農家は深夜1時、2時から収穫を始めます。晴れていれば降るような星空の下、投光機やヘッドライトをつけながらの作業です。
鮮度を保つヒミツがいっぱい
高原野菜の産地に行かれたことがある方は、広大な畑で大型機械が働く光景が記憶にあると思いますが、実際は人手に頼る部分がたくさんあります。
レタスの収穫はそのひとつです。レタスは種から育てた苗を畑へ植えてから40日前後で収穫を迎えます。白いマルチシートで覆われた畝に沿って25cm間隔。整然と育ったレタスを1株ずつ丁寧に刈り取ります。
切り取ったレタスは逆さまにしてすぐに切り口を水で洗う
刈り取ったレタスは広がった外側の葉を取り、切り口を上にして並べ、すぐに水を吹き付け、切り口を洗います。切り口から出てくる白い液体を放置すると、酸化して赤茶色に変色し見栄えが悪くなるため、洗い流すのです。店頭でも見覚えがあるでしょう。切り口の色は鮮度の目安でもあります。
こうして収穫したレタスはすぐに箱詰め。出荷先によってはコンテナに詰めます。積み上がった箱は底などに付いた土を丁寧に拭ってトラクターの後ろに付けた運搬用バケットへ。いつの間にか夜が明け、午前6時過ぎ、前日に申告しておいた出荷量に達したところで作業終了。近くの大深山集荷場に運びます。
箱もしっかり拭いて運搬用バケットへ
直ちに冷やして全国の皆さんにお届け
集荷場では降ろした荷をJAの検査員が素早くチェックし、鮮度を保つため予冷庫で直ちに冷やします。冷却槽に入れて空気を抜き、減圧(真空化)すると沸点が下がることを利用して、水分の多いレタスを急冷する「真空予冷」です。20分ほどで5度まで冷やします。
冷やしたレタスは冷蔵設備を供えたトラックに乗って消費地へ。この日は「筑豊」「長崎」といった九州方面のナンバーが並んでいました。
盛夏を中心に5月中下旬から10月初旬まで続くレタスの出荷作業。毎日、切らさず出荷できるように、農家はシーズンの間、中2日(場合によっては1日)空けて、苗の定植作業を繰り返します。
「いいものを届けたい」。日が高くなった集荷場の事務室、JA長野八ヶ岳川上支所野菜専門委員会副委員長で大深山蔬菜出荷組合の小池明宏組合長が一言。
適期に収穫された新鮮なレタスは、姿、形ともきれいで、日持ちもいいそうです。残暑で疲れ気味の体に、シャキシャキ、パリパリ、みずみずしいレタスで活力を与えてください。