新信州暦 農家は菜のまきつけにいそがしく

autumn.jpg一昨日は二十四節気のひとつ「白露(はくろ)」でした。白露の前後には、信州の農家は秋の農作業にとりかかっています。秋の空の下、白菜や大根や野沢菜やカブなど漬物の菜のまきつけなどが本格化するからです。ここ数日、日中は陽射しが強く暑くなるものの、朝晩の涼しさはすっかり秋のものです。日が暮れればそこかしこで「リーン、リーン」と鈴虫たちの合唱が聞こえます。「秋の日はつるべ落とし」という言葉がありますが、日が暮れるのもずいぶんと早くなりました。ほんの1カ月前まで7時を過ぎても明るかったのですが、今では5時半を過ぎると夜のとばりが降りはじめています。昼夜の温度差が激しいので、体調管理に十分気をつけないといけないのもこの頃です。

hanabi.jpg諏訪市の諏訪湖では、先週土曜日に夏をしめくくる「第27回全国新作花火競技大会」が開かれました。全国の若手花火師たちが腕を競い13万7千発が打ち上げられ、なんと30万人もの人びとが集まったとか。長野市の松代町では、真田家の家紋を模した「六文銭食べ歩きチケット」が発売されました。この六文銭シールと引き換えに格安でお土産が手に入るという企画で、戦国ブームも相まって観光客に人気です。お客さんとお店の会話のきっかけにもなっているようで、交流に一役買っています。

sinanonokuni_jacket.jpg信州に縁のある人たちの心をひとつにつなぐパワーを持っているのが県の歌である「信濃の国」です。このたび社団法人信濃教育会出版部が『音と映像でつづる長野県歌 信濃の国』の一般発売を開始しました。昨年、県歌制定40周年を記念して、NHK長野ビデオクラブが制作し、今年初めに県内の小・中学校などに配布しましたが、一般からの問いあわせがあまりに多かったことから、今回信濃教育会出版部より販売することになったものです。DVDには信濃の国の歌とともに県内の自然風景が35分間分収録されており、CDとの2枚組みでお値段は1260円。問い合わせは株式会社しんきょうネット[026−233−1135]へどうぞ。

huna.JPG県東部のJA佐久浅間では、秋の味覚である小鮒(コブナ)の出荷がはじまりました。毎年この時期を楽しみにしている地元の人が多く、主に甘醤油でコトコトと骨まで柔らかく煮た甘露煮などに調理されます。

inekari.jpg中信地区の安曇野市では、早くも稲刈りがスタートしました。「きらりん」という極早生種で4月に田植えされたものです。同じ中信地区の松川村でも稲刈りがスタート。これからはあちこちから稲刈りのニュースが続々と届くことでしょう。

petit_kyohou.jpg果実では、各地から露地巨峰の出荷の報せが届いています。北信地区のJA須高では、青年部のメンバーが開発に取り組んだ「核家族でも食べやすい少量サイズでお手頃価格」の「ぷち巨峰」の販売を開始しました(写真)。今年は、県内と関西の市場に、約3500袋の出荷を予定しています。関西地方のみなさん、「ぷち巨峰」を見かけたらぜひお試しのうえ感想を聞かせてくださいね。また、JAちくまでは雹害にあったリンゴのつがるを「快福りんご」としてイベントで特別価格で販売。集まった人から「味が変わらなくて安いからびっくり」と好評で、たちどころに完売しました。

harvest.jpg秋本番が間近です。いつまでも夏の思い出にひたっていられません。いよいよこれから野菜や果実の本格的な収穫シーズンを迎え、県内の各JAでも収穫祭が盛んに行われるようになります。ハーベストシーズンの収穫祭については、今後情報が入るつどお知らせさせていただきますので、ぜひ駆けつけてください。

top-090909_small.jpg*巻頭のカバー写真を入れ替えました。先の日曜日のお昼すぎ、佐久市内山にある「初谷温泉」で見つけた、小さな秋を撮影しました。秋の気配を感じる風景は様々ですが、やはり木々の葉がゆっくりと赤く染まる様子は秋ならではのものです。9月になってすぐ、このような風景を見ることができるのは、山国信州で生きていることの醍醐味かもしれません。


