新信州暦 昔は今ごろから蚊帳をつりました

koyomi090624-3.jpg県内でもムシムシと暑い日が続いています。ただし、これまでのところ雨はあまり長時間降り続くことがないように感じます。午前中にザァザァ降りになり、「これは一日続くかな」と思うと、午後には一転してカンカン照りの日差しが降り注いだり。反対に朝から晴れていたかと思うといきなり午後になって滝のような雨になったり。晴れたかと思って畑に出ると地面からムワっと浮き上がってくる湿気に不快指数は急上昇。たまりません。農家は晴れた日は、早朝夜明け前から仕事をし、蒸し暑くなる昼にはさっさと仕事を終えてしまいます。でもこうした体にこたえるような不快感があるからこそ、梅雨明けの爽快さが際立つのかもしれません。

そんな梅雨のさなかにも夏の訪れを感じる報せが届きました。中信地区のJA松本ハイランドで、22日にハウススイカが初出荷されたのです。1550玉がJAのすいか共選所に持ち込まれました。初物を食べると75日長生きするとの言い伝えがあります。koyomi090624-2.jpgスイカは、7月上旬まで出荷が続き、そのままハウスものと切り替わるように路地ものの出荷もはじまります。露地ものの出荷のピークは7月下旬から8月中旬で、スイカの季節は9月まで続きます。ところでスイカですが、第二次世界大戦中は生産が統制されていたのをご存じですか? スイカの畑はほとんどがイモ畑にされていました。好きなだけすいかが食べれるというのは、ものすごく平和なことなのです。この夏も平和をたくさん味わってください。

koyomi090624-1.jpg上伊那郡辰野町ではホタルが育つための環境作りが年間を通しておこなわれています。ホタルの名所として名高い「ほたる童謡公園」では、28日まで幻想的なほたるの乱舞が楽しめる「辰野ほたる祭り」が開催中です。日によってほたるの出現数は異なりますが、辰野町のウェブサイトによると、夜8時から9時までのあいだに目視したデータでは、10日程前から急にホタルの数が1000から2000へと増えはじめ、ここ数日は5000から1万匹近い数のホタルが確認されていて、訪れる人の目と心を楽しませています。なおホタル鑑賞には、ホタル保護育成協力金(入園料)として、一人一回300円が必要です。ただし中学生以下は無料。

japansatellite.jpg21日の夏至の夜を前後して、CO2削減に向けた「ライトダウンキャンペーン」や「キャンドルナイト」が全国一斉に行われ、県内でも各地で取り組みが行われました。長野駅前も大型看板などのネオンサインが消されて、いつもと違う雰囲気となりました。その場にいた人たちは、それぞれが少しだけ地球について考えをめぐらせていたのかもしれません。こうした電気の使用量を自発的に減らそうというイベントはこれからもことあるごとに行われるようになるでしょう。つぎは低炭素社会に向かう道筋を確認するための「七夕ライトダウン」が7月7日に日本で一斉におこなわれます。明かりを少しのあいだ消すことで、家族の輪がより強くなり、ひとりひとりがなにかを見つけることができると良いですね。

kayanonaka.jpgそういえば、エコロジーの観点から最近ではまた蚊帳が見直されているというニュースを読みました。アルミサッシやエアコンが到来する以前の信州では、昔なら平坦地では6月になると蚊帳をつりました。もちろん高冷地では夏でも蚊帳をつる必要のないところもありましたけれど。なるほどエアコンも薬品も使わない防蚊手段としては蚊帳はいい道具ですが、最近の家は蚊帳が下げられるようになっているのでしょうかね。ニュースでは、ベッドを覆うような天蓋風な蚊帳がリッチな気分だとかで人気復活しているとのことです。

top_09206_small.jpg*巻頭のカバー写真を入れ替えました。先週、上田市国分(こくぶ)地区の農事組合法人「上田東生産組合」の田んぼで見つけたアイガモ君たち。この可愛らしいアイガモ君たちは雑草や害虫を食べ、排出物は稲の養分となります。また、彼らが泳ぎまわることで、稲の根を刺激して栄養分の吸収をよくしてくれるのです。環境にやさしい農法として注目されています。それにしても、アイガモ君たちには癒されます。


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nagano_natu_tokucyou_zu2-1.jpgはるか南の海上で熱帯低気圧が発生しています。台風になって北上してくる可能性があります。いずれにせよ梅雨前線が停滞しているところに熱帯低気圧が温かく湿った空気を抱えてやって来ると、問題がやっかいになります。長野気象台のサイトには、梅雨時期に長野県で大雨となる条件として

1.梅雨前線が長野県にかかっているか、すぐ近くに停滞している時。
2.その梅雨前線上に低気圧が発生し、西日本から接近してくる時。
3.梅雨前線が停滞し、南海上から台風や熱帯低気圧(台風に達しない低気圧)が北上してくる時。

nagano_natu_tokucyou_zu2-2.jpg以上3つの項目が挙げられています。そして「このような時の上層の風は、南〜西南西の風が吹いているので、特に南西向きの斜面(木曽谷や伊那谷)では、地形による上昇流で雨雲が非常に発達して雨量が多くなるという特徴があります」と記されています。本日24日は、過去にも長野県南部で昭和36年に死者行方不明136人の大きな被害をもたらした集中豪雨がありました。南信州では、午前中に薄日が差しても、夕方には土砂降りになることがあるから、梅雨の天気を油断してはならないという言い伝えもあるそうです。

shinano.jpg25日、明治25年のこの日、長野県民ならまず知らない人はいない歌「信濃の国」が、信濃教育界雑誌に発表されました。29日は上弦の月。またこの日は、直接長野県とは関係ないかもしれませんが、43年前にザ・ビートルズが日本に初めてやってきた日でもあります。1966年のことで、それ以後日本でもなにかが決定的に変わってしまった人が多くいました。

chinowa.gif30日は「夏越の祓」の日です。上田原町の市神社や諏訪大社下社の春宮の近くの浮島で、疫病よけの直径2mの茅の輪くぐりなどの行事が行われます。この春宮と万冶の石仏の中間に位置する小さな島は、いまだかつてどんな洪水にも流されたことがなく、諏訪大社下社の七不思議のひとつに数えられています。また同じ七不思議のひとつにはいっている、1カ月で穂をつけるというスーパー稲の神話がある、御作田の早稲という神事が諏訪大社下社御作田社で執りおこなわれるのも同じ日です。これは田植祭ですが、当然諏訪地方でいちばん遅い田植えなわけですけれど、この日植えられた稲はわずか1カ月で穂をつけるという言い伝えがあります。もっとも1カ月で穂をつけたスーパーナチュラルな稲については、近年観察はされていないようです。misakudajinja.jpgもちろん、諏訪大社の神さまにそのぐらいの力があることを信じないわけではありません。この諏訪地方最後の田植えの儀式は諏訪大社の年中行事の中でも大切な祭りであり、実りの秋を願う信仰厚き人たちが毎年たくさん訪れます。下社の末社御作田社の神前で雅楽が奏され、三坪程の神事田で手植えがおこなわれます。

今月の岩垂さんの農事録(連載第5回)にもあるとおり、農家は農繁期に突入していてネコの手も借りたい状態にあります。信州の各りんご農家ではおいしいりんごを作るための「摘果」という農作業がほぼ終了しました。shinanorice.jpg「五穀の実らぬ里やある」と歌われる信濃の国、そのなかでも北に位置するために田植えが遅い善光寺平でも、現在ではほとんどの田んぼで青々とした苗が風に揺れています。ぽつぽつとほんのわずかに残る田植え前の田んぼも、今月中には青い苗で埋められることでしょう。田植えが終わると昔は農休みといって3日間ほど休日をとり近くの温泉などに出かけてのんびりしたといいます。今年は温泉にでも出かけますか?

indexarrow.gif 長野県の夏の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより

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