昼間は暑さがぶりかえしていますが、夜になると涼しく、秋の気配も感じるようになりました。昼はセミ、夜は虫の声がします。夏の間、訪れる人々で賑やかだった観光地は、秋の観光シーズンまでしばし静かな時間を取り戻します。高原では朝、草木に露がつくようになりました。
9月の上旬は果樹のピークシーズン。モモ、ナシ、リンゴ、ブドウ、プルーンなどが出荷され、共選所はどこも大忙しです。県内各地の直売所にも、ところ狭しと地元の果物が並べられています。
田んぼでは、稲穂は実が充実して垂れてきています。暑かったり、涼しかったりするために、農家も最後の水管理に気を遣うところです。夏の間、うんざりするような成長をしていた雑草も、この頃からピタっと勢いがなくなり、農家の草刈りの頻度も少なくなります。
9月は台風と長雨のシーズン。二百十日を過ぎて二百二十日に向かうこの週、昔は人びとは風祭りを行って無事平穏に過ごせることを祈ったものですが、はたせるかな現在太平洋上には台風9号(フィートゥ)があって、日本列島の中央部が予想進路に入っています。まごころこめた見事な果実が風のために落果して無惨な姿をさらすのを見るほど痛ましいことはありません。時代は変わっても、農家は農産物に影響がないことを祈るのみです。
●8日は二十四節気のひとつ「白露」。暦便覧には「陰気ようやく重なりて露にごりて白色となれば也」とあります。北から南に渡ってくる雁のような鳥があれば、ツバメのように去っていく鳥もあり、その他の群れ集う鳥たちは、せわしなく食物を蓄えて冬の養にそなえるころです。高原ではススキの穂が目立ち、明るい色のコスモスが風にそよぐようになり、秋のおもむきがひとしお色濃くなります。夜間には幾分肌寒さを感じさせる冷風が混ざるようになります。この週末、野沢温泉では湯沢神社例祭「燈籠祭り」がおこなわれ、赤天狗の面をつけた猿田彦が先導する燈籠行列が湯沢神社に向かいます。佐久高原コスモスまつりもこの日に開催され、コスモス街道(R254号線)の両側に咲き乱れる色とりどりのコスモスが楽しめます。9日は重陽の節句(菊の節句)で、古来より中国では陽に陽が重なるこの日を極めでめでたい日として祝日にしてきました。
そして9月11日。立春から数えて220日目で、いわゆる二百二十日。野を分ける強い風の吹く日として古来恐れられた日です。そしてあの「911」の日でもあります。ニューヨークの世界貿易センタービルがハイジャックされた旅客機によって奇襲されて崩壊し、全世界が震えあがって、見えない敵との戦争に突入した日であり、平和について深く思いを馳せる祈りの日でもあります。おりしもその日は新月。2007年がはじまってから254日目で、今年の残りがちょうど111日になります。
長野県の秋の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより