静かな山の中腹に、その民宿はありました。
訪れたのは県南部、伊那市の新山。
JR伊那市駅から車で20分のところに農家民宿「ふだん着」はあります。
出迎えてくれたのは、北原綾子さん。ちょうど、庭の畑に水やりをしている最中でした。
肥料や農薬を使わない、体に優しい野菜づくりをしています。
特別な時間が流れる一日一組の農家民宿
さっそくお家の中に案内してもらうと・・・。そこには薪ストーブとロッキングチェアが!
なんとも言えない暖かい雰囲気に迎えられます。
キッチンにあるのはペチカ。下部は暖炉のようになっており、薪を燃やして上部のレンガを温めることによって、部屋全体が温まります。レンガに触れるとじんわりと温かく、レンガを背もたれにすると気持ちよさそうだな~、と想像しただけで眠たくなってきます。
キッチンにあるペチカ
蓋を開けると真っ赤な炎が
群馬県出身の綾子さん。元々、田舎のスローライフに憧れていたそうで、夫の和美さんとの結婚を機に、新山で暮らし始めました。移り住んだ当初は友だちがおらず、やることもなかったため、農作業に明け暮れる日々を送っていた綾子さん。最初のうちは何となく周りにとけこめないような窮屈な思いもしたのだそう。
だんだんと、近所のおばあちゃんたちのお茶会に招かれるようになり、そこで出てくるたくさんの手づくり料理に圧倒させられたといいます。「おばあちゃんたちの食にかけるエネルギーはすごい!」と感動した綾子さんは、メモ帳を片手にレシピを教えてもらったのだそう。
料理中の綾子さん
豊かな自然、静かな山々、おいしい料理、時計を気にしない暮らし・・・。この新山の素敵な暮らしを、独り占めしてはいけない!田舎を持てない都会の人に分けてあげたい!そう思った綾子さんは、6年前に農家民宿を始めました。
地元おばあちゃんのレシピをアレンジ
夜ごはんは、もちろん綾子さんの手づくり料理。
時には、宿泊するお客さんも台所に立ち一緒につくります。わたしも少しお手伝いしました。
今晩の献立はこちらです!
・レタスとブロッコリーのサラダ
・セージの葉とさくらえびのかきあげ
・たまねぎとさくらえびのかきあげ
・さつまいものスティックフライ
・にんじんのスティックフライ
・ささみフライ
・松茸ごはん
・高野豆腐となめこの味噌汁
使用している野菜は、畑で栽培されたものや、ご近所さんからのいただきものといった地元産のものばかりです! さらに、綾子さんのこだわりポイントは調味料。味噌も醤油も手づくりだということ。地域の有志が集まって、みんなでつくっています。
朝食は、アマランサス入りサラダ、もちきび入りごはん、高野豆腐のお吸い物、高野豆腐の揚げ出し、タラモサラダ、ご近所さんからいただいたキムチ、昨晩のフライです。アマランサスは新山の農家さんが作ったものだそうです。
朝食
アマランサス入りサラダ
タラモサラダ
ご近所さんからいただいたキムチ
休日ということもあり、遅めの朝食でスタート。泊まりに来ていながら、自宅に居るかのようなまったりとした時間。まさに、時間を忘れられる空間がありました。
優しい色使いの裂き織りを体験
「ふだん着」では、草木染や機織りなどの体験(別途料金・要予約)ができます。
せっかく来たので、機織り体験をしてきました! 初めての方でも、綾子さんが丁寧に教えてくれますのでご安心を。
まず、たくさんある古布の中から、織りたいものを選びます。次に布を1cm~1.5cm幅に裂いて糸状にします。糸状にした古布を織っていきます。
始めは恐る恐る織っていくのですが、だんだん慣れてくると自分の世界に入ってしまい、気づいたら3時間が過ぎていました。
ところどころに指し色を入れて、イニシャルもあしらってみました。
できた完成形がこちらです!
初めてにしてはなかなかの出来栄え! と自画自賛です。
織った布はカバンに加工する予定です♪
最後に、「ふだん着」の由来について伺ったところ、「"ホテル"がよそ行きの服だとしたら、"ふだん着"だよね。いつもの生活、ここ(新山)のありのままのくらしを見てほしいという思いかな」と説明してくれました。まさに、由来通りだなと感じました。
何も飾らない生活があり、日々の忙しさから開放された空間がありました。
スローライフを体験したくなったときには、「ふだん着」で満喫してみませんか?
- 長野県伊那市富県上新山1054
- TEL 080-1360-1583
- FAX 0265-72-5799
- ※要予約