新・信州暦 山の神さまが里に降りてくる頃

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春の便りが届いています。県の南部に位置する飯田市の中心部、通称「大宮通り」では、3月の31日にソメイヨシノが開花し、南信州広域連合委嘱の気象アドバイザーが開花宣言をしました。大宮通りでは、今週末の6日に「桜まつり」が予定されています。今後、ゆっくりゆっくりと桜前線が北上することでしょう。

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諏訪市豊田有賀のザゼンソウの里公園でザゼンソウやミズバショウが、塩尻市金井のみどり湖畔でもミズバショウが、次々と開いています。すぐそこまで本格的な春の季節がきていますが、これでなかなか油断はできません。一昨日月曜日、そして昨日と、続けて中部、北部や山沿いを中心に「雪」が降りました。

昨日の朝は長野市内でも雪が数センチ積もりました(写真)。天気の変化が激しくなる4月。春というと、おだやかな天気を想像するかもしれませんが、現実はそうではありません。冬と夏がせめぎ合うために、天気の変化が激しく、今日は晴れて暖かな良い天気でも、明日は一変して天気が崩れて冷たい雨や雪が降り、冬を思わせる寒さに襲われたりします。よく晴れて月のきれいに見える翌朝には霜もおります。

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また大気の入れ替わりが激しくて風が吹いたりもします。「風が吹くと桶屋が儲かる」といわれてきましたが、最近ではドラッグストアも儲かるようで、花粉症などのコーナーが中央にせり出して目をひきます。砂ほこりや、大陸からくる黄沙が降る日もあったり、スギ花粉やヒノキ花粉が飛散し、それが人々のどや鼻の粘膜について一種の炎症を起こして、ひどくなると湿疹や発熱を起こす人もいます。低気圧や前線の通過する日が多くなるので、生活のリズムも狂いがち。実は厳しいこの季節は1年でいちばん身体をいたわらないといけません。

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各地の農家もそうした春の気候の変わりを肌で感じながら、寒くなりすぎることを心配しています。稲作農家は、立派な稲が育つように田んぼをおこし、あぜを作っています。また、稲の「芽だし」作業もはじまっています。リンゴやブドウ農家は、剪定(せんてい)を一通りすませ、枝の整理などちゃくちゃくと準備を進めています。

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なおこの季節「春スキー」も信州の魅力のひとつですね。志賀高原や白馬村の八方尾根スキー場やHakuba47、五竜スキー場では、まだまだ雪が多く、スキーが存分に楽しめます。スキーをして、温泉に入って、帰りがてらに、お花見をするなどというのもいけてます。NAGANO SNOW LOVE.NETをチェックしてみてください。

*巻頭のカバー写真を入れ替えました。長野市松代にて先週末撮影。大地から次々を顔を出しているふきのとう。待ちわびた春。

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hinamatsuri.jpg春の訪れの遅い長野県では今ごろ月遅れのひな祭りをしているところが多くあります。新暦の3月上旬では、桃の節句の季節感がまったくともなわないので、わざわざ1ヶ月遅らせているのです。正確には今年は4月8日が旧暦の3月3日にあたります。この月遅れの桃の節句が過ぎれば、山国の春もいよいよたけなわとなって、ツバメたちも南から帰ってきて、乾燥した田の畦にはタンポポ、ナズナなどが咲きほこり、信濃路があんずやナシや桜やコブシの花などさまざまな春の花に覆われる季節がやってきます。

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4日(金曜日)は二十四節気のひとつ「清明(せいめい)」、旧暦の「三月節」です。暦便覧には「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれるなり」と記されています。「清浄明潔」を略して「清明」。「万物がすがすがしく明るく美しい」という意味です。中国で清明節には祖先の墓を参り、草むしりをして墓を掃除する日とされていて「掃墓節」とも呼ばれました。この清明節前に摘んだ茶葉を「明前茶」、清明からつぎの穀雨までの茶葉を「雨前茶」、穀雨以後の茶葉を「雨後茶」というのだそうで、古来中国で緑茶はこの清明節に近い時期に摘むほど、香りと甘みがあり、高級とされているとインターネット百科事典には書かれていました。

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6日は新月。明けて7日は国連が定めた「世界健康デー」。今年のWHO(世界保健機関)のこの日のテーマを「気候変動から健康を守る」にしています。

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8日は桃の節句であると同時に、お釈迦(しゃか)さまの誕生日を祝う花祭りの日でもありますし、古来から「卯月八日」は山の神さまが田の神(信州では「作神[さくがみ]」と呼ぶ)として里に降りて来る日であり、人々は山に咲く花を竹竿の先に付けて山から下りてくる神を迎えたとされます。山の神はそのまま里にしばし留まって、農家の人たちの農作業を見守り、収穫の季節がすぎるとまた山に帰るのです。

indexarrow.gif 長野県の春の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより

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