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A Cozy Cafe in the Mountain Country
信州のおいしい素材を使ったメニューと、居心地の良い空間を提供してくれるマウンテン・カントリー信州ならではのカフェを、シリーズで紹介しています。どこからであれ長野県を訪れた際は、足を運んでみてください。そこにはきっと、おいしい出会いがあります――
古書と珈琲の店がなにゆえに
山間の街道に沿った小さな里に、古民家を改造した古書と珈琲の店「高遠長藤文庫(たかとお・おさふじ・ぶんこ)」はあります。都市とは全く異なる時間と空間を求めて、わざわざ遠方からこの店に足を運ぶお客さんも多いのだとか。
どうしてこんなところに
諏訪地方とコヒガンザクラで有名な高遠[伊那市高遠町]を結ぶ杖突峠(つえつきとうげ)。その街道沿いののどかな山里を、車でのんびりと走っていると、古民家に「薫り高い珈琲」と記された旗とコスタリカの国旗が目をとらえます。長藤(おさふじ)というのは土地の地名でもありますが、古書と珈琲の店「長藤文庫」の存在を知らないままドライブしてきた人だと、古本屋さんで喫茶もできるお店が、どうしてこんなところにあるのだろうか、とふと疑問に思うはずです。
「高遠には本の町を作ろうというプロジェクトがあり、ここが最初にみつけた場所でした」
そう話してくれたのは、長藤文庫の店主さん。以前は若者に人気の町、東京の高円寺で、古書店をされていました。でも今のお店のある場所は、高遠の町からさらに8キロほども離れていて、観光客も訪れにくい場所です。
「東京から来た人間にとって、伊那市の中心も高遠の街中も、ここも同じです。全部が田舎。それだけに自然が豊かで、空間がゆったりとれるここが気に入りました。東京からもお客さんが来てくれますが、ゆっくりと珈琲を飲みながら古本を見て過ごす方が多いですよ」
と店主さん。なるほど。妙に納得。
珈琲と珈琲豆と古本と
長藤文庫で出す珈琲は、中米コスタリカ産の珈琲「Cafe Britt」。同じ高遠町内の信濃屋中米商店から仕入れているそうです。オーガニックと深煎りの2つのタイプを選べます。気に入ったら豆も買えます。
古本は、7〜8千冊ほど置いています。専門店ではないので、オーソドックスに各分野まんべんなく揃えているとか。築150年程の古民家に、ずらりと並ぶ本はただ「壮観」のひと言です。学生時代に好きだった懐かしい本を見つけ、ついつい読みふけって時間を忘れてしまいます。
「高遠藩が参勤交代でここを宿として使っていたそうですよ。自然の中にある建物や空間は、人をゆったりさせる機能があるのかもしれません。わたしは、そのお手伝いをするよう心がけています」
お店を開いて2年が過ぎたそうです。店主さんは集落の活動に、できるだけ参加するようにしているとか。
「集落のみなさんの話を聞けば、農業をするということは大変な作業。簡単に田畑を借りてやってみようとは言えません」
まもなく長藤の里も稲刈りのシーズンを迎えます。都会の専門古書店とは全く異なる長藤文庫を一度訪れてみると、おいしい珈琲と読みたかった本と新しい自分を見つけることができるかもしれません。
古書と珈琲の店 高遠長藤文庫へのアクセス:
「高遠長藤文庫」
〒396−0305
長野県伊那市高遠町長藤7053
電話(ファクス兼) 0265−96−2677
営業時間 平日 11:00〜17:00
土日祝10:00〜18:00
定休日 火・水曜定休
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