75歳を過ぎた同級生3人。自前の米と大豆で手前味噌を作る

手前味噌

75歳を過ぎた同級生3人で協力してみそづくり

昔はどこの家でもお味噌を作っていました。日本の代表的な発酵食品であり、日本食を支える調味料でもあるお味噌。最近は海外でも注目されています。
味噌を作った経験のある方はおわかりでしょうが、材料を準備すれば、小学生でも作れるほど簡単に仕込むことができるもの。そのためか最近は、学校や地域で味噌作り講習会が多く開かれ、手前味噌を作る方が増えているようです。

自家栽培の米と大豆で準備万端!

今回は、時代とともに作り方を変化させながら、長年受け継がれている手前味噌作りを紹介します。
JR長野駅から車で20分程の山間、長野市芋井地区に住む75歳を過ぎた同級生3人が協力して作る味噌です。昔ながらの手法で作った手前味噌を食べたいと考え、大豆と米は100%自前で作ろうと、昨年から準備を始めました。味噌の原料は、大豆、米麹、塩のみ。米麹は米と種麹から作ります。米農家でもある3人は、お米は自家栽培の主食米を、大豆は味噌に適した品種を選んで栽培した30㎏を用意。材料の準備はOKです。

【味噌の材料】 (できあがり量 約110㎏。米麹も自分で作る場合)
大豆30㎏、同量の米(うるち米)30kg(2斗)、種麹30g、塩16㎏
※米麹用のお米は、うるち米を使ってください。

甘酒や塩麹にも使える米麹を作ってみよう

味噌作りで一番手間がかかり失敗しやすいのが、麹作り。もし手間をかけず簡単に手前味噌を作りたい場合は、市販の米麹を使うとよいでしょう。

今回は、大豆と同量の米を使い、米麹も昔ながらの手法で作りしました。米麹作りは、味噌作りの3日前からスタート。まだ寒さが厳しい3月中旬に作業を行いました。

【米麹の作り方】

①お米を蒸す
精米を水でとぎ、12時間以上水につけます。ザルに上げ、1時間ほどしっかり水をきり、米を蒸します。
今回は、昔ながらの手法ということもあり、米を蒸すのは5升炊きの羽釜とセイロ。薪を炊き釜でお湯を沸かし、その上に5升用のセイロを二段に重ねお米を蒸しました。
セイロには布巾を敷き、そこに水きりしたお米を5升(7.5㎏)ずつ入れ、4回に分け、1回の蒸し時間は90分ほどかかりました。

手前味噌

昔ながらのセイロで米を蒸す

蒸し上がりの判断は、食べてみて芯がない状態で、少し固めであれば上出来です。お米が柔らかい状態だと後の作業が大変になってしまいますのでご注意を。また、ガスや電気を使って蒸す場合と薪では、蒸し上がり時間が違います。

②種麹をふる
蒸した米が熱いうちに用意した床(土蔵の中にわらを敷き、その上にゴザを広げたもの)の上に広げます。米が人肌(36℃前後)になったら、種麹を全体にパラパラと少しずつふりながらよくかき混ぜ、人肌の状態を保ちます。
人肌の状態を保つため、昔は湯たんぽなどで保温していましたが、今回は、電気毛布で20時間ほど保温しました。

手前味噌

温度が安定している土蔵の中に稲わらを敷き、その上にゴザを広げた床

手前味噌

温度管理に気をつけて作った米麹を樽に入れて運ぶ

③種麹をよく混ぜる
発酵熱で温度が上がったら電気毛布を切り、「人肌」を保つために混ぜる作業をします。数時間置きに温度変化を確認しながら、混ぜたり揉みほぐすことを繰り返しました。

④米麹の出来上がり
お米に白い菌がつき固まりになり、甘い香りがしてきたら発酵が進まないように冷やします。熱が出なくなったら米麹の出来上がりです。順調に作業が進めば、米を蒸してから2日間で米麹ができます。
※米麹は、甘酒や塩麹にもなりますので、少し多めに作っておくのもよいでしょう。

昔ながらの手作り味噌の作り方

【味噌の作り方】

①大豆を水にひたす
大豆は、前日によく水洗いをし、直径60cm以上ある大きな羽釜(2斗炊き)に入れ、3倍量の水に浸漬します。十分に水を吸った大豆は、2.5倍ほどに膨らみ羽釜から溢れそうでした。

手前味噌

大豆を煮る大釜

②大豆を煮る
釜に火を入れ2時間ほど炊きました。大豆を手に取り、親指と小指の間で潰れるくらいの柔らかさになるまで煮ます。固いままだと、つぶす時や混ぜ合わせる時に大変なので、じっくり煮てください。

手前味噌

柔らかくなった大豆をひしゃくですくいザルに入れ湯切りする

③大豆をつぶす
柔らかくなった大豆を釜からざるに上げ煮汁を切ります。大豆は専用機械でつぶします。機械自体は古いもので、昔は手で回しながら大豆をつぶしていましたが、今はモーターで回すので、大量の大豆でも簡単につぶすことができるようになりました。

手前味噌

湯切りした大豆を専用の機械でつぶす

手前味噌

大豆がつぶされて出てくる

④大豆と米麹、塩を混ぜる
つぶした大豆をシートに広げ、その上に米麹と塩を均等に広げます。大豆と米麹、塩がまんべんなく混ざるように、3、4回混ぜ合わせます。味噌の固さは、大豆の煮汁を加えて調節するとよいでしょう。

手前味噌

つぶした大豆と米麹、塩を混ぜる

手前味噌

大豆と麹、塩が馴染むよう何回も混ぜ合わせる

⑤仕込み味噌完成
固さも調整でき、大豆と米麹、塩がしっかり混ざったら仕込み味噌の出来上がりです。出来上がった仕込み味噌は約110㎏。3人で均等に分けました。

⑥冷暗所で熟成
容器に入れる際は、力を入れてたたきつけるようにするとよいでしょう。仕込み味噌の中にできるだけ空気が入らないようするためです。最後に表面を平らにし、カビ防止に35℃の焼酎を表面に塗り密閉します。各家庭の冷暗所で半年以上熟成したら、味噌として食べられます。

手前味噌

樽の中で発酵がすすみ、みそになる時を待つ

昔ながらの道具を使った一年分の味噌作り。
「一人で作るのは大変だけれど、気の合う人とおしゃべりしながら作ると楽しい。手前味噌を食べはじめると市販の味噌が食べられなくなってしまう」
「お米を蒸す時間、味噌を煮る時間は、お茶子をしながら待つのが楽しい」
と、同級生3人で過ごすひと時を楽しんでいました。

手前味噌

使い終わった道具はすぐに水洗いする

手前味噌

竹かごなど昔から伝わる道具がずらり

参考:「森ゆに-手前みそのうた」なるものが、ネットでアップされています。味噌を作りたくなる楽しいうたですよ。

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この記事を書いた人

さくら

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