ぽかぽか陽気に誘われて、つい外出したくなってしまうような春が信州にも訪れています。稲作りでは種まきが始まったほか、県内でも早いところでは田植えが行われたとニュースにもなっています。県内の小学校などでは、お米作りが授業の一環になっているところも少なくありませんので、小学生が田植えを行ったなどといったことも5月に入ると話題になってきます。ところで、「昔は家の農作業をよく手伝わされた」などと聞く機会がありますが、今は、塾やスポーツなどの習い事に忙しい子供たち。農業に接する機会が少なくなっているのではないでしょうか。
さて、日本人の基礎となっているものはお米と言えます。JAグループでは手軽に農業に触れられる「バケツ稲」の配布を行っています。
今回、編集部でも「日本晴」という品種のお米をバケツに植えて、よりお米作りを身近に感じていただけるようお伝えしていきます。順調にいけば、9月頃には収穫のご報告ができるはずです。
「バケツ稲」とは?
JAグループでは、「これからの食や農を担う子どもたちに、日本の稲作や農業に触れてもらいたい、もっと身近に考えてもらいたい」という思いから「バケツ稲づくりセット」の配布を平成元年より実施しています。
バケツ稲とは、「バケツで育てる稲」のことで、バケツと土を用意すれば庭やベランダなど場所を選ばず、手軽に稲作を体験することができます。
種もみと肥料・そして栽培マニュアルがセットになった「バケツ稲づくりセット」は、家庭や教育の現場でも活用されているものです。在庫限りですが、興味のある方はこちらからご確認ください。
◇バケツ稲づくりセットの申し込み
さあ、いよいよバケツ稲スタート。準備するものは、芽出しに使う浅い容器、10リットル以上のポリバケツ、土とバケツ稲セットだけです。まずは芽出しからです。
(1)芽出し
3月末から暖かい日が続いた4月の始め、まず最初は芽出しから始めます。浅い容器に種もみを入れて浸るくらいの水を入れて、暖かく暗い場所において毎日水を取り替えます。芽がでますようにと祈りながら水替えをしていると、暖かい日が続いたせいか、1週間ほどで白い芽が出てきました。
(2)種植え
2週間経った4月下旬には、種から白い芽がだいぶ伸びてしまいましたので、少し早いですが、バケツへの種まきを行いました。バケツは、10リットルのものを使います。土は、畑の土を用意します。まずは植える準備として土を乾かします。この作業によって、土の菌が活性化して稲の成長を応援してくれるとのこと。乾かしてしまったら菌がなくなってしまうのでは、と思ってしまいますが、「なるほど〜」なポイントですね。
土を乾かしているところ
肥料を入れてかき混ぜる前
そこに、バケツ稲のセットになっている肥料を入れます。チッソ、リン酸、カリの3要素を含む化成肥料なので、収穫まで追加の肥料をあげなくて良いのだそうです。
種もみをまきます
土と水をよく混ぜて泥にしたら、種もみをまきます。指で、種もみ2つ分ほど土の中に押し込んで、土をかぶせて種まきは終わりです。
早く良い葉が出てきますように。鳥に食べられないようにと、上に保護ケースを乗せました。まだまだ序盤戦、しっかりと目が出てくることを祈ります。
次は、葉が出てきて3、4枚の葉になれば、苗の移し替えの時期。それまでは、乾いたら水をやるということを続けます。心配事は、種植えをした翌日、雪が降ってしまったことです。県内でもかなり冷え込み、凍霜害(凍ったり、霜が降りてしまうこと)にもなったところがあるようです。今後どうなるか心配です......。
観測史上最も遅い降雪となった2013年4月21日の長野市
「農業は、子どもの成長と同じだ」という生産者もいますが、見守る親の気分はきっとこんな感じなのでしょう。大事に育てて、良い子に育つように愛情を注いでいきます。これからの数カ月、稲の花や実ができるところなど随時お伝えしてきますので、温かい目で見守ってくださいね。