9月がやってきましたね。今日は二百十日です。立春から数えて210日目。強い風の吹く日、嵐の来る日、さしずめ現代なら台風の襲来する日として昔から恐れられてきました。実際にこの日に台風が来たことはほとんどないのですが、用心することを伝えるために今に残っているのでしょう。今日現在日本列島の南方には台風が3つありまして、そのうちのひとつが本州をおおっている高気圧の縁を辿り朝鮮半島から日本海を抜けて北日本を狙おうとしています。
信州の田んぼでは稲穂が日に日に頭を垂れるようになり、たくさんの赤とんぼが飛ぶ姿も見られるようになりました。果樹園では袋に大切に包まれた果実の房が、いまかいまかと収穫されるときを待っています。むくむくと巨大化する入道雲は日によって時折姿を現して、雷と共に山沿いにシャワーのような雨を降らせたり、夕方の空を真夏に見られなかった様々な形の雲が赤く染められて流れていきます。
しかしまだまだ暑い日が続いてます。今年は各地で「猛暑酷暑」と叫ばれましたが、8月の信州も約8割が観測史上最高気温を記録したと長野地方気象台は発表しています。観測データによると、22地点が統計開始以来の最高値を0.1〜1.4℃上回っているそうです。今年は本当に暑い夏でした。また、今夏は局地的な雨と雷の多い年にもなりました。編集部のあります長野市では昨日(31日)の午後15時すぎごろに激しい夕立もありました。雨は一時間ほどでやみましたが、一時は強い風と激しい雨で辺りが真っ白になるほどでした。長野地方気象台によると、6月〜8月ですでに白樺湖、大町、上田、北相木、立科の5観測点で1時間降水量の最大値を記録したといいます。自然が変化してきているのかもしれません。
暑さはまだ続いていますが、それでも日中に木陰に入れば、秋の風を感じ、朝夕は冷房の効いた場所にいるとジャケットが必要になるほどです。まさに季節の変わり目である9月。ぜひ体調を崩さないよう、体温調節には気をつけてください。安曇野風雲農事録の岩垂さんが数日前にTwitterでつぶやいていました。「今日はつがる収穫のピークになりそうだ。暑いなんて言ってられない。急げ急げ!」と。暑さをものともせず、いよいよ収穫月の到来でりんご農家の忙しさもはじまっています。
さて、涼しくなれば外出の楽しみも増えます。自然散策に積極的に出かけたくなる季節です。「山ガール」という言葉を耳にする機会も増えました。最近急増しているアウトドアブランドやアウトドア系アイテムを多用したファッションの女性のことを指すそうですが、これからの季節、信州の山々にそうした「山ガール」たちが多く登場するかもしれません。標高2300メートルの北アルプス涸沢一帯で8月29日までの3日間行われました「涸沢フェスティバル」での参加者は、特に女性の姿が目立っており、「山ガール」の姿も見られたということです。ただ体を動かすだけでなく、豊かな自然にふれあい、おしゃれもしつつ、汗をかきたいという心理なのでしょうか。この秋も、信州に多くの方が訪れてくださることを願います。
そして、実りの秋! JAからの話題をお届けします。明日9月2日(木)から、JA全農長野が主催する「第42回信州フラワーショーサマーセレクション」が長野市のJAアクティーホールで開催されます。こちらは切花の品質や栽培技術を競うイベントですが、来場者のみなさまに信州の花をPRすることも目的のひとつ。会場でお目見えした花々については購入することも可能です。展示花については予約販売、また当日即売できる花束もあります。機会がありましたらご来場いただき、色々な美しい花に癒されてみてください。また長野県須坂市にありますJA須高、南信に位置するJAみなみ信州やJA上伊那をはじめとする各地のJAでは、梨の出荷がはじまっています。JA須高では10月まで関東や中京、関西市場に出荷されます。日本梨は9月から、西洋梨は10月からですので、旬をお見逃しなく。秋の果実で忘れてはならないブドウについても、今週の特集記事でお伝えしておりますので、ぜひご覧ください。