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itscold.jpgだいぶ空気が冷たくなりました。これからは長野県で日中でも30度を超える日はもうないかもしれません。あと1カ月もすれば、信州では北のお山に初冠雪の報せが届き、10月末には長野市でも初霜があるでしょう。これからの1カ月は農家にとって非常にあわただしい時期になります。美しい秋が、冬を連れてくるからです。

heatup.jpg先々週のこの欄でエルニーニョの話をしましたが、エルニーニョを巡ってアメリカでは有名な農業雑誌と科学者のグループが論争をしています。「今年の冬は暖冬」という科学者の考えに対し、100年以上の歴史を持つ農業誌が「今年の冬の寒冷化はひどそうなので早めに薪などの用意を」と真っ向から反対意見を出したことがきっかけでした。地球は温暖化しているのか、氷河期に向かっているのかでも意見が分かれているようですが、今年の冬はいったいどんな冬になるのか、信州の農家の考えを今度は聞いてみたいと思います。

hotal.gif長野県には9月上旬まで県の天然記念物であるホタルの見れる場所があります。そのひとつ志賀高原石の湯のゲンジボタルは「発生地の標高が日本一」「成虫の発生期間が日本一」「幼虫の上陸期間も日本一」「成虫の寿命が長い」「明滅周期が長い」という特徴があります。普通は夏と共に早々ホタルの季節は終わるのですが、「川には岸辺から湧き出した温泉が入り込むため、水量を安定させると共に、幼虫のエサとなるカワニナを大量に発生させる」ので、標高の高い志賀高原のホタルは秋になるまで活動するのです。同じような理由でホタルが今の秋まで見れる場所がいくつか信州にはありますが、この夏に辰野町の「ほたる童謡公園」付近でホタル91匹を捕獲した東京の会社役員男性が、先日送検されたというニュースが報じられました。ホタルは生まれて育った自然環境以外では生きていけないということを、都会の人は覚えておかなくてはなりません。

stargazing.jpgマツムシソウが見ごろを過ぎた信州では、今コスモスの花が見ごろを迎えて、風に揺れています。そば畑のそばの花も、まもなく満開になるでしょう。リンドウの花も可憐に咲きはじめています。今日9日は重陽の節句、菊の節句です。明日10日の夜半、11日にかけて、月齢21日目の月の後ろにすばるという日本名で知られるプレアデス星団が隠れ、しばらくすると暗い月の縁からプレアデスの星たちがひとつまたひとつとあらわれてくるのが見れます。よく晴れていたら、双眼鏡かなにかを手に、暖かい服を着て、信州で星を見るのは、すてきなイベントになるかもしれません。11日は二百二十日。立春から数えて220日目で、農家にとっては暴風が吹くかもしれない厄日。二百十日の前後には台風11号が近づきましたし、現在は台風12号が日本列島をかすめて北東に遠ざかろうとしています。12日は下弦の月。

asparagus.jpg春を連れてくる野菜のひとつアスパラガス。今年もたくさん食べましたか? 先日「アスパラガスが二日酔いを軽減」というニュースが世界に流されました。「アスパラガス抽出物に含まれるアミノ酸とミネラルが二日酔いを軽減し、アルコールに含まれる毒素から肝臓を保護する」というのです。韓国、医科学研究所および済州大学校(Jeju National University)の研究グループが、ヒトおよびラットの肝細胞に対するアスパラガスの若茎(普通食べる部分)および葉(擬葉)の抽出物の作用を分析したもので、「有益なアミノ酸およびミネラルは、若茎よりも葉の方に高い濃度で含まれている」とありました。アスパラガスは若茎だけでなく、葉も食べるようになるのかもしれません。記事によれば「アスパラガスは世界の多くの国で食べられている野菜で、癌(がん)抑制、抗真菌、抗炎症および利尿などの作用があるとして長年利用されている。米ミシガンアスパラガス審議会(Michigan Asparagus Advisory Board)によると、葉酸、カリウム、繊維、ビタミンB6、ビタミンA、Cおよびチアミンも豊富に含まれている」ということです。つぎの春が来るまで覚えておきましょう。

indexarrow.gif 長野県の秋の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより

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