2012年は、国連が定めた「国際協同組合年」です。
協同組合というと自分の生活に関係ないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、たとえば生協や農協、漁協などが協同組合の組織として挙げられます。
いったい「協同」とはなんでしょうか?
協同組合の活動にはどのような目的があるのでしょうか?
一緒に考えさせていただければと思います。
協同組合とは?
協同組合は19世紀にヨーロッパで始まり世界各地に広がりました。人々が自主的に結びついた自立の団体で、その団体の事業を通じて、人々の必要とするものや、強い願いを充たすことを目的とし、共通の願いに向かって活動や事業を行うことで、共通の願いをかなえることを目的としています。
農協や漁協でいえば、農畜産物を作りたい、水産物を売りたいという願いのもとに人が集まったということでしょうし、生協でいえば安全なものを食べたい、便利なものを安く買いたいといった願いで集まっているのが協同組合です。
個人の利益のみを追求する団体ではなく、民主的な運営や管理を行なう営利を目的としない組織であり、「正直」「公開」「社会的責任」「他人への配慮」を信条としていることからも、「協同組合とは人と人とのつながり」と、言えるのではないでしょうか?
東日本大震災で生かされた「結(ゆい)」の文化
東日本大震災では多くの方が犠牲になり、家などの建物を失ってしまった方や、近隣縁者の方と離ればなれになってしまった方もたくさんいらっしゃいました。そんななか、悲惨な状況においても暴動などが起きず、弱者を助ける日本人の姿が世界に感動を与えたともいわれています。
そして今「絆」が見直されています。たくさんの人が集まると、大きな力となるのです。
日本には昔から「結(ゆい)」の文化がありました。農作業においては、集落でまとまって田植えをしたり稲刈りをしていたそうですし、集落の中で採れた農産物を交換しながら情報交換をしたということもあったそうです。
協同組合では、支援として募金や物資の提供はもちろんですが、人手を必要とする復旧・復興作業へのボランティア活動も活発に行っています。こうしたことは目立たないことかもしれませんが、「協同の力」が発揮された事例ではないでしょうか。そういったお互いに助け合う精神が、協同組合の根本になっているのかもしれませんね。
国際協同組合年とは?
2009年12月18日の国連総会で、2012年を「国際協同組合年」とすることが決定されました。 それを受けて全国各地で「2012国際協同組合年実行委員会」が発足し、長野県でも2011年7月に実行委員会を発足させています。この「国際協同組合年」とは一体どんなものなのでしょうか? 国連では、各国政府や協同組合組織等に対し、「この国際年を契機として協同組合を推進し、社会経済開発に対する協同組合の貢献について、国民の共感と支持を広げる取り組みを行うこと」としています。地方や地域の活性化、食料自給率の向上や食の安全、環境保全や福祉の向上などの今日的な大きな課題に対して、協同組合が役割を発揮して社会に貢献すること、そうした協同組合運動をさらに発展・拡大させることが、国際的な見地からも期待されているといえます。資本主義で投資家などが利益を追求するといったことを否定するわけではありませんが、金融危機などの経済状況、デモやクーデターの頻発などの社会状況をみると、資本主義社会における格差の広がりが、その要因なのかもしれません。そして、ひとつの解決策として協同組合への期待が高まっているのかもしれません。
身近な協同組合に参加してみよう
経済、地域の活性化、食、福祉、環境など、意外と知られていないけれども、わたしたちの生活に密接に関係している「協同組合」。来年の国際協同組合年をきっかけに、もっと身近に感じていただければと思います。農協は農業、漁協は水産業、生協は生活など目的の分野は違いますが、よりよい豊かな社会を目指していることでは、それぞれの協同組合の考え方は一致しています。裕福だけではない、お互いに助け合える、そんな社会になればと思います。2012年の国際協同組合年をきっかけに、身近にある協同組合の活動にぜひ参加してみてください。
リンク
・2012国際協同組合年長野県実行委員会ホームページ
・2012国際協同組合年実行委員会ホームページ