田んぼのお米もすくすくと育っています。ふくらみ始めたお米を狙った鳥たちから稲穂を守ろうと、「かかし」をこの時期の信州ではあちらこちらで見かけます。先週号でも紹介しましたが、かかしには色々な種類があります。長野県池田町の堀之内地区では「リアルかかし」が話題になっています。人間と間違えるほど人間そっくりな出来栄えで、ポーズも様々だとか。観光客もやってくるほどひそかな注目を浴びているようです。きちんと本来の役目も果たしているようで、スズメも来なくなったと言われています。農業の後継者づくりを目的としたイベントを開催するJAもあります。JA上伊那で「シニアあぐりスクール」が開講。ハクサイ、キャベツ、ブロッコリーの種まきからはじめ、即戦力を養うため、このイベントでは実践を多く取り入れているようです。収穫の秋に向けて、農家は大忙しとなります。そんな農家を助けようという取り組みも。以前当ブログでもご紹介しましたJA北信州みゆき管内で行われている「援農ボランティア」では先日、ジュース用のトマトの収穫が行われたそうです。首都圏から集まった15名のボランティアと信州の農家は気持ちのよい汗を共に流したことでしょう。
*巻頭のカバー写真を入れ替えました。北信濃の飯綱町にあるワイン用ブドウの畑です。もうじき収穫ですね。日中はまだまだ暑い県内ですが朝の風はひんやりとしてきて、秋への移り変わりを感じることができます。ブドウの実も葉も良い色に色付きが進み、好天に恵まれた今年は、ワインの出来も楽しみです。
●今日1日はかつて関東大震災が起こった日です。1923(大正12)年9月1日午前11時58分に関東地方を震源の中心にした大きな地震が発生。マグニチュード7.9。家屋の全半壊25万戸以上、焼失家屋44万戸以上、津波による流失家屋868戸、死傷者20万人以上、行方不明者4万人以上という大きな被害を残しました。ちょうど昼食準備の時間帯で、そのために各所で火災が発生し、被害が拡大したとされています。長野県では地震の被害はほとんどありませんでした。それまで県内各地にあった生糸工場では働く女子工員らの食事を賄うため、工場が自前でみそ造りを盛んに行っていて、この味噌が、関東大震災の被災者に送り届けられ、結果として「信州味噌」の味が広く知られるきっかけとなったといわれています。月齢22日。
2日は、月齢23日、下弦の月。月の満ち欠けで言うところの「有明の月」にあたります。古代ギリシアのアテネで、毎年、アリアドネとディォニサスのふたりの神を讃えるブドウ酒祭りが行われた日です。花火好きにはたまらない諏訪湖のサマーナイトファイアーフェスは3日まで、4日の第28回全国新作花火競技大会で、約1万7000発が夜空を焦がして信州の夏は終わります。来週の8日が新月。二十四節気のひとつ「白露(はくろ)」です。暦便覧という江戸の暦の解説書には「陰気ようやく重なりて露にごりて白色となれば也」と記されています。8日から秋分(23日)までの期間が「白露」とされています。薄の穂が顔を出し、秋の趣がひとしお感じられるようになります。朝夕の心地よい涼風に、肌寒さを感じさせる冷風も混じりはじめまるでしょう。今月末の秋分の日、23日には収穫月のフルムーンとなります。
8日と9日は北信州の野沢温泉村(下高井郡)の湯澤神社でとうろう祭。江戸時代から続く伝統的な祭りで、村に伝わる伝統芸能が披露されます。天狗の面を付けた猿田彦、獅子舞、三十六歌仙の神楽が各所で舞われ、各種の燈篭がロウソクの火を灯しながら燈篭行列が長く続きます。
9月は英語では「セプテンバー」と言いますが、「セプテンバー」とはほんとうは「7番目の月」のことです。ローマの時代には7月のことでした。今の英語では7月を July、8月を Augusut といいますが、これはジュリアス・シーザーと初代ローマ皇帝アウグストゥスが、自分の名前を月の名前 (Julius、July / Augustus、August)にしたからだといわれています。6月と7月の間に2人が自分の名前のついた月を勝手に押し込んだからと思う人が多いのですが、実際は違います。1年が十ヶ月しかない太陰暦を使っていたローマの暦では、農作業のできない寒期の60日間は暦そのものがなかったのです。そして毎年最初の月は3月でした。シーザーとアウグストゥスは5番目と6番目の月の名前を自分の名前に変えただけで、むりやりふた月が押し込まれたわけではないのです。セプテンバーは最初から7番目の月だったのです。つまりローマ帝国でも3月が新年だったのですね。
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